テレ朝が森友事件をモデルに北川景子主演ドラマ放送も、圧力で脚本改ざん? 「正義のため国有地売却」のストーリーに

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
テレ朝が森友事件をモデルに北川景子主演ドラマ放送も、圧力で脚本改ざん? 「正義のため国有地売却」のストーリーにの画像1
テレビ朝日公式HPより

 9月23日に放送された北川景子主演のスペシャルドラマ『指定弁護士』(テレビ朝日)がネットなどで話題になっている。その内容が実際に起こった“森友学園問題”を彷彿とさせるものだったからだ。

 ドラマは北川景子演じる弁護士の一ツ木唯が指定弁護士を引き受けたことから始まる。指定弁護士とは検察が“不起訴”にした案件を「検察審査会」が起訴相当と判断した際に、新たに始まった裁判で、検察官役として指定される弁護士のことだ。そして唯が担当することになった事件が、まるで森友問題をモチーフにしたとしか思えないほど詳細に至るまで酷似していたのだ。

 唯が担当することになった事件は、京都選出の衆議院議員・田金清造(石橋蓮司)をめぐる事件だ。差別発言などでワイドショーを賑わす田金が法務大臣だった当時、国有地が社会福祉法人に売却されたが、10億円相当といわれたその土地を2億円で払い下げられていた。そして田金はこの社会福祉法人の名誉顧問もつとめていたという設定だ。

 さらに唯の調査でこの払い下げに関し、当初、関西財務局は払い下げを許可しなかったが、しかし財務省が許可したことも判明。また土地は汚染されており、払い下げの際、除染費用があらかじめ値引きされていたが、実際には除染作業は行われておらず、さらに国からの補助金も出ていたことなどが次々と明らかになっていく。そして加熱するマスコミ−−−−。

 まさに実際の森友学園問題で次々と問題が浮上していった過程とそっくりだ。ほかにも田金の公設秘書の自殺や、関係省庁の文書隠蔽や破棄、国会での忖度答弁、社会福祉法人からの献金など、実際の森友学園問題を想起させるエッセンスが散りばめられている。

 ここ最近、民放のドラマでは、政権の不正を告発するような動きが起きていた。たとえば今年2月16日に放送された『アンナチュラル』第6話では(TBS)では安倍首相御用ジャーナリストの山口敬之“事件”を想起させるストーリーが展開されていた。また1月17日に放送された『相棒』(テレビ朝日)では事件そのものだけでなく、事件に警察幹部が介入してもみ消しを画策、さらに事件の背景には政治家と高級官僚の癒着も描かれていた。さらに元旦に放送された『相棒16 元日スペシャル』(テレビ朝日)では、安倍政権下で暗躍する北村滋内閣情報調査官をモデルにしたと思われる人物が登場し、現実に進行する監視社会、公安警察の暗躍など、その危険性を示唆する要素が散りばめられていた。

 これらは、安倍政権の言論圧力の結果、報道部門がすっかり萎縮し忖度している状況のなか、せめてドラマというフィクションで一矢報いようとするテレビ人の良心といっていいだろう。

 だとすると、今回の『指定弁護士』も、森友学園事件をモチーフに、安倍政権のお友達優遇や、政権を起訴できない検察の問題点を浮き彫りにしながら、これから始まるであろう、森友事件の検察審査会の審査と起訴をシミュレーションしようと考えたのだろうか。

 しかし、残念ながら、そういうものではまったくなかった。福祉法人の土地を格安売却した法務大臣の田金は唯の活躍で、強制起訴されることになるのだが、その後、ドラマは訳のわからない方向に展開し始める。法廷シーンになっていきなり、唯が「内閣官房機密費から京都府に支出されたある予算」という資料を示しながら、こんな主張を始めたのだ。

「すべての予算は2010年からはじまっています。裁判員制度が本格的に始まった年です」
「裁判員制度の導入で裁判員裁判用の法廷を作ったり、モニターをつくったり、裁判員の待合室や評議室をつくったり、裁判官を毎年増やさざるを得なくなったり、その費用です」

国有地格安売却は「裁判員制度を守るためだった」という驚愕の展開が

 さらに、裁判官の「京都府の裁判員裁判の対策費用ってことですか?」という質問に対して、「そう言ってもいい予算が内閣官房機密費からでて、辰波福祉会に交付された補助金に化け、それが裁判所や検察庁に流されていたんです」と答える唯。そして、田金にこう迫るのだ。

「あなたは当時国有地の払い下げ認可がおりなくて困っていた辰波福祉会に目をつけ、補助金に化けさせた内閣官房機密費の中継地とするかわりに、払い下げ認可の口利きをした。それも8割引で」

 つまり、裁判員制度導入に際し、多額の費用が必要となった。しかし、それは世論の反発を受ける。そこで、その費用を内閣官房機密費から捻出することにして、福祉法人の補助金をそのためのつなぎにした、そういうことらしい。

 はっきり言って、ほとんどの視聴者は意味不明で頭がクラクラしたのではないか。話が専門的だからではない。あまりに荒唐無稽すぎるからだ。そもそも国の設備や人件費は財源を明かす必要があるから、官房機密費でまかなうことは不可能だ。百歩譲ってその部分は目を瞑るとしても、せっかく官房機密費から捻出することが決まったものを、わざわざ無関係な福祉法人への補助金に化けさせる、というのが意味がわからない。アシのつかない金をわざわざ顕在化させて、その後にどうやって、裁判員制度の費用に転用するのか。とにかく、何度、見返しても、話に整合性がなくて、めちゃくちゃなのである。

 しかも、この荒唐無稽な種明かしは、ほとんど伏線らしい伏線もなく、突然、始まる。頭がクラクラするのは当然だろう。

 さらに、驚いたのはその後の展開だった。元法務大臣の田金は法廷でこう告白したのである。

「我々はただ、日本のため当時批判ばかりだった裁判員制度をなんとか成功、いや失敗は許されないという重圧と闘っていたんだ」
「我々は今でも日本の正義のために闘っているんだ」

 そして、田金は無罪になり、ワイドショーでは、こんな街の声が流される。

「裁判員制度を守るためのお金なんだったなら、最初から言えばいいのに」
「そういう税金の使い道なら、最初から正直に言えば怒ることもなかったのよ。嘘をつくから」

 さらに唯までも「当時批判ばかりだった裁判員制度のために税金が大量に使われるとマスコミが騒いだら、裁判員制度は叩かれ、頓挫したかもしれない」などと、田金の法廷での主張に同意するようなことをつぶやく。

突如、強まったドラマへの圧力! 権力への忖度でストーリーに修正指示が!

 ようするに、途中から、田金の国有地格安売却は私利私欲のためではなく、裁判員制度を守るため、正義のためだったという話になってしまったのだ。

 何度でも言うが、まったくワケがわからない。国有地格安売却を無理やり正当化するような展開はもちろんだが、主義主張以前につじつまが合わないことだらけで、ドラマとしても完全に破綻しているのだ。その内容はほとんど放送事故レベルといってもいいだろう。

 いったいなぜ、地上波のキー局でこんなひどいドラマが放映されてしまったのか。実は、これには、どうも理由があるらしい。ドラマを放送したテレビ朝日で、内部の圧力により、脚本がズタズタにされてしまったようなのだ。

 本サイトでも何度か指摘しているが、テレビ朝日ではいま、あちこちに“異変”が起きている。たとえば夜の報道番組『報道ステーション』から政権批判が極端に減少し、昼の情報番組『ワイド!スクランブル』は9月で橋本大二郎キャスターが降板、代わってネトウヨに大人気の小松靖アナが後任をつとめることが明らかになっている。また朝の情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』もある時期から政治的トピックの扱いが極端に少なくなっているのだ。

 その背景には、安倍政権に近い早河洋会長の意向があると言われている。周知の通り、テレ朝の早河会長は2013年より幻冬舎の見城徹社長の仲介をきっかけに安倍首相と会食を繰り返すようになり、それ以降、政権の意向を忖度、安倍政権批判を封じる方向が顕著になったからだ。そしてそれは報道番組や情報番組に対してだけではなかった。あるテレ朝社員はこう話す。

「これまでテレ朝はドラマにおいても社会問題や権力批判に切り込む作品を数多く作ってきました。しかしここ最近、プロットやシナリオ、製作段階での審査、考査が非常に厳しくなっているんです。とくに権力批判などについては、山ほど指摘やNGが入る。その結果、脚本書き直しの連続で、現場は大混乱に陥っています。この『指定弁護人』は森友学園の事件をモチーフにしていますから、相当やられたんじゃないでしょうか。本当はもっとリアルに森友事件を描いて、検察審査会で強制起訴された後の裁判をシミュレーションしようとしていたのに、森友事件と違う要素を入れろとか、大臣を一方的に悪者にするなとか、いろいろいわれて、収拾がつかなくなったんでしょう」

 安倍政権の圧力とマスコミの忖度はとうとう、ジャーナリズムだけでなくドラマ制作というフィクション表現にまで及びはじめた、ということらしい。この国の言論は末期症状を迎えているといっていいだろう。

最終更新:2018.09.25 05:16

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

テレ朝が森友事件をモデルに北川景子主演ドラマ放送も、圧力で脚本改ざん? 「正義のため国有地売却」のストーリーにのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。テレビ朝日北川景子指定弁護士森友学園編集部の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 石原伸晃の無症状ですぐ入院に非難殺到! 入院中の国立大学病院は救急お断りも
2 バイデン大統領就任でも日本のトランピストのフェイクは止まらない
3 ぼうごなつこ『100日で崩壊する政権』は安倍政権のインチキの記録
4 河野太郎の「ワクチン接種5月」デタラメ呼ばわりこそフェイクだ
5 特措法・感染症法の改正案が酷い 嘘の申告した感染者には懲役も
6 菅首相が「明るい話聞いた」相手は「コロナはインフル並み」が持論
7 ノーベル賞・本庶教授が「PCR検査の大幅な拡充」訴えるも厚労省は…
8 葵つかさが「松潤とは終わった」と
9 蓮舫の菅首相演説事前公開はルール違反じゃない おかしいのは批判する側だ
10 稲田防衛相はレイシストと蜜月と最高裁が
11 もはや権力の「中の人」…御用ジャーナリスト5位〜2位、大賞を発表
12 大統領選不正デマを拡散した日本のトランプ応援団の妄言総まくり!
13 櫻井よしこ、西岡力、文春…朝日・慰安婦報道叩きのデタラメが次々露呈
14 安倍政権でも菅政権でも権力大好き! 御用ジャーナリスト大賞10位〜6位
15 読売新聞「菅首相が疲労」報道は安倍政権末期にもあった官邸の作戦
16 菅首相のポンコツが止まらない!「変異種」を忘れ、患者を「お客さん」
17 菅首相ポンコツ会見で「国民皆保険の見直し」というグロテスクな本音ポロリ
18 吉村知事のずさんな政策決定と責任転嫁の手口を“8割おじさん”西浦教授が暴露
19 菅政権が医療逼迫するなか195億円かけて「病床削減」する狂気の沙汰!
20 小倉優香の番組中「辞めさせてください」の本当の理由は番組のセクハラ
1 菅首相のポンコツが止まらない!「変異種」を忘れ、患者を「お客さん」
2 ノーベル賞・本庶教授が「PCR検査の大幅な拡充」訴えるも厚労省は…
3 もはや権力の「中の人」…御用ジャーナリスト5位〜2位、大賞を発表
4 菅首相ポンコツ会見で「国民皆保険の見直し」というグロテスクな本音ポロリ
5 吉村知事のずさんな政策決定と責任転嫁の手口を“8割おじさん”西浦教授が暴露
6 石原伸晃の無症状ですぐ入院に非難殺到! 入院中の国立大学病院は救急お断りも
7 特措法・感染症法の改正案が酷い 嘘の申告した感染者には懲役も
8 河野太郎の「ワクチン接種5月」デタラメ呼ばわりこそフェイクだ
9 菅首相が「明るい話聞いた」相手は「コロナはインフル並み」が持論
10 蓮舫の菅首相演説事前公開はルール違反じゃない おかしいのは批判する側だ
11 読売新聞「菅首相が疲労」報道は安倍政権末期にもあった官邸の作戦
12 バイデン大統領就任でも日本のトランピストのフェイクは止まらない

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄