杉村太蔵は薄味でもバカでもなかった!計算高くてこずるいヤツだった!

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『バカでも資産1億円 「儲け」をつかむ技術』(小学館)

 杉村太蔵が本を出した。その名も『バカでも資産1億円』(小学館)。内容はタイトルどおりおバカキャラの太蔵が株や投資で1億円稼いだという話らしい。

 たしかに太蔵は郵政解散の小泉純一郎ブームにのって初当選した際、「料亭に行きたい」と発言をして“大バカ”と猛バッシングを受け、落選して「サンデー・ジャポン」(TBS系)などバラエティに出演するようになってからも、“薄味”でぼんやりとした“空気を読めないバカ”、そんなキャラが定着している。だが、この本を読むと太蔵の意外な面が見えてくる。

 太蔵の転機は大学を2年留年して中退してしまったことだった。就職活動もしていなかった太蔵は実家の歯科医の手伝いをしようとした。しか父親は一喝した。

「資格もないのに歯科医の仕事ができるか」「働かないなら死ね!」と。

 まったくの正論である。震え上がった太蔵は派遣ビル清掃の仕事を始めた。そして結構真面目に働いた。するとビルに入居していた外資系証券会社の若き重役だったグレンにビルのトイレで声をかけられた。

「ヘイ、社長!」。こう言われた太蔵は「会長! なめられるくらい便器をピカピカにしておきました!」と言って、用を足したグレンにペーパータオルを渡す。

 オマエは木下藤吉郎か、という感じだが、こんなやり取りをするうちにグレンは太蔵に“何か”を感じ取ったらしい。外資系証券会社の試験を受けるよう誘ってくれたという。その後、1週間の猛勉強で、太蔵は見事合格する。見事チャンスをものにした大蔵。しかし快進撃は止まらない。猛烈に仕事に打ち込み、勉強する。1年後にはアシスタントアナリストになってしまったのだ。

 トントン拍子に見えるラッキー男・太蔵。だが実は、その裏では驚愕ともいえる“世渡り術”を駆使していたらしい。太蔵は悪びれもせず自分の驚きの哲学をこう開陳する。

「ボスのライバルを潰すこと。それも部下がすべき仕事、というのがぼくの考えです」

 実際に証券会社でもこれを実行した。妙なキャバクラ領収書を提出したボスであるグレンのライバルに不審を抱いた太蔵は、そのキャバクラに自腹で行き、巧妙な会話でライバルが接待ではなく“個人的にひとりで遊びに行った”ことを突き止めたのだ。もちろん速攻ボスに報告。ボスはゲラゲラ笑ったというが、

「ぼくの忠誠心を感じ取ってくれたのは間違いありません」

 そう、太蔵は胸を張るのだ。かなり引くくらいの“ごますり“だが、ボスには絶対服従だという太蔵の上司の人心掌握術はこれだけではない。上司のコーヒーの好みを覚え、同時にコースター代わりのペーパーナプキンを添えて渡す。蛍光灯が切れれば交換はもちろん、同時にぞうきんで周りを掃除! そして「1品加える」という独自の論理まで存在するらしい。

「例えば、上司から『ボールペン持ってきて』 と言われて、黒色ボールペンだけを持っていくようではダメです。黒、青、赤と主要な色を揃え(もちろん全部、ちゃんとインクが出て書けるかどうか確認します)、その場にあれば修正液、さらに蛍光ペンをセットにして『お持ちしました』と見せるのです」

 ここまでされると逆に“うざい”と思うのだが、意外にオヤジには受けがいいらしい。しかも太蔵のウリは“バカ”だ。「僕、バカなんで」とあくまで自分を卑下し、上司の言うことは絶対。これはラッキーというより“バカ”を最大限利用した立派なオヤジ殺しである。

 ここまで読んで疑問に思った。太蔵は“バカ”なのではなく、“こずるい”奴なのではないか、と。

 接待の際も、自分はあくまでニコニコと楽しそうに相手の話を聞く、そして、必殺文句は「私も仲間に入れてください」という言葉らしい。

「(接待では相手の趣味の話になるが)そんなとき、その趣味に興味がなくても『私も仲間に入れてください』という言葉を使うのです」

 太蔵によれば、この言葉は「あなたに興味があります、という意思表示」となるらしい。そして相手に懐に入り込めることにもなる。

 この言葉は太蔵が政界に入ってからも威力を発した。

「自民党の国会議員にはテニスをやる人が多く、第2次安倍政権の大臣なら石原伸晃さん、林芳正さん、小野寺五典さんはかなりの腕前です。ぼくはそんな先生がたにテニスに呼んでいただき、政策や選挙に関すること、マスコミとのつきあい方など、いろんなことを教えてもらいました」

 テニスという太蔵の最大の武器を使っての世渡り術ということだ。“バカ”を最大限に利用し、ごますりに徹する。しかも太蔵は目的のためには手段も選ばない。

 4年で議員を辞めた太蔵は2010年の参院選の際に「たちあがれ日本」から出馬し落選しているが、これも尊敬すべき与謝野馨から誘われ「心が震えた」からだと太蔵は記す。でも太蔵って郵政改革大賛成じゃなかったっけ? それで初当選したのでは? 郵政改革造反で自民党を追い出された議員たちが結成した「たちあがれ」でいいの? という大きな疑問が湧くが太蔵にとってはそんなことはどうでもいいらしい。何しろ彼の目標は巧妙に立ち回り、自分がのし上がって行く手段として使うことだから。

 そういう意味で、太蔵は単なる“バカ”ではない。“バカ”を最大限に利用した、ごますりで計算高い男。それが太蔵なのだ。

 現在タレント活動の傍ら、株投資、そして商社を立ち上げて稼いでいるという太蔵だが、しかしこれも考えてみれば太蔵は外資系証券会社のアシスタントトレーダーまでした“プロ”。だから本書を読んでも “バカ”では1億円も儲けられない。だって現在の太蔵は相当に計算高いから。その最も強烈なエピソードがあった。

 タレント・杉村太蔵は芸能事務所に所属せず、自分でマネジメントしている。だからギャラ交渉も自分でする。ギャラは基準価格を決めて交渉するというが、そのギャラの算出方法がこれだ。

「証券マン時代に培った知識と人脈を駆使してぼくにオファーが来たある番組の総予算を調べ、そこから(基準価格を)計算しました。元株式調査部ですから、そうした調査はお手の物です。
 番組制作費には美術費、技術費、編集費などがかかります。まずそれらのコストを調べ、総予算から引くと、出演タレントの合計ギャランティーとなるわけです。そこから関係者への取材などをして、各タレントのギャランティーを推定し、自分のギャランティが出演者の中でだいたいどのくらいのポジションなのか見当をつけました。そうした調査から、タレント・杉村太蔵の“お値段”が決まったのです」

 ──そんなことやってたのか。すごいな太蔵。自分を最大限に売ることに長けた戦略家。それが“バカを装う” 太蔵の真髄なのかもしれない。
(林グンマ)

最終更新:2015.01.19 04:14

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