『アラサーちゃん』どころではない!お色気TV番組の過激な歴史

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テレビ東京『アラサーちゃん 無修正』番組サイトより


 全裸の壇蜜が男にバックから攻められ、はしたない喘ぎ声を晒しながらオルガスムを迎える──。前クールでは深夜ドラマ『アラサーちゃん 無修正』(テレビ東京系ほか)の、AVさながらの過激な表現が話題となったが、かつてのテレビは、その比ではなかった。テレビ創成期から現代までのお色気番組を、当事者の証言を交えながら考察した『昭和・平成 お色気番組グラフィティ』(河出書房新社)から、その過激な表現を紹介したい。

 まず、日本のお色気番組のパイオニアとなったのが、読売テレビの『11PM』(1965〜90年)だ。それまで視聴率不毛と言われた深夜帯に始まり、当初は時事問題を中心に取り上げる硬派な番組だったが、68年に大橋巨泉がMCになってから“夜のワイドショー”的な側面が強くなる。「セックス革命」、「妖奇!レズビアンの実態」などのコーナーで当時の風俗を紹介・分析し、西洋諸国でのポルノ解禁や日活ロマンポルノやピンク映画の隆盛、そして性風俗産業の活発化という社会状況の変化に呼応。性のルポタージュ企画が急増したのだ。

 なかでも話題となったのが、72年放送の「見たな!関西ストリップの妙技」だ。当時“ストリップの女王”と称されていた一条さゆりの生々しいオナニーショーを放映し、高視聴率を獲得したが、放送6日後に一条が公然わいせつ罪で逮捕されるという騒動にまで発展。さらに年末には、全国からストリップ嬢が集結して“艶技”を披露する「紅白ストリップ合戦」が、番組史上最高視聴率の48%を叩き出した。2013年の紅白歌合戦の最高視聴率が44.5%だったことを考えても、その注目度の高さは言わずもがなだろう。

 そして、『11PM』のヒットに追随するように、60年代末頃からお色気情報バラエティが続々と始まる。コント55号が人気女性歌手やタレントと野球券に興じる公開ストリップ『コント55号の裏番組をぶっとばせ!』(69〜70年)や、女性ゲストが爬虫類や両生類の入った箱に手を入れて当てる企画で、手を引っ込めるとスカートをハサミでバッサリ切る、という過激な演出がウケた『スターびっくり箱』(69年)、日本のテレビ番組で初めてバストトップを映したと言われている『23時ショー』(71〜73年、77〜79年)に、混沌とした70年代を映し出したエロ・グロ・ナンセンスな『テレビ三面記事 ウィークエンダー』(75〜84年)など、各局が趣向を凝らし、とりわけ深夜帯がお色気番組の激戦区となった。

 80年代に入ると、『オールナイトニッポン』などの深夜ラジオが若者に支持され、コンビニやファミレスといった深夜営業チェーンが普及。情報を消費する速度も速くなったが、そんな深夜帯が若者に開かれた時に始まったのが、テレビ朝日の『トゥナイト』(80〜94年)だ。勝新太郎や“ハマコー”こと故・浜田幸一、戦前からの右翼の大物・笹川良一といった従来にはないキャスティングと政治家同士が怒鳴りあうハプニングが好評を博したが、最もヒットしたのが“カントク”こと山本晋也の性風俗リポート。“ノーパン喫茶”にはじまり、“のぞき部屋”“テレクラ”など最新の風俗だけでなく、ド派手な女体盛りサービスのある温泉旅館やポルノビデオの撮影現場、放送後に売春で摘発された“愛人バンク”といった放送コードギリギリの取材を敢行し、それまでアンダーグラウンドだった風俗を一般に定着させた。さらに素人女子大生を大量に起用したフジテレビの『オールナイトフジ』(1983〜91年)が始まり、女子大生ブームを巻き起こして高視聴率を叩き出すと、他局も同時間帯に参戦し、“土曜深夜戦争”が巻き起こる。
 

 そのなかで現在でも語り草となっているのが、『TV海賊チャンネル』(84〜86年)の「ティッシュタイム」だ。その名の通り、青年男子に向けたコーナーで女優のヌードをじっくり映し、ご丁寧に画面の隅に終了時間までがカウントダウン。アダルトビデオが一般的ではない時代に、どれだけ世の男を釘付けにしたかは想像に難くない。ほかにも、山本カントクがラブホテルに潜入してベッドインしたカップルにクイズを出し、正解するとコンドームをプレゼントする「ラブホテルクイズ」や、女性タレントが視聴者の男性宅に生パンツを配達し、ヌードでベッドインして子守唄で寝かしつける「愛の宅急便 出前!イってみるく」など、真剣に悪ふざけをする企画が若者に絶大な支持を得た(ちなみにこの番組の司会は、当時まだ得体のしれない“シンガーソング・コメディアン”だった頃の所ジョージである)。

 さらに、サブカルチャー色の強かった『ミッドナイトin六本木』(84〜85年)で話題となったのが、性感マッサージを世にしらしめたドクター荒井による公開マッサージコーナーだ。白衣を着た荒井がモデルに施術をしていくと徐々に喘ぎ声があがり、前戯さながらのダイナミックな反応を晒しながら、最後は絶頂を迎えたかのように身体を反らす映像は『オールナイトフジ』を脅かす高視聴率を記録した。

 そんな土曜深夜のお色気番組ブームは、地方にも飛び火する。兵庫県のUHF局であるサンテレビジョンの『おとなの子守唄』(83〜89年)では、当時珍しかったAV女優のテレビ出演というだけでなく、なんと新作AVの過激なセックスシーンをダイジェストで紹介する過激なコーナーを放送。その後継番組『おとなのえほん』(92〜96年)は、さらに下世話な企画で、若者の週末を独占した。ラブホの一室でパンティ一枚のAV女優のボディに絵筆で落書きし、悶絶する顔と勃起する乳首をアップで映すボディペインティングが名物企画だったが、なんといっても「熱血ホルモン道場」がすごい。素人男性がAV女優や風俗状の誘惑に勃起せずに耐えることができたら彼女たちを責めまくっていいという企画で、責め続けられた女優が本気でイってしまったことや、SM嬢に折檻されたM男が射精寸前に追い込まれるなど、もはや企画AVレベルの過激さは全国でも話題となった。

 この番組に華を添えていたのは、黒木香や浅倉舞、夕樹舞子などAV史に残る女優たちだが、90年代前半はアダルトビデオが隆盛を極め、世間に認知されてきた時代。そんななかで今でも伝説となっているのが、テレビ東京の『ギルガメッシュないと』(91〜98年)だろう。当時のトップAV女優をズラリと揃え、料理コーナーやニュースを読む時、カラオケ合戦等で、とにかくあけっぴろげに脱ぎまくり、出演AV映像も放映。CDデビューやキャスト総出演の映画製作など、AV女優をアイドルにまで押し上げた。なかでも最も恩恵を受け、お茶の間の定着した飯島愛を筆頭に、伊丹十三監督の映画に多数出演した朝岡実嶺、NHKの大河ドラマにも出演した及川奈央など、90年代から2000年代にかけてAV女優のタレント転身が増え、それを見て彼女たちに憧れてAV女優となり、芸能活動と並行して活躍する恵比寿マスカッツのような新世代の“セクシーアイドル”が登場するボーダレスの現代となった。

 その一方で、テレビにおける性表現の規制は年々厳しくなり、現在、一部を除いてゴールデンタイムから深夜にかけての番組は、ネットの衝撃映像再編集もの、ニッチな外国と日本人を組み合わせたバラエティ、芸人のゆるいトーク番組など、スポンサーへの配慮を最優先に考えた毒にも薬にもならないものばかりとなり、テレビは“オワコン”と言われるようになった。

 だが、本書で紹介されているように、混沌とした70年代、ケーハクな80年代、バブルが崩壊し情報消費社会となった90年代と、その時々の世間の空気感を如実に映し出し、時には流行を生み出してきたのはお色気番組である。消費税増税に連鎖する陰惨な事件、大マスコミの失墜など閉塞感が漂い、カオス化する現状を打破するような、新たなお色気表現がテレビに戻ってくることに期待したい。
(宮谷 烈)

最終更新:2014.10.11 11:52

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