フィフィが水原希子に狡猾なヘイト攻撃

水原希子の真摯な反差別メッセージにフィフィが卑劣ヘイト攻撃! 山本一郎、ネトウヨも「本名を名乗れ」と大合唱

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サントリー「ザ・プレミアム・モルツ」公式ツイッターアカウントより


 水原希子が卑劣なヘイト攻撃を受けながら、屈することなく真摯な反差別メッセージを発信したことを、先日お伝えした【https://lite-ra.com/2017/09/post-3457.html】

 しかし、その水原のメッセージに、タレントのフィフィがとんでもない難癖をつけた。9月16日、水原の「一日も早く、この世の中の人種や性別などへの偏見がなくなってほしい」というメッセージを伝えるネットニュースのリツイートともに、こう投稿したのだ。

〈偏見がなくなって欲しいと願うなら、彼女の場合は分からないけど、例えば生まれ持った名前で活動する方が素敵だと思う。それを躊躇することこそ偏見って思われちゃうからね。頑張って!〉
〈どんな芸名を使おうが自由だけど、人種への偏見を無くしたいと呼びかけるなら、あえて自分の「人種」つまりルーツを引っさげた芸名の方が、ルーツを隠したいのはなぜ?貴女こそ偏見があるんでは?なんて意見も聞かずに済んだかも。それでも差別する奴は放っておけばいい、堂々としてたらいいんですよ。〉

「素敵なことだと思う」とか「頑張って!」とか、さも水原に対して善意のアドバイスのようなムードを装っているが、これは完全なヘイトスピーチだ。

 山本一郎も、やはり水原のメッセージを伝えるニュースをリツイートしながら、フィフィと同種の内容を投稿している。

〈水原希子が「人種や差別などの偏見がなくなってほしい」と語るのはごもっともだし、その通りなんだろうけど、ではなんで父親がアメリカ人、母親が韓国人で神戸に住んでいただけなのに日本人の芸名で仕事をしているんだろう。偏見どころか、日本人を名乗ったほうが日本では有利と思ったからじゃ?〉

 そしてネトウヨたちも、水原に対して、「差別問題にすり替えるな」「日本人のフリをしていることが問題」「だったら通名を名乗るな」などと大合唱している。

 そんなことを言ったら、すべてのハーフや外国人は日本ぽい名前を名乗るなということなのか。フィフィ自身が本名でなく愛称を芸名としているように、誰がどんな芸名を名乗ろうが、どんな名前をつけようが、自由だ。

 また、「偏見がなくなって欲しいと願うなら」「人種への偏見を無くしたいと呼びかけるなら」と言うが、なぜ差別反対というごく当たり前のことを語るのに、「本名を名乗らなければ」「ルーツを明かしてから」などと条件や資格を求められなければならないのか。
 

フィフィと山本一郎の発言は、差別する側を放置し在日差別を煽るもの

 そもそも大前提として、なぜ、差別する側でなく、差別されている側のほうに「アドバイス」だろうとなんだろうと「本名を名乗れ」とか「言動をあらためろ」とか態度変更を迫るのか。それは、差別される側にも原因があるなどと差別に正当性があると主張しているのと同じだ。フィフィも山本一郎も「差別はよくない」と言いながら、実際のところその発言は差別構造を再生産するもので、差別に加担しているのだ。

 いや、加担どころか、彼ら自身が差別を煽っていると言ってもいい。フィフィと山本がそろって水原の「名前」を問題にしたのは、もちろんたんなる偶然などではない。名前をあげつらうことで、彼らが典型的な“在日差別”を示唆、誘発しているのは明らかだ。「在日コリアンの名前」を問題にすることは、在特会をはじめとする差別主義者たちが憎悪や差別感情の誘発に利用してきたロジックそのものだからだ。

 数多くのハーフタレントが活躍するなか、なかでも水原がひときわ激しいヘイト攻撃にさらされるのは、たんに水原が「ハーフだから」「日本人じゃないから」というだけではない。ネトウヨたちがことさら攻撃しているのは「水原の母親が在日韓国人」ということだ。

 本名非公開のフィフィとちがって、水原は「オードリー・希子・ダニエル」という本名を公表している。しかし仮に水原がこの本名を名乗っても、おそらく事態は変わらない。ネトウヨらが水原のことを「朝鮮人」「チョン女」「反日キムチ女」などと罵っていることを考えると、ようはコリアン由来の名前を名乗れと言いたいのだろう。本名を名乗ったところで、「希子」はもともと本名だし、ファーストネームもファミリーネームも英語名だから、結局コリアンのルーツを隠しているなどと攻撃されるだけだ。そもそもコリアン名で活動している在日コリアンたちも、ヘイト攻撃の対象になっている。

 在日コリアンに対して、「通名を使うな」「本名を名乗れ」というのは、典型的なレイシャルハラスメントだ。こうした発言の背景には、在日コリアンの「通名」は「在日特権」であるとする在特会をはじめとする差別主義者たちの主張がある。しかし、これらの主張はなんの根拠もないデマである。

 たとえば、差別主義者たちは、在日は「通名制度」によって犯罪歴を隠すことができるとか言っているが、これは真っ赤な嘘で、警察の履歴にも名前が残る。「通名」を名乗ることで、在日コリアンが特別な利益を得ることなど何もない。むしろ「通名」は、日本の植民地政策のなかで、半ば強制されてきたものであり、戦後も就職差別や結婚差別から逃れるために「通名」を使い続けざるをえないという側面があった。

「通名」をめぐる差別デマを煽り、芸能界の差別体質を看過するフィフィと山本

 これのどこが優遇的な権利を意味する「特権」になるのだろう。もしも、制度自体に疑問をもっているのであれば、いまも日本社会に根強く存在する在日コリアンの就職差別などを解消するよう訴えなければならないはずだ。だが、ヘイト団体がやってきたことはどうだったか。彼らは差別をなくそうと主張するどころか、差別を扇動してきた。それも「日本から出て行け!」「良い朝鮮人も悪い朝鮮人も全員殺せ」などと虐殺を煽り、彼らの生活の場を侵してきたのだ。

 つまり、奴らは難癖をつけ、在日コリアンを“敵”に仕立てた上で攻撃する“免罪符”として「通名制度」を「特権」だとのたまっているだけなのである。水原が「日本人のフリをするな」とか「本名を名乗れ」と攻撃されるのも、この「通名」をめぐる“在日特権デマ”がベースにある。

 差別はよくないと言いながら、水原を差別する者を批判するのでなく、水原のほうに「本名を名乗れ」と迫るフィフィや山本一郎も、明らかにこうした差別主義者のロジックに乗っかりつつ差別を煽っているのだ。

 さらに「芸名」となると、一般社会以上に根強い差別意識が残る芸能界の体質という問題がある。多くの在日芸能人は在特会やネトウヨが言うように、好き好んで在日を隠しているわけではないし、日本人になりすましているわけでもない。そこには、日本の芸能界の差別意識、そして事務所の意向が大きく働いている。

 実際、日本の芸能界には在日韓国人、朝鮮人がかなりいるが、ほとんどの人はその出自を明かしていない。しかし、それは本人の意向というより、事務所サイドから強制されているケースがほとんどだ。デビューする時点で「在日だと売れないから」と日本名をつけられ、在日であることを隠すようにいわれている人も少なくない。たとえば、ある女優は、無名モデル時代には本名で活動していたにもかかわらず、本格デビューの際に在日韓国人であることを隠し、芸名を使うことを芸能事務所から命じられた。しかも、その後何度か自らの出自について語ろうとするが周囲の圧力に阻まれ、実際に語っても事務所の意向でそのくだりをカットされてしまうという事件もあった。

日刊スポーツが、フィフィの差別発言を肯定的に報じる

 こうした芸能界の在日差別も一時、解消されそうな気配があった。韓流がブームになって、ソニンのように最初から「在日」であることを公表し通名ではなく本名で活動する芸能人も現われたからだ。だが、それも近年の嫌韓ブームや右傾化、そして在特会の抗議活動によって、暗黒時代へと逆戻りしてしまった。

 水原の場合、本名にもコリアンルーツを明確に示す要素はもともとなく、水原の所属事務所が「母親が韓国人」という水原の出自に対してどのような意識をもっていたかは定かではない。いずれにしても、水原がモデルデビューしたのはわずか13歳で、「水原希子」として活動するようになったのもまだ16歳のとき。芸名について本人の意向が入る余地などほとんどなかっただろう。

 フィフィや山本一郎が悪質なのは、こうした在日差別の構造をおそらくは理解していながら、その差別構造や差別する側を批判するのではなく、ネトウヨたちの尻馬に乗り、そしてさらなる差別感情を誘発するように、差別を受けている水原のほうに「本名を名乗れ」と迫っていることだ。

 しかも酷いのが、差別についてこれくらいの知識とリテラシーは当然もっているべきマスコミまでもが、このフィフィの差別発言を無批判に拡散したことだ。日刊スポーツが16日夜、このフィフィのあからさまな差別ツイートについて、「フィフィ、差別撲滅を訴えた水原希子にアドバイス」と題し、フィフィが水原に〈アドバイスとエールを送った〉などと肯定的に報じたのである。

 記事には〈フィフィは同じく日本で活動する外国人タレントとしての立場から、「偏見がなくなって欲しいと願うなら、彼女の場合は分からないけど、例えば生まれ持った名前で活動する方が素敵だと思う。それを躊躇することこそ偏見って思われちゃうからね」と助言。「頑張って!」とエールを送った〉とある。躊躇させるような差別意識の残る社会や差別主義者ではなく、被差別者に本名やルーツを明かせと迫ることを「助言」「エール」などと報じるこの記事自体が、水原に対してのみならずマイノリティたちへの重大なレイシャルハラスメントであることは言うまでもない。

 水原が叩かれるのは2016年の中国ファンに向けた謝罪動画が原因だなどと主張している者もいるが、これは問題のすり替えだ。当時本サイトが報じた通り、動画で水原が語ったのは、戦争と差別を憎み平和を希求するというメッセージであり、批判されるどころか称賛されるべきものだったし、そもそもこの謝罪動画事件以前から、水原はずっとヘイト攻撃にさらされてきた。

 それでも水原は十代のころから一貫して「父親がアメリカ人で、母親が三代前から日本に住む在日韓国人、国籍はアメリカ」「アメリカ・テキサスで生まれ、1歳から神戸で育った」というルーツを自ら公言しており、隠すどころかむしろ積極的に語ってきた。

差別される側に原因を求めることは、差別を再生産し、差別に加担する行為だ

 たとえば、「AERA」(朝日新聞出版)16年6月13日号では、ハーフだということで差別された経験を告白したうえで、こう語っている。

「母はハーフだとイジメられたことに、『あなたは他の誰とも違う世界でたったひとつの可愛さを持っているんだから、自信を持ちなさい』と言ってくれて。その言葉がずっと心の支えだった」
「私は米国生まれだから米国国籍だけどアメリカ人じゃないし、母は3代前から日本に住んでる在日韓国人だけど私は韓国人じゃないし、日本で生まれ育ったけれど日本人でもない。どこにも居場所はないけど、いつかアジア全体がホームになって、みんなが応援してくれる女優になれたら、ほんとにうれしくて心強いと思う」

 そして今回、サントリー「ザ・プレミアム・モルツ」CMをめぐってひどいヘイト攻撃にあっても、水原はぶれることなくあらためて反差別のメッセージを発信した。

〈どこの国で生まれても、どこの国で育っても、どこの国に住んでいても、
 みんな地球人である事には変わりません〉
〈一日も早く、この世の中の人種や性別などへの偏見がなくなってほしい〉
〈世界中の人がどこにいても自分らしく生きていける世の中になるように〉

 ネトウヨたちの攻撃も、フィフィや山本一郎の発言も、こうした水原の差別に屈しない姿勢や真摯なメッセージを無効化しようとするバックラッシュの典型だ。

 差別主義者たちは、差別やヘイトスピーチを指摘されると、必ずと言っていいほど「差別される側の原因」をもち出し、自らの差別を正当化しようとする。あるいはフィフィや山本一郎のように、差別はよくないと主張しながら、差別構造を無視して「差別者」と「被差別者」を“どっちもどっち”的に語り、被差別者のほうに態度変更を求める。しかし、あらためて言うまでもなく、いかなる被差別者にも差別されて仕方ない”理由”など存在しない。

 どのような人種、国籍、性別であろうとも、どんな名前を名乗るかは自由だ。日本人が外国由来の名前を名乗ってもいいし、外国人が日本由来の名前を名乗ってもいい。とくに文化的背景のない名前だってかまわない。「水原希子」という名前じたいに価値があるとするならば、それは日本ぽい名前だからではなく、水原自身の才能と努力、人生によって築かれたものだ。

 本サイトは、あらためて水原の反差別の姿勢を支持し、フィフィや山本一郎のツイートは差別を煽動するヘイトスピーチとして強く非難する。

最終更新:2017.09.19 12:32

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