狂気! 東京五輪“81万人学徒動員”に向け本格準備が…緊急事態宣言中に教員770人を国立競技場などに集め“集団下見”

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「しんぶん赤旗日曜版」5月16日号


 コロナ感染拡大と医療崩壊が進むなか、いまだ開催を強行する姿勢を崩さない菅政権と東京都。しかも、リテラ が4月末の記事で伝えたように、無観客どころか、都内の幼稚園児や小・中・高校生など約81万人を東京五輪の観戦に動員する計画がある。

 東京都が都内の各学校に東京オリパラの「観戦の日程案」を送付したのだが、そこには「競技場への移動は電車やバスなど公共交通機関を使え」といった指示がある一方、感染対策はゼロ。しかも、観戦を拒否した場合は、「都立学校においては、学校連携観戦当日が授業日である場合は、欠席扱い」という記述まであった。

 リテラの記事が2万以上リツイートされるなど、この問題はネットで大きな反響を呼び、「学徒動員か」というツッコミの声も多数上がった。東京都にも相当な抗議が寄せられたといわれている。

ところが、それでも、東京都は「学校連携観戦」と呼ばれるこの81万人学徒動員計画を中止するつもりはないらしい。いや、それどころか、実施に向けて本格準備を開始していた。

 学徒動員計画の存在をスクープした「しんぶん赤旗 日曜版」5月16日号が続報という形で、東京都がつい最近、この時期としてはありえない大勢の教師を五輪会場に集め、計画のための“集団下見”を実施していたことを報じたのだ。

 東京都教育庁は4月21 日付で、各学校に「学校連携観戦会場における実地踏査」と称した通達を出し、「教員が幼児・児童・生徒を安全に引率するため、会場視察を行い、引率時の安全対策や留意点等を確認する」現地調査への参加を呼びかけた。

 そして、この実地踏査=集団下見は実際に、4月26日と5月7日に東京スタジアムで、5月10日、11日に国立競技場で行われた。そのうち国立競技場での下見に参加した人数は計約770人にのぼったという。

 赤旗は、5月10日、国立競技場の工事用出入り口から教員が次々と入場した様子を伝え、この日の午前の回だけで〈公共交通機関を利用した教員約120人が国立競技場に入場するのを確認した〉と報じている。

小学校でのクラスターも確認されているのに、教員たちが五輪会場の集団下見に

 いっておくが、東京都では4月に入って感染者が急増。25日には緊急事態宣言が出されている。しかも、変異株の影響か、子どもへの感染も広がっており、東京都内でも、小学校や中学校の児童・生徒らの感染も多数確認されている。

 東京スタジアムの集団下見が強行された翌日の4月27日には、都内の小学校で初の変異株クラスターが確認されたし、国立競技場で集団下見を行った5月10日には、新宿区の私立保育園で園児28人と職員9人の計37人のクラスターが確認されている。

 そんな時期に、学校の教師を770人も集めて、東京五輪観戦に子どもを駆り出すための下見を行わせるとは……。無症状の教員からこの集団下見を通じて、別の教員にコロナが感染し、その教員が勤務先の学校に持ち帰って感染を広げる可能性だってゼロではない。

 おまけに、この実地踏査に参加したほとんどの教員は、公共機関を使って、会場にやってきている。

 いったいなぜ、緊急事態宣言中という時期に、わざわざ感染を拡大するような集団下見を実施しなければいけないのか。

 この下見は一応「任意」とされていたものの、くだんの通知には「本日程以外に実地踏査をすることは困難」「会場内の動線や座席等を確認できる機会は、原則、今回が最後」と書かれていた。

 ようするに、緊急事態宣言中、不要不急の外出自粛が呼びかけられているなかで、わざわざ“今回が最後の機会”などと脅して、半強制的に感染リスクを広げかねない集団下見に参加をうながしているのだ。

 これだけをとっても、五輪がいかに特別視されているか、国民の健康被害より五輪強行が優先されているかがよくわかるが、もっと問題なのは、本番の五輪だろう。

本番の五輪では、国立競技場、東京スタジアムに46万1252人の子どもが動員される

 集団下見は770人だったが、本番の五輪では、比べ物にならない人数の幼稚園児や小・中・高校生が観戦に動員されるのだ。

 大会組織委員会も都も、直近の具体的な学校連携観戦の参加人数を明らかにしていないが、何度も繰り返しているように、もともとの計画では81万人が想定されていた。

 そして、今回、「赤旗」は2021年3月末時点の参加予定人数を記した資料の内容を新たに報道しているのだが、それによると、国立競技場では7月30日〜8月5日の7日間に、225校3万7191人がオリンピック陸上を、8月27日〜9月5日の10日間に1267校21万7984人がパラリンピック陸上を観戦。

 また、東京スタジアムでは、7月21、22日のサッカーに55校1万519人、8月6、7日の近代五種に118校2万8037人、7月26〜31日のラグビーに955校16万7521人の参加が予定されている。ようするに、今回、集団下見が明らかになった2会場だけで46万1252人が動員されるのだ。

 しかも、前回の記事でも指摘したように、この学校連携観戦計画では「競技場への移動は電車やバスなど公共交通機関を使え」といった指示をする一方、具体的な感染対策は全く示されていない。

 いずれにしても、このまま計画が強行されれば、子どもたちが深刻な感染危機に晒されるのは必至といっていい。

 しかし、この危険な計画は、今回の集団下見実施によって、撤回どころか、保留状態にすらなく、実施に向け前のめりに進んでいることが明らかになった。

 五輪が中止になるか、「無観客」が正式に決まらないかぎり、おそらく確実に強行されるだろう。いや、下手をすると、無観客になっても、学校連携観戦だけは、教育だとして強行される可能性さえある。

 無謀な戦争に突入した旧日本軍そっくりに、状況を一切かえりみず「とにかく開催」に突進する菅政権、東京都、組織委、IOC。この狂気を止めるには、とにかく国民が声を上げ続けるしかない。

最終更新:2021.05.17 09:37

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