差別に関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
フジ系ドラマ『最高のオバハン』が結婚詐欺師の名を「小室敬」に…小室圭氏と一字違いの役名は原作になく悪質なバッシングへの便乗
ドラマ『最高のオバハン 中島ハルコ』より
小室圭さんバッシングがまったく止まらない。遺族年金問題を蒸し返したり、なんの新事実もない元婚約者の婚約当時の日記が公開されたり、週刊誌やワイドショーは飽きもせず“小室叩き”を繰り広げている。
そんななか、現在放送中の連続ドラマ『最高のオバハン 中島ハルコ』で、小室氏と眞子内親王の結婚問題を揶揄するようなシーンがあったとネット上で話題になっている。
『最高のオバハン』は、林真理子の同名小説を原作に、東海テレビが制作しフジテレビ系で毎週土曜日深夜に放送中のドラマ。美容クリニックを経営する女性・中島ハルコ(大地真央)がその毒舌で、不倫に悩む独身フードライター・菊池いづみ(松本まりか)らの様々な悩みを解決していくというストーリーだ。
そして、今回話題になっているのは、4月24日に放送された第3話「ハルコ、東大女子を斬る!」。この回は、いづみが出入りするグルメ雑誌編集部の東大卒女性が結婚できないことをハルコに相談。ハルコは、いづみと東大卒女性に、女性医師を装って「女医合コン」に参加するようアドバイスするのだが、いづみがその合コンで出会ったイケメン精神科医の正体が、実は女性医師狙いの結婚詐欺師だった……というストーリー。なんと、そのイケメン精神科医の名前が「小室敬」だったのだ。
ドラマ内では「コムロさん」としか呼ばれておらず、「コムロ・ケイ」なのか「コムロ・タカシ」なのか下の名前の読み方は定かではないが、この名前に多くの人が「小室圭」氏を連想したのは言うまでもない。実際、ネット上ではこんな感想が飛び交った。
〈結婚詐欺師の名前が小室敬なのクソワロタ センスしかねぇw〉
〈婚活合コンにいた精神科医の名札が小室敬で即「あ、これは結婚詐欺師w」ってなった〉
〈結婚詐欺師の名前が小室敬ってw攻めたなぁって思ったけどこの名前の読み方で皆が想像する人ってあの人しかいない〉
〈結婚詐欺師・小室敬は草〉
〈結婚詐欺師小室敬って最高やん、初めてフジテレビを褒めたいと思う〉
〈フジのドラマで結婚詐欺師の名前が小室敬なの笑う 顔もちょっとにとるの草〉
〈結婚詐欺師 小室敬 絶対わざとやろ!〉
〈結婚詐欺師の名前が 小室圭ならぬ小室敬〉
林真理子の原作には「小室敬」も「結婚詐欺師」も登場せず、ドラマのオリジナル
なかには「悪ふざけがすぎる」「名誉毀損では」と諌める声も多少あるが、ほとんどが小室氏を結婚詐欺師扱いするというネタをおもしろがり、さらには結婚詐欺師を演じた男性俳優の顔や表情も小室氏に似ているという声まであった。
東海テレビは、わざと結婚詐欺師の名前を小室氏に似せたのか、あるいは偶然なのか──。そこで、原作である『最高のオバハン 中島ハルコの恋愛相談室』と続編『最高のオバハン 中島ハルコはまだ懲りてない!』(ともに文藝春秋)をチェックしてみたが、1巻の4話目に今回のドラマのベースになっていると思われる話が出てくるものの、原作には「小室敬」も「結婚詐欺師」も登場せず。念のため原作2冊の話をすべてチェックしたが、「小室敬」なる結婚詐欺師は一切登場していなかった。
ようするに、ドラマを制作した東海テレビが、ドラマオリジナルエピソード、オリジナルキャラクターとして、「結婚詐欺師・小室敬」を登場させた、というわけだ。
いまのメディア状況のなかで、わざわざこんな名前の人物を出すというのは、偶然とは思えない。しかも、たんなる悪役ではなく、“高収入の女性医師狙いの結婚詐欺師”という設定なのだ。「金目当てで眞子内親王に近づいた」「眞子内親王を騙している」という小室氏に対する誹謗中傷に便乗し、さらに増幅させようとしているという意図さえ感じさせる。
しかし、だとしたら、これ、許されることではないだろう。言っておくが、皇室に関係する人間だから揶揄してはいけないという意味ではない。フィクションであっても、モデルにした登場人物に対する名誉毀損が問われるケースがあり、相手が誰であっても、公共性の高いテレビ局がやっていいことではないのだ。
身分差別、貧困差別バッシングに便乗するテレビ、『バイキング』では小室氏の母を攻撃
しかも、問題なのは、小室氏バッシングが差別感情の発露であることだ。
本サイトで指摘してきたように、小室氏に対するバッシングの本質は、「貧乏人は貧乏人らしく分相応にしていろ」という差別意識であり、生活保護バッシングにも通じる貧困差別だ。
だが、こうした大衆の差別感情に乗っかって、メディアも小室氏と母親に対してはなんでもありの状態で、真偽不明の誹謗中傷が公共の電波でもまかり通っている。小室バッシングに血道をあげているフジテレビの『バイキングMORE』にいたっては、小室氏の母親と元婚約者の肉体関係を云々し、一方的に婚約破棄したのは元婚約者のほうであるにもかかわらず、母親が元婚約者を騙したかのように嘲笑するようなやりとりすらあった。
おそらく東海テレビも、こうした小室氏に対しては何をしてもいいという空気に丸乗りし、ウケ狙いで小室氏を意識したような結婚詐欺師を登場させたのだろう。小室氏バッシングの差別性の酷さはいまに始まったことではないが、全国放送のドラマで結婚詐欺師扱いまでするとは。この国のメディアの人権感覚は狂っているとしか言いようがない。
(編集部)
最終更新:2021.09.27 12:14
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