小川彩佳『NEWS23』にテレビ朝日が『激レアさん』をぶつける妨害! ジャーナリズム放棄し『報ステ』から追い出したくせに

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3日から小川アナがキャスターをつとめる『NEWS23』(TBS公式 YouTubooより)


 6月3日、テレビ朝日『報道ステーション』でサブキャスターを務めていた小川彩佳アナウンサーがその舞台をTBSに移し、ライバル番組『NEWS23』のメインキャスターとして登場する。ところが、その初登場の日に、古巣のテレビ朝日が恥も外聞もない妨害作戦に出るようだ。

 なんと、小川『NEWS23』を潰すために、別の時間帯で放送されている人気番組を移動してぶつける特別編成を行ったのだ。

 その番組とは、オードリー・若林正恭と弘中綾香アナウンサーがMCを務めるテレ朝の人気バラエティ『激レアさんを連れてきた。』。もともと月曜深夜23時20分から放送されていた番組だったが、視聴率が好調だったため、今年4月から土曜午後10時10分スタートというプライム枠に“昇格”したばかり。ところが、プライム枠に移した早々に、この人気番組を1回だけもとの放送枠に戻し、1時間特番『激レアさんを連れてきた。月曜日に里帰り SP』を6月3日の深夜23時20分から放送するのだという。

「これは明らかに同日23時スタートの小川アナ初登場『NEWS23』にぶつけたものです。4月にプライム枠に移って1カ月。そんなタイミングでわざわざ月曜日の深夜に特番を放送するんですからね。テレ朝の小川アナ憎しは相当なものです」(スポーツ紙テレビ担当記者)

しかし、これ、逃げられた側の感情的な嫌がらせというだけではない。テレビ朝日にはどうしても、小川アナを潰さないとメンツが立たない事情があるのだ。

 小川アナは、古舘伊知郎キャスター時代の2011年4月から2018年9月まで『報道ステーション』にサブキャスターとして出演していたが、たんなる「添え物」でなく、社会問題への強い関心とジャーナリスティックな視点をもっていることで、高い評価を得ていた。取材にも積極的に出かけ、要所要所で的確なコメントを発し、時を経るごとに存在感を増していった。

 政権に不正や問題が起きると、臆することなく厳しい発言もしていた。たとえば、安倍首相が生出演した際も、MCの富川悠太アナやコメンテーターの後藤謙次が攻めあぐねるなか、厳しい質問を投げかけ、安倍首相を憮然とさせた。

 ほかにも、ICANノーベル賞受賞の際には核兵器禁止条約に反対する安倍政権の姿勢を厳しく批判したこともあるし、2018年4月に発覚したテレ朝女性記者のセクハラ被害問題や、2016年の相模原の障がい者大量殺害事件でも、存在感を発揮し、一貫して弱者の立場に立った解説や取材を行っていた。

 こうしたスタンスはスタッフの指示やそのときの空気に流されたものではない。小川アナは、2017年2月、テレビ朝日の公式ブログで、メディアの使命についてこう綴っていた。

〈メディアが期待されていること…というのを私が語るのはとてもおこがましいのですが、ニュースを伝える、ということだけでなく、権力を監視する、埋れている事実を浮き彫りにする、そして時に、声をなかなかあげることができない人の立場に立ち、寄り添う、ということでもあるんじゃないかな、と個人的には思っています。〉

テレ朝が嫌がった小川彩佳のジャーナリスティックな部分をTBSが評価

 ところが、テレビ朝日では、安倍首相と癒着している早河洋・テレビ朝日会長ら上層部による、報道番組への圧力が強化され、『報道ステーション』でも政権批判をさせないような大幅な組織変更が強行された。それは、古舘伊知郎が降板する前からすでに始まっていたが、とくに顕著になったのは去年の7月、早河会長の子飼いである桐永洋チーフロデューサーが就任してからだ。

 桐永体制の『報ステ』は政権批判や安倍政治の問題点の追及をほとんどやらなくなり、去年10月の改編で、『報ステ』早河会長のお気に入りの徳永有美アナをキャスターに抜擢、物言うアナウンサーだった小川アナを同番組から追い出してしまったのだ。

 しかも、『報ステ』を辞めさせられた小川アナの異動先は、ネトウヨ論客も多数出演する『Abema Prime』という、嫌がらせのような人事だった。小川アナが支持を集めたのはジャーナリスティックでリベラルなスタンスだったにもかかわらず、テレ朝は番組でコスプレをさせたり、露出多めの衣装でドラマに出演させたり、とセクハラまがいのことも行っていた。

 こうした扱いを受けた小川アナが、テレビ朝日を辞めたいと考え始めたのは当然だろう。そして、TBSがその情報をキャッチし、『NEWS23』のキャスターをオファーしたというわけだ。

「TBSはテレ朝時代から人気のある小川アナの起用で、『NEWS23』の視聴率をなんとかしたいという思惑があるのはもちろんですが、リベラルなスタンスやジャーナリストとしての資質についても高く評価している。報道局も、小川アナなら、『NEWS23』 のこれまでの路線を引き継いでくれる、と諸手を挙げて賛成したようです」(TBS関係者)

 5月29日に行われたTBS幹部の定例会見でも、そのことは見て取れた。小川アナについて聞かれた際、TBS佐々木卓社長は「小川さんはジャーナリストとして、しっかりしている。『NEWS23』の顔になっていただいて、夜のニュースゾーンを引っ張っていただくのに、ふさわしい方だなというふうに思っています」。本田史弘報道局長も「ジャーナリズムへの確かな視点を持っている方。時代の共感者として確かな伝え手として幅広い層から支持されている方です。ニュースを人ごとでなく、自分のものとして感じ取って伝えるという力に長けた方と思っています」とジャーナリズムの部分を強調したのだ。

小川彩佳に活躍されたらメンツ丸潰れのテレ朝上層部が“小川つぶし”を大号令か

 しかし、これに我慢ならなかったのがテレビ朝日だった。テレビ朝日としては、小川アナのジャーナリスティックな部分を“邪魔者扱い”して、メインのニュース番組から追い出したわけだから、ジャーナリスティックな報道番組のキャスターというかたちで活躍されては、まさに面目丸潰れになる。テレビ朝日の角南源五社長は28日の定例会見で、小川のキャスター就任について問われ「他局に関することでございますので、コメントは控えたいと思います」と無関心を装ったが、実際は、上層部が局内に「なんとしてでも小川を潰せ」と大号令をかけたといわれている

 実際、小川アナへの嫌がらせは退社前後から始まっていた。本人は退社時点で結婚を決めていたわけでないのに、わざわざ“寿退社”という嘘の理由を発表。『NEWS23』への移籍が噂されると、「ルール違反」だとTBSに圧力をかけたり、小川アナ個人のネガティブ情報をマスコミにさかんにリークしたともいわれている。

 そして、極めつきが今回の、小川アナの『NEWS23』キャスター就任初日に人気バラエティ『激レアさんを連れてきた。』を移動させてぶつけるという、特別編成だ。

 そんな嫌がらせをする暇があったら、貴重なジャーナリズム精神をもった人気アナウンサーに逃げられないような番組作り、報道姿勢を見せたらどうかと思うが、現在のテレ朝にはそうした気概すら残されていないらしい。それどころか、テレビ朝日はで辺野古取材など現場主義の取材の評価が高かった『報道ステーション』のフィールドリポーター だった平石直之アナウンサーをも降板させ、小川アナが務めてきたAbema TV『Abema Prime』司会進行の後任という人事を行うなど、露骨なリベラル、政権批判排除人事を続けている。

 そんな惨憺たる状況のテレ朝の一方で、小川が移籍する『NEWS23』はジャーナリストとして知られた故・筑紫哲也がメインキャスターをつとめた時代と比べれば弱くなったとはいえ、いまもギリギリ政権批判の姿勢を崩さず、がんばっている。実際、5月31日の放送ではこの日で番組を去る駒田健吾アナがこんなコメントを残している。

「私は学生時代からこの番組に携わることが夢でした。30年間続くこの番組、人が変わっても精神が変わることはありません。今後とも厳しい目でこの番組をご覧いただきますよう、よろしくお願いいたします。ありがとうございました」

 こうした精神を引き継ぐことになる小川アナ。古巣テレ朝の嫌がらせをはねのけ、新天地での活躍を期待したい。

最終更新:2019.06.03 09:24

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