安倍は改憲強行を諦めてない! 自民党改憲推進本部で「護憲派を敵とみなし名指しでネガキャンせよ」の議論

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「護憲派の国民は『敵』」。写真は首相官邸HPより

 改正入管法や改正水道法など、政府与党が数々の問題法案を強引に成立させた臨時国会だが、安倍首相が目指していた自民党憲法改正案の提出は、持ち越しとなる見通しだ。

 安倍首相は昨年の憲法記念日に「2020年の改正憲法施行」をぶちあげ、今年8月12日の長州「正論」懇話会では「自民党としての憲法改正案を次の国会に提出できるよう、取りまとめを加速すべきだ」と明言。臨時国会が始まるにあたっての所信表明演説でも「憲法審査会において、政党が具体的な改正案を示すことで、国民の理解を深める努力を重ねていく」などと大見得をきっていた。

 ところが、党人事でも側近の下村博文元文科相を党の憲法改正推進本部長にあてることで、9条への自衛隊明記を軸とする“安倍案”でコントロールしようとした安倍首相だが、肝心の憲法審査会では実質的な審議すらできず、今国会での改憲案提出を断念するに追い込まれた。

 しかし、これで改憲のリスクが遠のいたわけではない。むしろ、任期中に何が何でも成し遂げたいとする安倍首相は、今後、ますます強引かつ危険なやり方で改憲を推し進めていくだろう。

 兆しはすでに出ている。時事通信によれば、5日の自民党憲法改正推進本部の会合で、情報番組のコメンテーターなども務める川上和久・国際医療福祉大学教授を招き、「憲法改正国民投票の最大の壁とは」とのテーマでヒアリングを行ったのだが、そこで川上氏が〈投票に向けて改憲派も反対派を敵と位置付け、名指しで批判するなどネガティブキャンペーンが必要と説いた〉というのだ。会合で配られた資料には「改憲派自身も何らかの『敵』を作り、国民の不安、怒りなどを覚醒させるしか方法はない?」などと記されていたという。

 ようするに、自民党はメディアを通じて、護憲派を「敵」として攻撃するキャンペーンを行おうという算段らしい。有権者である国民を「敵」扱いするとは、呆れてものも言えないとはこのことだが、振り返れば、安倍首相は第二次政権以降、朝日新聞などのリベラルメディアをバッシングし、政権に批判的な報道番組などに圧力をかけることで、一部マスコミと国民との「敵対構造」を先導し、自らの支持に結びつけてきた。同じことを、今度は護憲派に対してやろうということだろう。

 いや、そうしたやり方は、この臨時国会の会期中も随分見せつけられてきた。先月、自民党は衆院憲法審査会の開催を野党に強引に迫り、これを野党が拒否すると、下村元文科相がテレビ番組で「職場放棄だ」と暴言を吐いた。結果、大きな反発を招いて下村氏は憲法審査会の幹事を辞退することになったが、こうした攻撃は「対案を出さないで改憲に反対するのは怠慢だ」なる印象操作でもある。

今後、今国会での改憲案提出を断念もまた、「議論すらしようとしない野党が悪い」という空気作りに利用されるだろう。野党を「敵」「悪者」に見立てることで、憲法審査会での議論をすっ飛ばしたい。そんな思惑すら見え隠れする。そして野党だけではなく、次は、改憲に反対する国民も「敵」としてこうした卑劣な攻撃に晒されるのだ。

 さらにいえば、第二次安倍政権では、9条護憲に関する集会が公共施設の使用を拒否されたり、使用許可が取り消されたりするケースが相次いでいる。また、自民党がホームページで、「子どもたちを戦争に送るな」という教員らを「偏向教育」として密告させるフォームを設置したことも大問題になった。ラジオDJなどの活動で知られるピーター・バラカン氏は、9条関連のTシャツを着て公園を歩いていただけで、警察官に職務質問されたという。9条と憲法の平和主義を“危険”扱いして排除する流れを安倍政権は作り出してきた。

リベラル派や護憲派の学者・文化人へのデマ、スキャンダル攻撃が始まる

 そうしたなかで今回、自民党の憲法改正推進本部で「護憲派を敵と見立てよ」との話が出てきたわけである。前述の下村氏のように、安倍改憲に反対する野党を「職場放棄」などと攻撃するような、直接的なものだけではないだろう。たとえばいま、リベラル派や護憲派の学者・文化人に対しては、ネット右翼が日々、デマを振りまいてその人格を貶めるネガティブキャンペーンを行なっているが、おそらく、それと似たようなことを政権がどんどん仕掛けてくるはずだ。実際、御用メディアに護憲派の人物に関してあることないこと吹き込んで「スキャンダル記事」を書かせるというのは、今までも陰で行なわれてきたことだ。

 また、テレビ地上波では、いままで以上に、リベラル派・護憲派のコメンテーターの起用が控えられるようになるだろう。官邸や自民党による度重なる圧力の結果、すでにワイドショーや情報番組の出演者は、安倍政権の応援団か当たり障りのない中立論者ばかりになってしまった。その延長線上で、さらに「護憲派=敵」というキャンペーンが進めば、護憲派文化人、ジャーナリスト、学者らが一切、テレビから排除されていくだろう。

 安倍首相は昨年の都議会選の応援演説において、政権を批判する市民に向かって「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と叫んだ。国民を分断し、批判する者を「敵」として吊るし上げる。それが安倍首相のやり方だ。何度でも繰り返すが、同じことが憲法改正で行われようとしている。国民の半数を「敵」に見立て、その思想信条を攻撃しようとしている政権与党の姿勢は、民主主義国家のあるべき姿ではない。もはや、反戦主義者を「思想犯」として取り締まった、戦前・戦中のそれである。

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