「嫌韓は日本の韓国化」産経の保守派論説委員が嫌韓ブームを批判

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 一方、韓国のほうは日本で報道されているように必ずしも反日の空気が高まっているというわけではないらしい。黒田氏は今年5月30日に放映された『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)「激論! 反日・嫌韓、ド~する!日韓関係」に出演した際にこう語っている。

「僕は30年以上、韓国に住んでいますけれども、一般の人々は反日の感情は後退していますね。我々が、日本語を使っても問題ないし、韓国のみなさんは日本のものが大好きだし、村上春樹の新作が出れば、韓国の書店に行列ができるし、韓国のみなさんは日本に対する親近感が日常的にはある。(中略)今、日本の反韓のほうが非常に目につくのですけれども、韓国における反日的な情報、ニュースばっかりが入って、それでイメージしているということはあります」

 日本の反韓感情の高まりは、韓国の反日があるからこそ……と思いきや、全く逆で、韓国の一般国民は冷静なのだ。

 別の全国紙のソウル特派員も「日本と違って、韓国のベストセラーランキングには反日、嫌日本などはランキングしていません。ただ、韓国の政治家や一部のメディアは反日のポーズをとっているので、日本のメディアがそれを大きく取り上げて、反韓、嫌韓のネタにしているというのが実情でしょう」と語る。

 日本のメディアや出版社がここまで嫌韓に躍起になっているのは、ずばり「嫌韓ものを出せば売れるから」(出版関係社)だ。元時事通信ソウル特派員という経歴の室谷克実氏が書いた『呆韓論』(産経新聞出版)は発売2か月で20万部を超えるベストセラーになったし、匿名の韓国人歯科医師が書いたという『韓国人による恥韓論』(シンシアリー/扶桑社)も10万部を超えている。雑誌も「嫌韓」記事を掲載すると、売り上げが 2割アップするという話もある。

「出版不況の中で、嫌韓は数少ない売れるコンテンツですから。各社ともとにかく中身なんて二の次でどんどん出そうとする。それで、同じ著者に同じような内容の本が何冊も出版されている。2000年代にブームになった『嫌韓流』(山野車輪/晋遊舎)の使い回しのような内容の本や、陰謀論のようなトンデモ本もけっこうあります」(出版関係者)

 一部の過激な嫌韓論者と売らんかな主義のメディアによって黒田氏のいう「日本の韓国化」という事態を招いているとしたら、まったく皮肉としかいいようがない。

 ちなみに黒田氏は、嫌韓・反韓感情に流されずに、韓国を利用、活用して冷徹な実用主義外交をしようという「用韓論」を提案している。

「日本の反韓ネット住民の間では『韓国にはイライラする。離れて住みたい』という『離韓論』があふれている。日本のテレビインタビューでも同じような質問が出るので、私は次のように答えた。『韓国は引っ越しできない相手だ。これを機会に日本において韓国はプラスマイナスを含めてどのような価値がある相手なのか考えてみたらどうか。その結果で対処すればいい』」(同記事より)

 こんな冷静な意見が「韓国の対日工作員」よばわりされるのだから、日本の言論状況は相当なところまできているといっていいだろう。
(エンジョウトオル)

最終更新:2014.07.16 07:06

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