産経新聞のミスリードがヒドすぎる! 今度は「朝日新聞がネトウヨに勝訴」した慰安婦報道裁判を、「朝日新聞読者らの敗訴」と珍妙見出し

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産経新聞社HPより


 産経新聞が今月25日のウェブ版(本紙26日付朝刊)で掲載した短い記事が、一部で話題を呼んでいる。といっても、注目されているのはその内容ではない。見出しのほうだ。

「朝日新聞読者らの敗訴確定 慰安婦報道巡る集団訴訟」

 朝日新聞の読者が裁判で負けた? どういうこと? と思ってしまうが、実はこれ、朝日新聞の慰安婦報道に対し「朝日新聞を正す会」(以下、正す会)なる団体が提訴した集団訴訟で、原告側が敗訴したという記事だ。

「正す会」は昨年、朝日の慰安婦報道で「国民の『知る権利』が侵害された」などとして原告482人の1人あたま1万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。しかし、2016年9月の一審判決では「記事は特定の人の名誉やプライバシーを侵害しておらず、原告は具体的な権利侵害を主張していない」として請求棄却。今年3月の二審も一審支持。そして、最高裁は今月24日付けの決定で上告を退け、原告団の敗訴が確定した、というわけである。

 原告の訴えを見ても裁判所の判断を見ても、至極当然としか言いようがない判決だが、産経新聞の見出しの立て方はあきらかにおかしい。事実、同じ最高裁決定を報じた朝日新聞の見出しは、「慰安婦報道訴訟、朝日新聞社の勝訴確定」である。ツイッターでもこんな失笑が漏れている。

〈「朝日新聞が勝訴」と書いたら死ぬ病気かなんかだろうか、産経新聞は。〉
〈いやぁ、産経新聞凄いなぁ。「朝日新聞勝訴」と書きたくないんだねw これから産経さんが読者に訴えられて勝訴したら、ちゃんと「産経新聞読者敗訴」って書いて下さいねw〉
〈「朝日新聞を訴えてた似非愛国者集団の敗訴が確定した」という内容をここまで捻じ曲げたタイトルはまとめサイトでもそうそうない。〉

 ようするに、朝日新聞にイチャモンのような裁判を引き起こした連中のことが、産経の手にかかると、「朝日新聞読者」となるらしい。どうしても朝日の勝訴を認めたくないのか、それとも、一般的な意味で朝日新聞を購読している人たちを貶めたいのか、それはわからないが、いずれにせよ、近年稀に見る珍妙な見出しである。

 産経といえばつい先日も、総選挙投票日の一面で「安倍政権5年 審判は」という見出しのもと、立憲民主党の街宣写真を党名を隠して、安倍自民党の街宣風景と錯覚させるように掲載。立憲民主党の盛り上がりが、あたかも「安倍政権への審判」であるかのようにミスリードしていた。もとよりこの新聞にジャーナリズムなど期待すべくもないが、ここまで来るとまとめサイトもびっくりだ。

 こんな見出しが許されるなら、産経新聞を日々チェックしている本サイトもまた「産経新聞読者」として産経の安倍政権御用ぶりを連日批判している事実を、ぜひ産経に報じてもらいたいところだ。

産経によると、八木秀次も小川榮太郎も杉田水脈も「正論」編集長も、みーんな“朝日新聞読者”

 ところで、この朝日慰安婦報道訴訟は前述の「正す会」以外にも、右派が意味不明な集団訴訟を起こし、無残な敗訴を繰り返しているのをご存知だろうか。

 たとえば2014年に結成された「朝日新聞を糺す国民会議」(以下、糺す会議)なる団体だ。「糾す会議」は、朝日の慰安婦報道で「国民の名誉が傷つけられた」などとして、朝日新聞に謝罪広告の掲載と、原告2万5722人が1人につき1万円の慰謝料を請求する訴訟を起こした。その人数にドン引きだが、興味深いのは原告と関係者の面々である。

 同団体ホームページに掲載されている代表呼びかけ人(14年11月17日現在)を見てみると、上智大名誉教授の故・渡部昇一氏や、安倍首相のブレーンである八木秀次・麗澤大教授、中西輝政・京都大名誉教授、日本会議副会長の小堀桂一郎氏と小田村四郎氏、藤岡信勝・元新しい歴史教科書をつくる会会長などの極右文化人、あるいは水島総・文化放送チャンネル桜社長に田母神俊雄サンほか、小川榮太郎氏、大高未貴氏、潮匡人氏、「なでしこアクション」の山本美優子氏など、いちいち上げていけばキリがないが、とにかく極右のオールスターというべき布陣だ。

 しかも、同団体には関連団体として「朝日新聞を糺す国会議員の会」なる議員組織もあり、先日の選挙で希望の党から当選した中山成彬や、自民党の長尾敬、杉田水脈など、こちらも錚々たるネトウヨ議員たちが参加している。

 だが、肝心の裁判の結果は全面敗訴。「糾す会」は昨年7月、東京地裁であえなく請求棄却。報道によると、地裁は「旧日本軍についての誤った報道で、日本政府への批判的な評価が生まれたとしても、個人の人格権が侵害されたと解するには飛躍がある」という至極当たり前の判断を下した。そして、原告団を2万人超から56人へと大幅に減らして控訴した高裁でも、裁判所は今年9月、「記事は原告らの名誉を侵害するものではない」として一審を支持して請求を棄却。原告団は上告を断念し、敗訴が確定した。

 ということは、産経の論理でいえば、「糾す会議」の面々もまた「朝日新聞読者」になるのだろうか。八木秀次や小川榮太郎は“朝日新聞読者”文化人で、中山成彬や杉田水脈は“朝日新聞読者”議員……。ちなみに、同団体の代表発起人リストには産経新聞社が発行する雑誌「正論」の元編集長・上島嘉郎氏も名を連ねている。なかなかハイレベルなジョークである。

 いずれにせよ、「糾す会議」にしても「正す会」にしても、やっていることは、端的に言ってイチャモンみたいな訴訟であり、裁判所の決定も至極当然としか言いようがない。「産経新聞読者」である本サイトは、今後も産経のヘンテコな記事をどんどん取り上げていく所存である。

最終更新:2017.10.27 09:59

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