石原伸晃議員が入院した国立大学附属病院を10月に「視察」していた! 田崎史郎氏は「知り合い」と擁護もやはり国会議員の立場を利用

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石原伸晃議員が入院した国立東京医科歯科大病院を10月に「視察」していた! 田崎史郎氏は「知り合い」と擁護もやはり国会議員の立場を利用の画像1
東京医科歯科大を視察する石原議員ら(東京医科歯科大附属病院HP)


 コロナ感染で入院した自民党の石原伸晃元幹事長に対する「上級国民」批判が止まらない。先日の記事(https://lite-ra.com/2021/01/post-5770.html)で紹介した批判以外にも、こんなツイートが拡散されている。

〈無症状の上級国民石原伸晃が入院したため、どこかの入院を待っていた重症だったかもしれない人が入院できませんでした。そのせいで亡くなった、亡くなるかもしれません。 これが命の選別ですよ。 トリアージなら伸晃は緑タグです。緑タグ入れるために赤タグの人が押し退けられたかも。 そういうこと〉
〈伸晃、国民が命を懸けてベッドの空きを待ってるさなか無症状でも即入院この国狂ってる。この上級国民であれば自宅でも十分隔離での療養できるでしょう?多分複数の部屋あるでしょうに!〉
〈石原よ!知ってるか?お前が即入院できた一方で、いくつもの病院から拒否され、たらい回しにされている現状を。お前は自民党のお偉いさんだから特権を当たり前のように振りかざしているが、国民はしっかり目をあいてるぞ〉
〈熱もないのに優先入院したようですが、自民党は特権階級なのですか?〉
〈入院どころか、【自宅に放置】されている庶民が何千人といるのに! 国会議員の特権だと思っているような人に国民の命は預けられない! 石原一族は貴族なのか? 〉

 たしかに国民が怒るのも無理はない。先日の記事でも言及したが、こうしたケースでは、検査を受けられた人や入院できた人を責めるのではなく、むしろ、すべての人がすぐに検査を受けることができる体制、症状や既往症がある人はすぐに入院し、治療につなげることができる体制を政府に求めていく、というのが本来あるべき姿勢ではある。しかし石原氏のケースは、一般国民とあまりに扱いが違いすぎるのだ。

 一般国民は、重症化リスクの高い高齢者や既往症・持病がある人でも自宅療養となっている人が多く、かなり症状が重くても入院を待たされ、救急要請でも受け入れを断られているような状態だ。東京都では「入院・療養等調整中」とされる人が22日時点で6276人もいる。しかも、石原議員がPCR検査を受け、入院したとされる国立大学法人東京医科歯科大学附属病院は、一般外来の検査は原則としてやっておらず、コロナ病棟はほぼ満床状態で救急受け入れも断ることがあったという報道もあったばかり。

にもかかわらず、石原議員はいきなり同病院でPCR検査を受け、陽性と判断されたとたんに、既往症を理由に無症状なのに即日入院することができたのだ。「一般人は入院できなくて死んでる人もいるのに、上級国民なら無症状でも入院できるのか」という声が上がるのは当然だろう。

 ところが、こうした批判に対して、御用ジャーナリストの田崎史郎氏がなんとも間抜けな反論をして、話題になっている。

 1月25日『ひるおび!』(TBS)で、石原議員の入院問題が話題に上ると、スシロー氏はこんなことを言い始めたのだ。

「一般の方が不満持たれてるのは、すぐ検査ができて、無症状なのに陽性なんですぐ入院できたっていうのが、国会議員だからできたのかっていうご指摘じゃないかと思うんです。でもこれ、国会議員だからそういうことができてるのかどうかっていうのが、ハッキリしなくて。石原さんは、この入った大学病院とかねてから知り合いの方がいらっしゃるみたいなんですね。で、そちらの関係で入られたんじゃないかっていうふうに、政界では思われています。国会議員みなさん、こういうふうに扱われるかっていうと、その保証はないんですね。システムは」

石原伸晃は岸田文雄、根本匠らとともに東京医科歯科大学附属病院のコロナ診療センターを「視察」していた

 ようするに、石原氏が入院できたのは、国会議員だからでなく、病院にコネがあったからだと主張したのだ。

 この田崎氏の発言には「それがまさに特権だろ」「これで擁護したつもりか」というツッコミが殺到したが、当然だろう。

 そもそも、すべての国会議員がすぐに検査でき、無症状でもすぐに入院できるなんて、誰も言っていない。本サイトの先日の記事でも指摘したが、同じ自民党の安藤高夫衆院議員は、喉の痛み以外に症状がなかったことから自宅療養となっているし、立憲民主党の小川淳也衆院議員(49歳)は、39度以上の高熱が出たにもかかわらず、東京都の相談センターに紹介された発熱外来まで1キロ歩いて検査を受けたあと、帰宅。保健所から「高熱なので入院したほうがいい」という連絡を受けてようやく入院措置となった。また、年末にコロナに感染した共産党の清水忠史衆院議員も、発症からしばらく検査を受けられず、入院もできなかったと明かしている。

 そんななか石原議員が特権的な扱いを受けたことに、国民は怒っているのだ。しかも、その「コネ」はたんに石原家の知り合いというレベルではなく、明らかに国会議員という立場を利用したものだ。

 というのも、石原議員は、今回、即検査、即入院させてくれた国立大学法人東京医科歯科大学附属病院のコロナ外来診療センターを昨年10月、「国会議員として視察」していたからだ。

 東京医科歯科大学附属病院のHPに載っている過去の「お知らせ」をチェックしていると、こんなニュースリリースが掲載されていた。

〈9月17日にスタートした「コロナ外来診療センター」を、衆議院議員6名(岸田文雄先生、石原伸晃先生、根本匠先生、盛山正仁先生、平口洋先生、畦元将吾先生)の皆様が2020年10月2日に視察されました。
「コロナ外来診療センター」は、地域の病院からの紹介患者さんを中心に、コロナウイルス感染症疑い関連についての外来診療を行うセンターで、今秋以降の感染拡大が心配される中で、地域の皆様のニーズに即した医療を提供してまいります。〉

 そして、文章の下には、診療センターで医師らから話を聞いている石原元幹事長の姿が写はっきりと写っていた。
 

税金から「運営費交付金」を交付されている国立大学附属病院は政治家に逆らえない

 もうおわかりだろう。東京医科歯科大学附属病院は昨年9月、コロナ外来診療センターを開設するなど積極的にコロナ診療に取り組み、国内では先進的な治療を行なっている病院のひとつといわれているが、石原氏は「国会議員としての視察」でそのことを知っていたのだ。

 石原氏の入院のニュースが報道された際、その検査・入院先が石原家と縁の深い慶應病院でなく、国立大学病院だったことに一部で驚きの声が上がっていたが、ようするに、石原氏は昨年の「視察」で東京医科歯科大学附属病院のコロナ診療への取り組みを知り、コネクションができていたから、同病院を選んだのだろう。

 つまり、病院の選択じたいが「視察」という国会議員の特権から派生していたわけだが、もっと問題なのは、石原氏が政治家と国立大学病院の間にある構造的な力関係を利用して、即検査・即入院したとしか考えられないことだ。

 国立大学の附属病院には税金から「国立大学法人運営費交付金」と「附属病院運営費交付金」が交付されるが、その金額は文部科学省に置かれる「国立大学法人評価委員会」などの評価で増減される。全体の予算がどんどん縮小されているなかで、各大学病院はこの運営費交付金の確保に必死になっている。

 だからこそ、東京医科歯科大学附属病院は、石原氏らの「視察」を受け入れ、それをHP でアピールしていたのだ。

 政治家は直接的にこの交付金額決定に関与しているわけではないが、政権与党の重鎮政治家なら官僚を通じて政治的な影響力を行使することは十分可能だ。ましてや、石原氏は大学病院の評価を左右する可能性もある「視察」を行っているのだ。そんな人物から検査や入院を要求されたら、それが通常のルールを逸脱するものであっても、病院側は断れるはずがない。

 入院については石原氏側が言い出したのではなく、病院側が忖度した可能性もあるが、だとしても石原氏はそれが自らの視察と、権力関係が背景にある特別扱いであることは十分自覚していたはずだ。そして、検査は石原氏側が要求していないのに、病院側が「検査しませんか」などということは考えられない。

 そういう意味では、石原氏の今回の検査・入院は明らかに、病院を視察した国会議員という立場を利用したもの、さらに、結果だけ見れば、国立大学附属病院に税金が投入されているという構造を利用して自分の治療を優先させたと言えなくもない。

 繰り返すが、本来は、コロナ感染者が検査や入院ができたことを責めるのでなく、むしろ全国民がスムースに検査を受けられ、既往症のある人は全員が入院できる態勢を求めていくべきだろう。

 しかし、石原氏のケースはそういう問題ではない。田崎氏が擁護の論理で持ち出しているような「民間の病院に知り合いがいたから」というレベルの話でもない。多額の税金が投入されている国立大学医学部の病院を、視察していた国会議員が優先的にその病院で検査を受け、無症状で入院しているのだ。

 その経緯について、徹底した検証と追及が必要だろう。

最終更新:2021.01.26 01:32

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