安倍首相「桜を見る会前夜祭」会費5000円では無理!? ホテルは「最低1万1千円」+「銀座久兵衛の寿司4貫2000円」

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安倍首相「桜を見る会前夜祭」会費5000円では無理!?ホテルは「最低1万1千円」+「銀座久兵衛の寿司4貫2000円」の画像1
前夜祭の会場風景(前夜祭に出演した歌手のブログより)


「臭いものには蓋をしろ」とはまさにこのことだ。昨日夕、菅義偉官房長官は来年の「桜を見る会」の開催中止を発表し、安倍首相もテレビカメラの前で「私の判断で中止にすることにしました」と述べ、公金を使った私物化問題の追及を封じ込めにかかった。

 しかも、噴飯モノだったのが、今朝放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)での田崎史郎氏の解説だ。田崎氏は「一昨日の夜に菅官房長官はすでに腹を固められていた」「中止という意味ではよかったと思うんですね」などと述べた上で、こんなことを言い出したのだった。

「2閣僚の辞任がありましたでしょ? あれも早めに辞めさせて、後任もすぐに選んでいるんです。これ、危機管理としてはスピード、ここがいちばん大事なんです。そういう意味では非常に優れた内閣だと思います」

 これには玉川徹氏も思わず失笑して「いやいや、優れてないないないない。優れてない(苦笑)」とツッコんでいたが、田崎氏はまったく何を言っているのだか。安倍首相が数百人規模の地元有権者を税金を使って接待していたという、まさしく安倍首相が引き起こした問題であり、さらには中止にして幕引きを図ろうとしているのに、それを「非常に優れた内閣」って。だいたい、「一昨日には菅官房長官が腹を固めていた」と言うが、菅官房長官は昨日午前の記者会見では「桜を見る会」招待者の「総理枠」の存在を否定していたのに、夕方に一転してその存在を認めたのだ。ようするに、虚偽の説明を平気な顔をして堂々おこなっていたのである。とんだ国民に対する背信行為ではないか。

 そもそも、だ。来年の開催を中止にしたところで、安倍首相に持ち上がっている重大な疑惑は何ひとつ晴れていない。むしろ、どんどん疑惑は膨れ上がっている。しかもそれは菅原一秀経産相と河井克行法相が辞任したのと同じ、公職選挙法違反疑惑だ。

 本サイトでは繰り返しお伝えしているが、「桜を見る会」の問題とともに焦点となっているのは、「桜を見る会」の前日夜に開催されている、安倍首相夫妻が参加する「安倍晋三後援会 桜を見る会前夜祭」なる催しだ。今年はホテルニューオータニの「鶴の間」で開催され、安倍首相の地元から後援会関係者や支持者らが約850人も参加したといわれている。

 しかし、ここで浮上したのが、この「前夜祭」の費用がどこから出ているのかという問題だ。安倍事務所が参加希望者に送付していた2018年の「『桜を見る会』について(ご連絡)」という資料では〈会費 5000円(18歳以上お一人様)※当日、受付でお支払下さい〉と記載。山口からやってきた地元支持者たちは受付で5000円の会費を支払って参加していたとみられる。

 そして、重要なのは、果たして会費5000円でこの「前夜祭」が賄えるのか、ということだ。もし5000円で賄えず補填がおこなわれていた場合、公選法違反にあたる。実際、岩井奉信・日本大学法学部教授も昨日放送の『ひるおび!』(TBS)でこう指摘していた。

「(会費では)足りない部分を安倍事務所なり何なりが補填をしたとなってくると、これは昔、小渕優子(元経産相)さんの問題が出たように、当然、(公選法で禁止されている)地元の有権者に対する寄附行為にあたると。これは大問題にあたるわけですよね」

 そこで、5000円の会費で立食パーティーを開催することが可能なのか、その点についてホテルニューオータニに問い合わせてみた。

ニューオータニ に問い合わせると…「1人5000円のパーティプランはない」

 まず、会場費と料理代を含めて「もっとも安くていくらからか」と尋ねると、「1万1000円のプラン」と回答。「5000円でお願いできると聞いたのですが」と訊いてみると、こんな答えが返ってきた。

「そのようなプランはございません」

 ホテルニューオータニは国内を代表する高級ホテルのひとつであって、5000円のプランがないというのは当たり前の話だろう。しかも「前夜祭」では、オバマ大統領来日の際に訪れた高級店「銀座久兵衛」の寿司までふるまわれていたと指摘されている。つまり、最低でも1万1000円+久兵衛の寿司オプションの代金がかかるはずなのだ。

 だが、きょうの『モーニングショー』では、田崎氏がこんな擁護を展開していた。

「これね、訊いてみますと立食パーティなんですよね。テーブルがいくつもあって、そのなかに寿司があったかもしれない。ですけども、850人の方々に、全員に久兵衛の寿司を出しているわけじゃない。当たり前のことながら。で、実際にこういうときの食事を出すのは、850人集まられたとしても、人数の半分くらいしか食事を出していないんですね」

 食事は人数の半分くらいしか出さない──。いかにも“パーティ慣れしてます風”に田崎氏は解説したが、通常ホテルの宴会は料理代での稼ぎが大きいわけで、「半分だけにして」などという発注が通るのか。

 そこでホテルニューオータニに、仮に「鶴の間」を600人で借りて、料理が余るかもしれないので300人分でお願いするということは可能かどうか尋ねると、「時々の状況によってお話し合いのなかでないわけではない」ものの、「それを前提でお受けすることはありません」ということだった。この「時々の状況」というのは、宴会場に空きがあるときに直前予約が入るような場合だという。つまり、通常の契約では、田崎氏の言うような「人数の半分くらいしか食事を出さない」というのはありえないのだ。

銀座久兵衛の寿司をオプションでつけると1万1000円+4貫2000円!

 しかも、“スシロー”の異名を持つ田崎氏は、久兵衛の寿司についても「全員に久兵衛の寿司を出しているわけじゃない」と熱弁をふるったが、では、1万1000円の立食プランで久兵衛の寿司をオプションでつけると一体いくらかかるのか。やはりニューオータニに問い合わせると、その答えはこうだった。

「4貫2000円です」

 さすがは高級店だが、4貫2000円ということは、単純に850人の半分にあたる425人が2貫食べたとしても42万5000円が追加され、1人当たりの予算は1万1500円ということになる。

 だが、繰り返すが、「前夜祭」の会費は5000円だったのだ。ようするに、いちばん安い1万1000円のプランで久兵衛のオプションをつけ、仮に参加者の半数が2貫食べたという単純計算でも、6500円も差額が出るのである。その上、今年の「前夜祭」ではシャンソン歌手を招いてステージまで披露しているのだ。そこにギャランティが発生している可能性も考えられるだろう。

 前述したように、この差額を「桜を見る会」ツアーを取り仕切っていた安倍晋三事務所や安倍晋三後援会、あるいは安倍首相自身が私費から出していたとしたら、それは2014年に小渕優子経産相が辞任に追い込まれた「観劇ツアー」問題と同じで、差額分は有権者に対する利益供与となり、公選法違反の疑いが出てくる。

 そして、この「前夜祭」問題を追及されることを、いま安倍首相はもっとも警戒しているのだろう。実際、8日の参院予算委員会で共産党の田村智子議員が「『桜を見る会前夜祭』と翌日の『桜を見る会』がセットになって、山口県のみなさんと親しく懇親をする。そういう場になっているんじゃないですか」と質問すると、安倍首相は「懇親会(前夜祭)に私が出席をして写真等を撮っているのは事実」とした上で、こう答弁した。

「もちろん、それは、各個人がですね、それぞれの費用によって、この、上京し、そして、この、ホテルとの関係においても、それはホテルに直接払い込みをしているというふうに承知をしているところでございます」

安倍首相の「前夜祭会費は各個人がホテルに払った」という答弁の信ぴょう性

 なぜ、安倍首相は訊かれてもいないのに、「個人がホテルに直接払い込んだ」とあえて強調したのか。それはたぶん、政治資金規正法では「対価を徴収して行われる催物」は政治資金パーティーと規定されており、その収入や経費などは収支報告書に記載しなければならないのに、安倍首相が代表の政党支部や関係する政治団体の収支報告書には、この「前夜祭」にかんする収支の記載がないからだ。つまり、安倍首相は「参加者はホテルに直接払い込んでいるから報告義務はない」と主張したのではないか。

 だが、「安倍晋三後援会」と銘打たれたパーティなのに、参加者が個人でホテルに払い込むなどということは現実的に考えにくい。普通、こうしたパーティは主催者側が受付をおこない会費を徴収してとりまとめ、その後、ホテル側に支払うものだ。そうでなければ、ドタキャンが出てきたときにホテル側が損をしてしまう。

 実際、この点もホテルニューオータニに問い合わせてみたところ、「ケースバイケース」だが、やはり主催者側が受付で現金を受け取り、それを幹事がとりまとめて支払うのが「通常」だということだった。

 まあ、普通に考えて当たり前の話だろう。そもそも前述したとおり、最低でも1人当たり1万1000円以上かかっており、「各個人」の会費5000円だけで賄ったとは考えにくいのだ。ともかく、政治団体である「安倍晋三後援会」がこの「前夜祭」を主催していた場合、政治資金規制法違反の疑いまで出てくるのである。

 田崎氏は「安倍事務所もすごい慣れているから、政治資金の処理に。みすみす公選法違反になることはするはずがない」と豪語したが、このように、ことごとくその主張は崩されているのである。

 安倍首相は菅原・河井両大臣が辞任したことについて、「政治資金規正法や公職選挙法などに関わる疑問が呈されたが、内閣の一員であろうとなかろうと、与党であろうと野党の議員であろうと、説明を果たしていかなければならない」(8日参院予算委)と答弁している。そうであるならば、「桜を見る会」をめぐって公選法違反疑惑の「前夜祭」の差額問題と政治資金規正法違反疑惑が濃厚になったいま、安倍首相にはしっかり「説明を果たして」いただこうではないか。

最終更新:2019.11.14 10:06

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