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安倍首相派閥の吉野正芳復興相が復興を私物化! 原発汚染土中間施設の工事で秘書が支援者企業を「下請けに入れろ」
首相官邸HPより
しんぶん赤旗が、安倍政権の復興大臣・吉野正芳氏に関する“重大スクープ”を報じることがわかった。それは、巨額復興関連事業をめぐり、“吉野氏を支援する地元選挙区の建設業者”をその下請けに入れるよう、吉野氏側が秘書官や環境省官僚を通じて受注ゼネコンに“圧力”をかけていたという疑惑だ。
スクープは4月8日付の「しんぶん赤旗日曜版」に掲載される。記事には“圧力”に直接関与した複数官僚の証言も掲載されており、その確度は極めて高い。事実ならば、担当大臣が「被災地復興」を食い物にするという悪質な“政治的介入”であり、吉野復興相の辞任はもちろん、安倍首相の任命責任は免れないだろう。
そもそも、この疑惑は、吉野復興相の選挙区である福島県大熊町・双葉町に設置される、原発事故の汚染土などを保管する中間貯蔵施設工事をめぐるもの。昨年12月、環境省発注の復興関連事業として、一般入札により西松建設、五洋建設、フジタの共同企業体(JV)が36億6260万円で落札した。赤旗に掲載されたゼネコン関係者のコメントによれば、JVの幹事社は西松建設だが実質的には五洋建設が支配しているという。
問題はここからだ。赤旗日曜版によると、今年3月ごろ、吉野復興相の政務秘書官・高橋彰氏が、中間所蔵施設を担当する環境省審議官を議員会館に呼びつけた。そして“吉野氏の地元支援者”の名前を挙げ、「下請けに入っていない」などとしてゼネコンに確認するよう審議官に求めたというのだ。
記事のなかで「双葉のA氏」と記されているこの吉野氏の地元支援者は、双葉町商工会会長も務める建設会社代表取締役で、双葉町の除染事業の下請け工事を多数受注しているという。そしてこの「双葉のA氏」は、吉野氏の選挙支援もしているのである。つまり、この疑惑は、復興大臣である吉野氏側が、他ならぬ復興関連工事の枠組みのなかで、自らの支援者に特別な便宜をはかったという“復興の私物化”疑惑でもあるのだ。
赤旗日曜版の取材に環境省審議官が“吉野復興相秘書からの指示”を認めた
赤旗日曜版は、複数当事者への取材と証言から、その疑惑の詳細をこのように暴いている。
まず、高橋秘書官から指示を受けた環境省審議官が、同省の担当参事官に伝達。参事官は赤旗の取材に対し、「高橋秘書官からの要請だといわれ、五洋(建設)の旧知の役員に連絡した。『双葉のA氏』について下請けに入れているかなどを聞いた」と回答している。高橋秘書官が「五洋建設」「双葉のA氏」という具体的な名前を出したことは、審議官も参事官も認めているのだ(高橋秘書官は否定)。
どう見ても、吉野氏側が官僚を使って、自分の支援者に便宜を図るよう“圧力”をかけたという構図だ。そもそも、環境省は発注者であり、その大きな権限をもつ発注者が直々に受注者へ対して「双葉のA氏を下請けに入れているか」と具体的に聞けば、それは「双葉のA氏を下請けに使え」という圧力になるのは当たり前の話だ。
一方、「双葉のA氏」は「記憶にない」と答えているというが、実際には、審議官が虚偽の説明をする理由がないので、吉野復興相側が要望を受けて“口利き”を行った可能性は濃厚だろう。
そもそも、吉野復興相といえば、「まだ東北で良かった」発言で辞任した今村雅弘前復興相の後任で、安倍首相の出身派閥である「清和会」所属。福島県を選挙区とするが、過去の言動を見てみると、東京電力などの“原子力ムラ”の代弁者としか思えない発言を繰り返している。
たとえば2012年の衆院選では、縁もゆかりもない中国比例区から出馬し当選したが、その翌年2月の中国新聞のインタビューでは「私は原発が大好きな人間だった」と告白している。実際、原発事故が起こってわずか約1カ月半の2011年4月29日、吉野氏は衆院予算委員会で“原発事故の責任を東電に負わせるな”という旨の発言をしていた。
「原賠法の一番最後、天変地異、こういう莫大な災害が起きた場合に、もう東電の責任云々かんぬんを無視して全部国が見る、こういう規定になっているんです。連帯責任を認めたならば、一義的に東電、何でもかんでも東電、窓口にしろ、そうじゃなくて、国が窓口になってください」
原発ムラ代表・吉野復興相の利益圧力誘導疑惑は森友・加計疑惑にそっくり
じつは吉野議員がこう発言する前日、東京電力の清水正孝社長(当時)もまた、この原子力損害賠償法の免責規定について「私どもとして、そういう理解があり得ると考えている」「資金繰りは厳しい。国の支援をたまわればという思いだ」と言及していた。吉野議員の国会質疑は、清水社長と足並みを揃えるかのような発言だったのだ。
また、吉野氏は同年、原子力規制委員会のあり方などを検討する自民党「原子力規制に関するプロジェクトチーム(PT)」座長に就任しているが、その「有識者」として、元原子力安全委員長の松浦祥次郎氏や再稼働を目指す「原子力国民会議」の宮健三代表理事といった“原子力ムラ”の代表メンバーを招致していた。そうして現在、原発再稼働に邁進する安倍政権の復興大臣の椅子に収まっているわけである。
今回、赤旗がスクープした吉野復興相の“支援者への利益誘導圧力疑惑”をみるにつけ、結局、政権は被災者やその生活のことより、自らの利益構造の温存ばかりを考えているとしか思えない。
さらに言えば、この吉野復興相の疑惑には、もうひとつ、注目したいところがある。それは、吉野大臣側の指示を受けた官僚が、上から下へ、なんら抵抗せずに“圧力”を行使したように見える点だ。繰り返すが、発注者が受注者へ事実上「特定の下請け会社を使え」と言うのは、明らかに利益誘導が疑われる。にもかかわらず、官僚たちが唯々諾々と実行に移しているのだ。
これは、大問題になっている森友・加計学園疑惑と同じ構造を抱えているということではないのか。国有地や国家戦略特区、復興関連工事というフレームの大きさだけではない。つまり、安倍首相の周辺にあまりにも強大な権力が集中していることで、どんなに放埓な指示にも官僚は「ノー」と言えず、あるいは忖度して、時に不正に手を貸してしまう。そうした森友・加計学園疑惑で露呈した構造的問題が、安倍内閣の“下っ端”にまで広がっている。そういうことではないのか。
いずれにせよ、赤旗がすっぱ抜いた吉野復興相の重大疑惑についても、今後、あらゆるメディアが徹底追及していかねばならない。霞が関が安倍政権下での歪な状況に麻痺していたとしても、いや、であればなおさら、私たちは絶対にそれを看過してはならないのだ。
(編集部)
最終更新:2018.04.05 08:28
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