佐野研二郎だけじゃない、師匠の佐藤可士和にもパクリ疑惑の過去! クールジャパンロゴにコシノジュンコが激怒

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佐藤可士和オフィシャルサイトより


 東京オリンピックエンブレム白紙撤回後も、いっこうに収束する気配のない佐野研二郎のデザイン盗作問題。

 そんななか、サノケンが師匠と仰ぐ広告デザインの第一人者・佐藤可士和が、2016年5月に行われる伊勢志摩サミットのためのロゴマーク選考委員座長に就任するとのニュースが報道された。

 佐藤可士和といえば、ユニクロ、楽天、TSUTAYA、森永製菓の「ウイダーinゼリー」など、普段の生活でも目にする数多くの商品や広告を手がけたトップデザイナー。サノケンも佐藤可士和がキリンビールの発泡酒「極生」を手がけていたときは、彼の下でデザイナーとして働いていた。

 そんな輝かしい経歴をもつ、師匠・佐藤可士和だが、「女性セブン」(小学館)15年9月24日号によれば、彼も過去に弟子のサノケン同様パクリ騒動を起こしているらしい。

 事件は、11年、佐藤が「クールジャパン」政策のロゴを手がけたときに起こった。元ネタとして告発したのは、パリコレへの参加など華々しい経歴をもつファッションデザイナーのコシノジュンコであった。

 当時、「産経新聞」11年9月18日朝刊では以下のように報道されている。

〈アニメやファッションなど日本発の文化産業を海外に売り込む政府の「クールジャパン」戦略の一環で、知的財産戦略推進事務局が発表したロゴマークが、日本オリンピック委員会(JOC)のエンブレムとの類似性を指摘されていることが17日、分かった。
 ロゴマークはユニクロのロゴマークなどを手掛けたアートディレクター、佐藤可士和さんのデザイン。公募で集まった99案から絞り込み、野田佳彦首相が最終判断した。
 ところがロゴを発表した13日以降、同事務局に「JOCのエンブレムに酷似している」との指摘が寄せられた。似ているとされたのはコシノジュンコさんがデザインしたもので、JOCは対策を協議するという〉

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左・佐藤可士和の「クールジャパン」のロゴ/右・コシノジュンコのJOCの第二エンブレム


 類似性が指摘されたのは、1993年にコシノジュンコがデザインしたJOCの第二エンブレム。98年の長野冬季オリンピックに向けての商業ロゴとしてつくられたものだった。

 前出の「女性セブン」によれば、コシノジュンコは11年に騒動が勃発した当時、大変に憤り、以下のようなエピソードもあったという。

〈あるパーティーで、コシノさん本人が、時の首相だった民主党の野田佳彦氏がクールジャパンのバッジをつけているのを見て大激怒。“これはどういうこと?”と大変な騒ぎになったのです〉

 この件を受けて、筆者も二つのロゴを確認してみた。日の丸の左側に躍動感を表現したと思われる“尾”があつらえられている点はどちらも共通している。佐藤可士和の方は“尾”が9本、コシノジュンコの方は“尾”が11本という違いこそあるものの、パッと見はよく似ている。少なくとも外見だけ見ると、パクリという声があがっても仕方がないだろう。

 では、ロゴをつくるにあたっての「考え方」はどうか? サノケンの一件では、エンブレムについて「(リエージュ劇場のロゴとは)考え方がまったく違う」として、パクリではないと釈明していたのが印象的だった。しかし、この佐藤・コシノの一件は「考え方」までよく似ている。

 コシノジュンコはデザインコンセプトについて「動く太陽を表すことで、躍動するこれからの日本を打ち出した。シンプルで強い印象を心掛けた」(「読売新聞」93年10月21日朝刊)と説明。

 一方、佐藤可士和は「日本が前へと進んでいく瞬間を押さえた躍動感のあるデザイン(中略)「次の新しい日本」へ向けたもの」(「Fashionsnap.com」11年9月13日配信)と、東日本大震災からの復興を背景としたロゴメッセージを発表している。ようは、両方とも「日の丸の前進」を表す“尾”が「日本の未来」を象徴する記号として使っていたというわけだ。

 もっとも、この、クールジャパン政策ロゴマークとJOC第二ロゴの件は、前述の通り新聞沙汰にまでなるが、サノケン事件のように社会問題化することはなく、うやむやのうちに収束していったので、これが本当にパクリだったのかどうか、真相は藪の中だ。

 ただ、かつてこのような問題を起こした人物が、サノケン騒動冷めやらぬこの渦中にサミットロゴマークという大仕事に携わって大丈夫なのだろうか。

 9月2日に開かれた伊勢志摩サミットロゴマーク選考のための第一回会合では、『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)『ワイドナショー!』(フジテレビ系)などテレビ出演も多い社会学者・古市憲寿が「プロセスを透明にして、人々が納得できるロゴを選びたい。東京五輪と同じような“炎上”騒ぎは絶対すべきではない」と発言した。佐野研二郎エンブレム撤回による損失は5700万円にもおよび、国民から大変な批判を浴びている。同じ轍は二度と踏んではならない。

 いや、しかし考えてみれば、そもそも一般の国民の目にはほとんど触れないであろうサミットのロゴにそんな一流デザイナーや有名な社会学者を呼ぶ必要があるのだろうか? 佐藤可士和とコシノジュンコの一件にしても、一時話題になったもののすぐに収束したのは、クールジャパン政策のロゴ自体がそもそも一般の国民の目に触れるようなものではなかったからだ。血税の無駄遣いはこういうところから是正されていけば良い。今回の騒動ではあまり議論の対象になっていないが、公共のイベントに関するロゴマーク制作のあり方そのものにも今後はメスが入っていくことを期待する。
(井川健二)

最終更新:2015.09.25 07:25

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