年末特別企画 リテラの2014年振り返り

百田尚樹だけじゃない! 2014お騒がせ小説家No.1は誰だ!?●文芸編集者匿名座談会

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左から『銀翼のイカロス』(ダイヤモンド社)『失楽園』(角川書店)『三匹のおっさん』(文藝春秋)『白ゆき姫殺人事件』(集英社)


■渡辺淳一にもたかじんと同様のトラブルが勃発?■

X  今年の文壇をふりかえるってことなんだけど、これまで以上に今年はとにかく本が売れなくて、さみしい状況だったね。とくに、小説は……。

Y 1位が「半沢直樹」シリーズの最新作『銀翼のイカロス』(池井戸潤)。同じく『ロスジェネの逆襲』も5位にランクインしているね。去年の半沢直樹ブームの余波が1位で、9位の『海賊と呼ばれた男』(百田尚樹)も去年の作品。いかに今年が不作だったか。村上春樹の『女のいない男たち』もミリオンに届かなかった。

Z いちばんの話題はやっぱり、百田尚樹の『殉愛』騒動だよね。ただ、百田先生の『殉愛』騒動については、リテラでもう十分詳しくやっているからそちらに譲るとして、文壇ではもうひとつ遺族のからむ争いが話題になった。

Y 4月に亡くなった渡辺淳一の愛人と遺族がもめたという話でしょ。川島なお美との“失楽園”不倫をはじめ、黒木瞳など、生前は数々の女性と浮き名を流したナベジュン先生だけど、長年秘書を務めていたMさんとも実は長く愛人関係にあったといわれている。生前仕事関係はMさんが仕切っていたから、出版各社が合同で開いたお別れの会も、Mさんと相談しながら進めていたんだよ。ところが、娘さんが勝手に進めないでとクレームを入れ、社長クラスも巻き込む大騒ぎに。すでに告知も打っていたのに会場を東京會舘から帝国ホテルに変更になったというんです。

X お別れ会の変更は遺族がナベジュンが常連だった銀座のクラブの女性が来るのを嫌がったんじゃないかという話もあったけど。ただ渡辺淳一先生をめぐってはMさんとの遺族の間にまだ火種があるという話もあるから、来年もまだ目が離せないね。

Z ナベジュンといえば、豊崎由美の辛口評に激怒し掲載していた「TITLe」(文藝春秋)という雑誌を休刊に追い込んだという事件もあったけど、愛人の川島なお美を自作の『失楽園』の主役に抜擢し、娘を集英社に入社させ……と作家の力を誇示するエピソードがほとんどそろっていたね。それでいて憎めないという。そういう意味でも惜しい人物を亡くした。

Y でも、作家の権力は、百田の一件を見てもわかるようにまったく弱まってないよ。とにかく『殉愛』問題なんて出版社系週刊誌がほとんど百田擁護に回ったわけだから。

X「週刊新潮」の連載をまとめた『フォルトゥナの瞳』はそれほど売上げが芳しくなくて、「たいして売れてもないのに、無駄にタブーだけできた」って新潮社の編集者はグチってたよ。

Y 新潮社は百田と山本周五郎賞をめぐっても一悶着あったからね。「週刊新潮」で連載を始めるにあたって、百田が「気軽に頼んでくるけど、新潮社は一度も僕を候補にしてくれんやないか」と軽口叩いたのを、真に受けた担当の編集幹部が『海賊と呼ばれた男』を周囲の反対を押し切って山本周五郎賞の候補作に無理矢理ねじ込んだらしいんだ。ところが、当の百田はノミネートを辞退したという……。

Z でも『フォルトゥナ〜』も売れてないって言ったって、10万部前後はいってるでしょ。それだけ売れる作家は貴重だよ。

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