コムアイが奥田愛基のイベントに参加! かつて明かした“政治的発言やデモ参加への葛藤と無力感”にどう向き合ったのか

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水曜日のカンパネラ「見ざる聞かざる言わざる」(ワーナーミュージック・ジャパン)

 ついに、コムアイ(水曜日のカンパネラ)が動き出すのだろうか。

 元SEALDsの奥田愛基氏が中心になり、「音楽×アート×社会をつなぐ都市型フェス」と銘打ったイベント「THE M/ALL」(5月26日、27日開催)に、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)らと並んで、コムアイも出演することが発表された。

 このイベントは「音楽×アート×社会をつなぐ都市型フェス」とのキャッチコピーの通り、政治ではなくカルチャー寄りのイベントだが、かといって、政治や社会的イシューを無視するようなイベントでもない。奥田氏は「政治も社会も恋も音楽も全部横断的に話していく」(「ハフポスト日本版」4月15日付インタビュー)と言い、トークセッションなども行うと語っているが、たしかにどんな「カルチャー」も「生活」も「政治」と無関係ではいられない地続きにあるものだ。

 クラウドファンディングサービスのウェブサイト「CAMPFIRE」上にあるイベントの趣旨説明には〈すべての表現にはそれが生まれた理由があり、そこには必ず社会的な背景があります。アートを楽しむこととは、その作品にまつわるものを「知り、学び、考え、行動すること」につながっていく体験だったはずです。そこでTHE M/ALLでは、「ライブやアートを楽しむ空間」とともに「カルチャーを学び、考え、参加する空間」を用意し、その二つを自由に行き来できる場をつくります〉との文言もあり、実際、「THE M/ALL」では、ミュージシャンやDJによるライブのほかに、社会問題について語り合うトークセッションも予定されているという。

 そんな「THE M/ALL」に出演するコムアイだが、彼女は若い世代のミュージシャン(1992年7月生まれ)としては珍しく、政治や社会に関する発言を臆することなくすることでよく知られている。

 とくに、共謀罪に関する議論が白熱していた昨年5月にツイッター上に投稿した言葉は、短いながら大きな反響を呼び起こした。

〈FUCK共謀罪〉

 そもそもコムアイは、ミュージシャンになった経緯もかなりユニークだ。後藤正文が編集長を務めて発行している新聞「THE FUTURE TIMES」特別号にて、コムアイは後藤と対談しているのだが、そのなかで彼女は水曜日のカンパネラという音楽ユニットを結成しミュージシャンになったユニークな経緯を語っている。

「16歳の誕生日は六ヶ所村で…」コムアイが十代の頃から抱いてきた問題意識

 彼女は十代の頃から社会的な問題意識を強く抱えていた。それは思索のみにとどまらず行動を伴うものであり、「16歳の誕生日は六ヶ所村で過ごしてて」との驚くべき思春期の思い出を披露しつつ、そのときに感じた思いをこのように語っている。

「ピースボートの事務所で会った人たちと映画『六ヶ所村ラプソディー』を観て、夏休みに六ヶ所村に行ってみようって。ただ、行っても別に何もできることはないし、見て感じるしかないじゃないですか。でも再処理工場の近くで畑をやってる人たちが印象的だったな。ものすごい罪深いものを抱えながら、でもポジティブで、もうどっか切り離してるような感じもあって」

 そもそもコムアイはミュージシャンになる気があったわけではない。しかし、そんな彼女と現在のマネージャーの出会いが運命を変えることになる。コムアイが自身の抱える社会的な問題意識を語ったところ、「だったら音楽家になって発信したほうが一番世の中に広く伝わりやすいし、言っても悪く見られない」と、ミュージシャンになることを薦められ、現在にいたるキャリアがスタートするのだ。

 自身が発信したいメッセージをより広く届けるために、敢えてカルチャー的なクリエイティブを突き詰める方向に進む──そのような道を選んだ背景には、もうひとつこんな出来事もあった。

「クイック・ジャパン」(太田出版)16年3月号にて、コムアイは奥田氏と対談で共演しているのだが、その記事ではこんなエピソードを語っている。彼女は原水爆禁止日本国民会議(原水禁)のデモに参加した際、そこで配られたビラを見てデザイン的な配慮がまったくなされていないことを感じ、「これはなにも伝わらない」と感じたというのだ。

「そこで配られているビラに衝撃を受けて怖くなかったんです。これを街の人に配る自分の無力さを感じた。ピンク色の紙に、筆ペンでびっしり意味不明の文字が書いてあって、「これはなにも伝わらない」って」
「この状態を変えるには、自分がスキルを高めるか、有名になるしかないって。だから、そこで1回デモとは距離を置こうと」

 現在の日本の音楽業界において、社会的なイシューに踏み込んでいく若手ミュージシャンは非常に少ない。ベテランになれば、吉川晃司、長渕剛、佐野元春など、まだまだ現役で活躍する歌手が複数存在するが、20〜30代となると「キョウボウザイ」で共謀罪強行採決にいたるまでの安倍政権の欺瞞を突いたSKY-HI(AAAの日高光啓)など数えるほどしかいない。

 そんなコムアイだが、ここ最近はインタビューで政治や社会問題に関する話題を積極的にはしなくなってきていた。前述した〈FUCK共謀罪〉のツイートはむしろ珍しいケースであるといえる。

「水曜日のカンパネラを大きくして、世の中を変える力を発揮できるようになりたい」

 そのように姿勢を変えたのは、「炎上するから」とか「圧力をかけられて業界から干されるから」といった理由ではない。

 昨年12月に出版された「ele-king」vol.21のインタビューで彼女は「めっちゃ我慢してるんですけど」と語り、社会的イシューに関するメッセージの出し方について模索していると語っている。

 なぜ模索するのか。それは、どうすれば、より自分とは遠い場所にいる人のもとにまで言葉を届けられるかを考えているからだ。「SPA!」(扶桑社)16年6月21日号のインタビューではこんなことを語っていた。

「政治的な意見って、音楽の趣味と違って、個人の考え方と密接に繋がったものだから、同じ意見を持ってる人としか遊べなくなっちゃうみたいなのがイヤなんですよ。(中略)例えば、いま私がデモに行っても、その力は何万人分の1にしかなれないじゃないですか。それが悔しい。デモに参加した時点で、「あの人はそっち系か」と思われるじゃないですか。そうなると、“そっち”のなかの一人にしかならない。それだったら、水曜日のカンパネラを大きくして、気づかぬうちに世の中を変える力を発揮できるようになりたい。私、そんなに欲浅くないので」

 この言葉は、先に挙げた原水禁のビラを配ったときに無力感を感じたエピソードの延長線上にあるものだろう。何万人分の1になることにも大きな意味はあるし、コムアイのようなアーティストがデモに参加すれば、それ以上の影響力もある。たとえば先日14日に国会前で行われた安倍政権への抗議デモには5万人もの人が参加、メディアでも大きく報じられその影響は政治家たちも無視できないだろう。しかし一方で、朴槿恵を退陣に追い込んだ韓国のデモや、アメリカの反トランプデモに比べれば、まだまだ圧倒的に参加人数が少ないのも事実だ。コムアイがはがゆさを感じているのも、そういうところかもしれない。

 その意味で、奥田氏が「同じジャンルで固まっていっても、外には開かれていかないじゃないですか。デモに行く人が『クラブなんて…』とか、クラブを楽しむ人が『デモなんて…』ってもったいない。音楽を聴く人も、社会を考えたい人も全部を混ぜていきたいんです」(前掲「ハフポスト日本版」)と語るイベント「THE M/ALL」は、コムアイの問題意識ともかなり通じるものがあるのだろう。

 水曜日のカンパネラは昨年3月、初の日本武道館単独公演を成功させた。その後もグループの勢いは止まらず、NHK Eテレ『にほんごであそぼ』に「江戸っ子どこどこ」を提供したうえで番組とコラボしたり、その一方で、上海と北京で行われる中国最大の野外音楽フェス「Strawberry Music Festival 2018」に出演が決まったりと、その活動の規模はより大きく、そして多岐にわたっている。

 かつて語っていた社会的発信への葛藤から一歩踏み出す何かを見出したのだろうか。「THE M/ALL」で、コムアイがどんなパフォーマンス、メッセージを見せてくれるか。今後のコムアイの活動にも注目していきたい。

最終更新:2018.04.20 12:38

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