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“優生思想”政党・維新の馬場幹事長がれいわ舩後議員の「生きる権利」発言を「旗振り役が議論封じ」と否定! 松井市長もトンデモ論理を
左・松井大阪市長/右・馬場幹事長(日本維新の会HPより)
日本維新の会が、そのグロテスクな優生思想を全開にしている。
先日、京都でALS患者の女性が元厚労省医系技官ら2名の医師によって殺害された事件。容疑者2名が優生思想の持ち主だったこともわかっており、当初「安楽死」などとも報じられていたが、この事件は、容疑者の優生思想に基づいた「命の選別」そのものだ。
ところが、維新はこのような事件に乗じて「尊厳死の議論をしよう」などと前のめりになっているのだ。
事件の一報が伝えられた直後から、維新代表の松井一郎大阪市長がツイッターで、〈維新の会国会議員のみなさんへ、非常に難しい問題ですが、尊厳死について真正面から受け止め国会で議論しましょう。〉などと呼びかけ、同党の足立康史衆院議員や音喜多駿参院議員らも同調するなどしていることは、先日本サイトでもお伝えした。
こうした維新の動きに対して、本サイトをはじめ多くの批判の声が上がっていたが、維新はまったく省みる気がないらしい。
馬場伸幸幹事長が29日の記者会見で、この殺人事件を受け、政務調査会に尊厳死を考えるプロジェクトチーム(PT)を設置すると発表。しかも馬場幹事長は会見のなかで、自身もALS患者であるれいわ新選組の舩後靖彦参院議員がこの事件を受け〈「死ぬ権利」よりも、「生きる権利」を守る社会にしていくことが、何よりも大切です。どんなに障害が重くても、重篤な病でも、自らの人生を生きたいと思える社会をつくることが、ALSの国会議員としての私の使命と確信しています。〉といった声明を出したことに触れ、こう批判したのだ。
「議論の旗振り役になるべき方が議論を封じるようなコメントを出している。非常に残念だ」
舩後議員が自身のALS患者としての経験も打ち明けながら「生きたいと思える社会を」と訴える声明を、「議論を封じるようなコメント」というのだ。「生きたい」と言うことが許されない議論が、はたして「尊厳死の議論」と呼べるような代物なのか。「尊厳死」の名を借りて、「命の選別」をしたいだけなのではないか。
舩後議員は声明のなかで〈難病患者や重度障害者に「生きたい」と言いにくくさせ、当事者を生きづらくさせる社会的圧力を形成していくことを危惧する〉とも言っていたが、馬場幹事長の言っていることは、まさに「生きる権利を守る社会」「生きたいと思える社会」という舩後議員の主張を封じ込め、また多くの難病患者や重度障害者の「生きたい」という口を塞ぐものだ。
しかも、この馬場幹事長の発言について問われた松井代表も、馬場幹事長と同レベルの認識であることが露呈した。
維新・松井代表は舩後議員の「生きやすい社会」発言に、「生きやすいかどうかは個人の感性」
松井代表は30日、「僕は舩後議員に賛同する。非常に問題がある」と記者団に語り、馬場幹事長に苦言を呈したと報じられている。しかし松井市長は、実は同じ30日の会見でこんなことを発言ているのだ。
「舩後さんも生きる価値を見出しながらやられてる。両方あるわけです。舩後さんの声明文は全面的に同意できる。でも違う人もいるでしょ、ということを僕は議論したい」
「舩後さんの書いた意見表明の文書は、当事者として、まさに生きる権利、というか、生きやすい世界と。でも、生きやすいかどうかは、一人ひとり違うことでしょ、感性の話なんだから。感じ方なんで、その患者さんで。生きやすいかどうか。もちろん舩後さんは、生きやすい世界を目指してる。でも、どうしても、生きやすいかいうのは、個人の感性・感情の話なんでね。捉え方なんで、感じ方なんで。でも、そこも含めて、僕はきちっと議論をしていくべきだとそう思っています」
「生きやすい社会」を単に個人の感性や感情の問題と切って捨て、生きる価値を見出せない人もいるから、尊厳死を議論すべきだというのである。
また議論が必要な根拠として、老老介護の末のパートナーによる殺人事件や、自分の世代は親の介護に直面し胃ろうをどうするか迷っているなどという例を持ち出す。老老介護の問題は福祉制度で解決すべき問題だし、よくある胃ろうをめぐる話も健常者が単なるイメージで語っているだけで胃ろうとQOLを両立させることは決して不可能なことではない。そもそも尊厳死というのは、本人の自己決定が大前提の議論のはずだが、松井代表が出してきた例は、介護する側の負担や家族の目線の話ばかりで、尊厳死の話ですらない。
馬場幹事長にしても、松井代表にしても、「尊厳死」の名を借りて、「命の選別」をしたいだけというのは、もはや明らかだろう。
グロテスクな優生思想をここまでむき出しにするとは驚きだが、しかし、こうした「命の選別」思想は、維新の本音にほかならない。維新の底流に、橋下徹元大阪市長から連綿と続く、人間を経済効率でしか見ない、新自由主義的な弱肉強食思想があること。高齢者や障害者、生活困窮者にかかる医療や福祉の費用を、いかに社会資源の無駄と考えているか。本サイトでは、こうした維新の本質について、検証した記事を先日配信した.
以下に再録するので、ご一読いただきたい。この党にだけは尊厳死の議論などさせてはならないことがよくわかるはずだ。
(編集部)
ALS 患者殺害の容疑者を石原慎太郎が差別丸出しで擁護! 松井市長ら維新も優生思想を批判せず“医療費削減の安楽死”推進に利用
元厚労省医系技官である大久保愉一容疑者と山本直樹容疑者の2名の医師が、ALS患者の女性に薬物を投与し殺害した事件。容疑者らは殺害した女性とSNSを通じて知り合っただけで担当医でもなく、さらにツイッターや電子書籍で「高齢者や障害者は死んだほうがいい」という主張を繰り返す典型的な優生思想の持ち主だった(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2020/07/post-5538.html)。
メディアではこの事件を当初「安楽死」などと報じているが、「安楽死」や「尊厳死」と呼べるようなものではなく、容疑者たちのグロテスクな優生思想に基づいた命の選別にほかならない。
いまの日本社会にはこうした容疑者たちとそっくりな主張をしている連中がほかにも多数いる。ネトウヨだけでなく、政治家や学者、メディア関係者までが平気で「老人は安楽死させたほうがいい」「障害者を生かしておくのは無駄だ」「税金を使っているのを申し訳なく思え」などといった暴論を叫んでいる──。
そう危惧していたら、案の定、石原慎太郎が27日、ツイッターで容疑者たちをこう擁護した。
〈業病のALSに侵され自殺のための身動きも出来ぬ女性が尊厳死を願って相談した二人の医師が薬を与え手助けした事で「殺害」容疑で起訴された。武士道の切腹の際の苦しみを救うための介錯の美徳も知らぬ検察の愚かしさに腹が立つ。裁判の折り私は是非とも医師たちの弁護人として法廷に立ちたい。〉
石原慎太郎といえば、都知事に就任したばかりの1999年9月に障害者施設を訪れ、「ああいう人ってのは人格があるのかね」「ああいう問題って安楽死なんかにつながるんじゃないかという気がする」と発言したり、相模原障害者殺傷事件についも「この間の、障害者を十九人殺した相模原の事件。あれは僕、ある意味で分かるんですよ」と理解を示すなど(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2016/09/post-2583.html)、これまで日本社会に広がる“障害者排斥論”をさんざん煽ってきた。
今回も、ALSを前世の悪行の報いでかかる病気という意味で、ハンセン病差別などにも使われてきた「業病」と表現し、殺人を「介錯の美徳」などと持ち上げるなど、差別性を全開したわけだ。
しかし、今回の事件では、石原のような差別主義者の暴論よりもっと深刻な状況が起きている。それは、現役の政治家たちが今回の事件に乗じて、「尊厳死の議論をしよう」などと言い出していることだ。
ほかでもない、「維新」の連中である。はじまりは、日本維新の会代表である松井一郎・大阪市長が、24日正午すぎ、「ALS患者を安楽死か 医師逮捕」というこの事件の一報をリツイートしたうえで、こうツイートしたことだった。
〈維新の会国会議員のみなさんへ、非常に難しい問題ですが、尊厳死について真正面から受け止め国会で議論しましょう。〉(7月23日 午後0時50分)
この時点では容疑者が優生思想の持ち主であることがわかっていなかったとはいえ、すでに「主治医ではなくSNSで知り合った」ことは報じられており、多くの人が疑問を抱いていた。詳細もわかってないのに、こんな事件に乗じて前のめりで「議論しましょう」というのはあまりに軽率だろう。
容疑者が優生思想ゆえの犯行だったことを知っても松井市長や維新議員は開き直り
いや、松井市長にとっては、この容疑者たちが優生思想をもっていることを知っていても、同じだったのかもしれない。
実際、容疑者の優生思想が発覚した後、批判を受けても、松井市長はツイートを訂正も撤回もしていない。それどころか、共産党の山本のりこ・大阪市議が〈今回の事件で殺害を犯した医師は優生思想を主張する人物で、そこに人間の命に対しての尊厳はありません。この事件を受けて尊厳死の議論を喚起するというのは優生思想、安楽死、尊厳死などの区別もついておらず、非常に危険であり首長の発言として問題だと思います〉と批判したことに対し、こう開き直ったのだ。
〈結局、共産党は難しい問題からは逃げる政党です。現実に難病患者の方が他人の手で命を絶ったのです。この様な悲惨な事案はこれまでもありましたが、国会でまともな議論がなされていません。政治家が難題課題を議論する当然の事です。〉
維新のほかの国会議員たちも、同じような言動をしている。れいわ新選組の舩後靖彦参院議員がコロナ感染防止のため国会を欠席したことに対して歳費返納を要求したことで、障害者差別思想を露呈した音喜多駿参院議員がすぐに〈まさに避けて通れない問題です。まず議論を重ね、方向性と提言を出したいと存じます〉と松井市長に賛同。ネトウヨ・足立康史衆院議員は、松井市長の発言を批判した津田大介氏に対して、こうかみついた。
〈実際、今回の事件を契機に生きる権利/死ぬ権利、安楽死/尊厳死についての議論が活発になっています。私は良いことだと思いますよ。にもかかわらず津田さんは「今回の事件を機に」議論を深めようとする政治の取り組みを不適切不適格と断じる。津田さんのレッドラインを教えていただけると有難いです。〉
いずれにしても、彼らの発言をみていると、今回の事件をとにかく安楽死正当化に利用したい気持ちだけがダダ漏れで、事件を生み出した優生思想そのものをまったく批判していない。
あらためて説明しておくが、今回の事件は、ALS患者の生に寄り添い真剣に考えた上で止むに止まれず本人の意思を尊重したようなものではなく、優生思想の持ち主が「安楽死」の名を借りて殺人を犯しただけの可能性が高い。
「安楽死」「自己決定」の名のもとに、障害者や難病患者、高齢者が犠牲となってきた例は歴史上いくつもある。あのナチスが障害者を虐殺した「T4作戦」も、「安楽死」「自己決定」の名のもとに行われた。今回の事件はそうした危険な排外思想の延長線上にあるのだ。
健常者の立場の「安楽死」の価値観を押し付け、障害者に延命を拒否させる維新の姿勢
しかも、維新の連中が恐ろしいのは、ALS患者をはじめとする難病患者や障害者が置かれている状況への想像力をまったく欠いていることだ。
自身もALS患者であるれいわ新選組の舩後議員が事件を受け、オフィシャルサイトにこう声明を出していた。
〈報道を受け、インターネット上などで、「自分だったら同じように考える」「安楽死を法的に認めて欲しい」「苦しみながら生かされるのは本当につらいと思う」というような反応が出ていますが、人工呼吸器をつけ、ALSという進行性難病とともに生きている当事者の立場から、強い懸念を抱いております。なぜなら、こうした考え方が、難病患者や重度障害者に「生きたい」と言いにくくさせ、当事者を生きづらくさせる社会的圧力を形成していくことを危惧するからです。〉
〈私も、ALSを宣告された当初は、出来ないことが段々と増えていき、全介助で生きるということがどうしても受け入れられず、「死にたい、死にたい」と2年もの間、思っていました。しかし、患者同士が支えあうピアサポートなどを通じ、自分の経験が他の患者さんたちの役に立つことを知りました。死に直面して自分の使命を知り、人工呼吸器をつけて生きることを決心したのです。その時、呼吸器装着を選ばなければ、今の私はなかったのです。〉
〈「死ぬ権利」よりも、「生きる権利」を守る社会にしていくことが、何よりも大切です。どんなに障害が重くても、重篤な病でも、自らの人生を生きたいと思える社会をつくることが、ALSの国会議員としての私の使命と確信しています。〉
また、自身もALS患者である日本ALS協会副会長・近畿ブロック会長の増田英明氏も、患者の「死にたい」を鵜呑みにしないでとこう訴える。
「私たちの団体には、彼女のように生きることに迷う人たちがたくさんいます。そういう人を前にして苦悩する家族や支援者もいます。生きることよりもそうじゃない方が楽なのかもしれないと傾きそうになりながら、必死に生きています。彼女を死に追いやった医師を私は許せません。私たちが生きることや私たちが直面している問題や苦悩を、尊厳死や安楽死という形では解決できません。生きてほしい、生きようと当たり前に言い合える社会が必要」(京都新聞24日付)
舩後議員や増田副会長も語っているように、仮に患者が「死にたい」と口にしたからといって、「死にたい」というのが本当に患者の希望と言えるのかどうか、それが時間や環境の変化で変わらないものなのかどうか、簡単に判別できるものではない。
仮にその時点で「死にたい」というのが本心であったとしても、友人や家族に「死にたい」と相談されて、じゃあ死ぬ方法を一緒に考えよう・手伝おうなどという人はほとんどいないだろう。なぜ死にたいと感じているのか、その苦しみを取り除くにはどうすればいいか、考えるだろう。
だが、維新の連中には、そういう視点はまったくない。まさに健常者が想像上で考えているだけの「苦しみながら生かされるのは本当につらい」という価値観を押し付けて、障害者や高齢者に死を選ぶよう圧力をかけているのだ。
「透析患者は殺せ」の長谷川豊を公認し、大阪万博にも「医療費削減」思想
しかし、考えてみれば、維新がこんな事件に乗じて「尊厳死の議論を」などというのは、ある意味、当然なのかもしれない。
維新は、橋下徹・元大阪市長の時代から財政健全化のための福祉切り捨てを推し進めてきたが、その底流には、人間を経済効率でしかみない、新自由主義的な弱肉強食思想がある。
実際、2017年の衆院選では、元フジテレビアナウンサーの長谷川豊氏を党の候補として公認。長谷川氏はその少し前に、〈「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ! 無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」〉と透析患者の殺害まで口にし、批判を浴びていたが、維新はまったく問題にしなかったのである。
それどころか、2017年当時、長谷川氏の擁立を決めたことについて、維新の幹部は「維新の政策と長谷川氏の主張は近い」(産経ニュースより)などと語っていた。ようするに、長谷川氏の「透析患者は殺せ」発言が、維新の思想と大差ないということだ。
たとえば、維新が推進する大阪万博にもその思想はあらわれている。大阪万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」をキャッチコピーに、当初「健康」や「長寿」をテーマとし、「健康寿命の延伸」を訴えていたが、大阪府の基本構想案では開催効果のひとつとして〈寿命の延伸による健康・長寿社会の実現、その結果として社会保障費の増加抑制〉をあげていた。また同万博について経産省が取りまとめた資料でも、健康寿命について〈我が国の医療費は、高齢者向けが約半分であり、入院関係が多くを占めている〉〈健康寿命が伸びれば、高齢者向け医療費が節約できる可能性〉などと書かれている。健康寿命が伸びることで、個々人がどのような豊かな生活を送ることができるかということではなく、医療費削減のことしか考えていないのだ。
厚労省医系技官だった大久保容疑者は、ツイッターなどで、高齢者や障害者、生活困窮者にかかる医療や福祉の費用は社会資源の無駄であり、日本国の財政を逼迫させるだけ、早く殺してしまったほうがいいという主張を繰り返していた。
コロナ禍で広がる「老人より若者の命を優先せよ」の命の選別論との合体
本サイトは先日の記事で、大久保容疑者たちが語っていた高齢者排斥の優生思想は、この国の官僚と安倍政権の政治家たちの本音でもあると指摘したが、維新の政治家たちもまさに同じなのである。
しかし、維新のこうした姿勢は批判されるどころか、今後、さらに勢いを増していくだろう。
コロナ感染が拡大して以降、日本社会では、ICU病床や人工呼吸器、人工肺(ECMO)などの医療資源が限られた場合、高齢者より若者を優先すべき、高齢者は若者に譲るべきなどという意見が平気で語られるようになっているからだ。
また、「高齢者しか死なない病気のために、若者の経済活動が制限されなくてはいけないのか」という意見も、ネットだけでなくワイドショーなどでもかなり普通に語られている。
これらの議論について、災害現場などで行われる医療トリアージと同じようなものと勘違いしている向きも多いが、トリアージは、重症度や治癒の可能性に基づいて医療的に客観的に判断されるものであり、命の価値をはかるものではない。「高齢者より若者を優先すべき」などというのは、明らかに「命の選別」「優生思想」につながるものだ。
今回の非道な事件をきっかけに、「尊厳死の議論をしよう」などと発言している維新政治家が次に叫び始めるのはおそらく、この「若者の命を優先しろ」という「命の選別」政策だろう。こんなファシストたちをこれ以上のさばらしてはならない。
(編集部)
最終更新:2020.07.31 05:49
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