安倍首相「108兆円経済対策」は詐欺だ! 30万円現金給付の説明も嘘だらけ、月収9万円に落ちても資格なし、支払いも夏以降の可能性

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首相官邸HPより


 緊急事態宣言を発令しても、休業を余儀なくされる事業者への損失補償を拒否しつづけている安倍首相。昨夜におこなわれた記者会見では「本当に厳しく収入が減少した人たちに直接給付がいくようにしていきたい」と述べ、「強い危機感のもとに、雇用と生活は断じて守り抜いていく」「そのために、GDPの2割に当たる事業規模108兆円、世界的にも最大級の経済対策を実施することといたしました」と宣言した。

 だが、この「世界的にも最大級」というのはとんだ詐欺だ。既報でも指摘したが、「108兆円」には、たんに支払うのを延期してもいいというだけの納税や社会保険料の支払い猶予分の26兆円、さらに新型コロナとはまったく関係なく昨年末に策定した経済対策まで含めているのだ。

 しかも、このなかには新型コロナ収束後におこなうという「Go To Travel キャンペーン」「Go To Eat キャンペーン」「Go To 商店街 キャンペーン」などという「Go Toキャンペーン」の事業費1兆6794億円を計上しているほか、「反転攻勢に備えた観光基盤の整備」に158億1000万円、インバウンド回復のための「海外に向けた大規模プロモーション」に96億2400円などを計上。一方、喫緊の問題となっている「人工呼吸器の確保」には265億円、「検査体制の確保」には49億円(ともに厚労省補正予算案)しか計上されていない。

 一体いつ収束するのか世界中の誰もが知る由もないというのに、まったく解消されない検査体制費用よりもインバウンド回復のためのプロモーション費用のほうが多く計上されている……。どうしたらこんなことになるのか、さっぱり意味がわからないが、何より問題なのは、安倍首相が「本当に厳しく収入が減少した人たちに直接給付がいくようにしていきたい」と語った、現金給付の実態だ。

 この現金給付は緊急経済対策の「目玉」だというのだが、個人事業主に最大100万円、資本金10億円以下の中小企業に最大200万円の現金を給付する「持続化給付金」の予算は2兆3176億円、1世帯あたり30万円を支給する「生活支援臨時給付金」は予算4兆206億円で、計約6兆円。目玉なのに、108兆円のうちのたった6兆円なのである。

 なかでも問題になっているのは「生活支援臨時給付金」だ。今朝の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では、どういった世帯が対象になるのかを細かく解説、あまりにも不公平な内容であることを浮き彫りにした。

 たとえば、東京都の単身世帯の場合。新型コロナ拡大前に月収30万円・年収360万円だった人と、月収28万円・年収336万円だった人が、新型コロナ拡大後の2〜6月のいずれかの月でともに月収15万円・年収換算で180万円なったとする。しかし、前者の年収360万円だった人は給付対象となるが、後者の年収336万円だった人は対象外となる。「収入が半減」という要件を満たしていないからだ。

 また、4人家族で月収25万円・年収300万円という世帯でも、月収20.8万円・年収換算で約250万円に落ち込んだ場合と、月収21.6万円・年収換算で約260万円に落ち込んだ場合では、後者の世帯は給付を受けられない。東京都の4人世帯の住民税非課税世帯基準(255万円)より年収が上だからだ。

月収17万円の単身者が月収9万円になっても現金給付の対象にならない

 さらに、日本共産党の小池晃参院議員も、6日におこなわれた会見でこう述べている。

「(対象となるのは)給与所得者なら単身者で月収8万円くらい」
「たとえば月収17万円の単身のサラリーマンが月収9万円になったとしても、これでは対象にならない」

 月収17万円の単身サラリーマンが月収9万円になっても対象にならないとは、これでどうやって生活をしろというのか。しかも、同じ金額まで月収が落ち込んでも、わずか8000円月収が違うだけで給付される世帯とされない世帯に線引きされてしまうというのである。さらに、世帯主が夫である場合、妻の収入が新型コロナの影響でゼロになって世帯収入が半減しても給付されない。対象は世帯主のみだからだ。

 安倍首相は「本当に厳しく収入が減少した人たちに直接給付がいくようにしていきたい」と述べたが、これで収入が減少して困っている人、困窮している人のところに給付がおこなわれるとは、到底考えられない設計なのだ。

 本サイトでは、目の前の家賃や生活費に困っている国民がすでに出てきているのだから、とにかくスピード重視で一律給付するしかないと言及してきたが、安倍首相はそうした点には目を向けず、わざわざ条件を付けて国民を線引きし、ふるい落そうとしている。しかも、昨日の会見では、一律の現金給付を否定するために、こんな詭弁まで持ち出したのだ。

「自民党にも一律で給付したほうがいいではないかという議論がありました。私たちも検討した。例えば私たち国会議員もそうですが、公務員もいま、この状況でも全然影響を受けていない、収入には影響を受けていないわけであります。そこに果たして5万円とか10万円の給付をすることはどうなのだという点も考えなければならないのだろうと思います」

「国会議員は影響を受けていない」って、だったら国会議員だけ除外するか返納すればいいだけの話じゃないか。それを一律の現金給付の言い訳に使って、いま困っている国民のことを無視するのである。

安倍首相「一律給付は時間がかかるが自己申請なら5月に給付」は真っ赤な嘘だ

 その上、安倍首相はこんな御託も並べた。

「また、なるべくスピーディーにおこないたい。ですから、我々は5月、なるべく早く補正予算を通していただいて、5月に直ちに出ていくようにしていきたい。全員に給付するということになりますと、麻生政権のときでもやりましたが、大体手に届くまで3カ月ぐらい、どうしても時間がかかってしまう。今回はスピードも重視したということであります」
 
 一律給付は時間がかかるが自己申請なら5月には直ちにおこなえる……って、そんなバカなと言うほかない。ネット上でも〈「全員に給付だと3ヶ月かかる」とか言ってんの?かからねえよ!選挙の投票券サクッと成人全員に届くじゃんか〉〈選挙投票券を送るシステムを使って現金書留送ればいいだけの話〉などという意見も出ているが、いくらでも方法はあるだろう。

 しかも、安倍首相の言う「5月に直ちに」というのは本当か。実際、日本経済新聞電子版7日付記事では、こう伝えている。

〈給付金は国の予算だが、執行には市町村が補正予算案を成立させる必要がある。6月定例議会に予算案を出す場合、給付に向けた準備が整うのは夏ごろになる。申請が殺到した自治体では審査に時間がかかり、さらに遅れる可能性もある。〉

 このように5月どころか夏以降まで遅れる可能性があることを、政府側がまさか知らないわけがない。ようするに、給付が遅れても地方自治体のせいにしてしまえばいいと踏んで、「スピードを重視した」などと素知らぬ顔で主張しているのだろう。

 国民の暮らしがどれほど追い詰められているかも、いま早急にどんな手立てが必要かも考えず、ただケチって出し渋る安倍首相。「私たち全員が努力を重ねれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる」などと語ったが、その一方で休業補償を拒否しつづけるという姿勢からは、本気で感染防止をしようとする意志がまったくみえてこない。

 いや、もっと驚きなのは、前述した観光や外食を促進するための「Go Toキャンペーン」だ。収束後におこなうものだというが、じつは“安倍首相の代弁者”である田崎史郎氏は、今朝放送の『モーニングショー』で、こんなことを語っていたのだ。

「(収束時期は)希望的観測としては6月。遅くとも、夏の観光シーズンに間に合うようにコロナが収束してくれると、この(Go To Travel キャンペーンの)使い方も非常に活用されるようになる」

 まさか、本気で夏までに新型コロナが収束するなどと考えて、「Go To キャンペーン」の予算を1兆6794億円も計上しているのか……。当然、田崎氏の発言に対しては、玉川徹氏が「科学的な知見に基づけば、この夏に旅行に行けるようになるとは、ちょっと僕はとても思えない」と呆れたようにツッコミを入れていたが、これが田崎氏自身の考えなどではなく、安倍官邸が「夏には終わっているはずだ」などと見立て、そのために観光・外食促進のキャンペーンを用意していたとしたら、驚くほかない。

 新型コロナを侮り、国民の健康と命はそっちのけで、危機感を持っているのは経済の停滞だけ。──これが安倍政権の実態で、そのために国民に出し渋っているのだとすれば、ただただ恐怖でしかないだろう。

最終更新:2020.04.08 09:49

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