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菅官房長官がテレビ討論でもポンコツ露呈!『news23』では失言に加え放送事故寸前の質問、『報ステ』では徳永有美に陰険クレーム
『news23』に出演する菅氏
先日、本サイトが菅義偉官房長官のトークのポンコツぶりを指摘したが(https://lite-ra.com/2020/09/post-5621.html)、8日、自民党総裁選が告示されたことで、そのポンコツぶりがさらに丸出しになった。同夜、菅氏と石破茂氏、岸田文雄氏の3者が揃って『報道ステーション』(テレビ朝日)、『news23』(TBS)に出演し討論会をおこなったのだが、菅官房長官は『news23』での討論のなかでとんでもないことを口走り、結果、翌朝には発言を訂正する羽目に陥ったのだ。
それは候補者3人がそれぞれ質問したい相手に質問をぶつけるというコーナーでのこと。石破氏が菅官房長官を指名し、憲法改正について質問をおこなったところ、菅官房長官はこう語り始めた。
「あの〜、まずこの自衛隊というのは、我が国のたとえば、今回の台風10号のときでも、そうした災害の際にはいち早く出動をしてですね、国民のみなさんのそうした状況にしっかりと対応してくれてる。これだけ歓迎されているわけであります。そうした自衛隊の立ち位置というのが、憲法のなかで否定をされている。そういうなかで、この〜、憲法9条のなかに、自衛隊の正当性というものをですね、踏まえて、党として4項目、憲法改正についてですね、決定をして、いま提案をしているところでありますから、それはあの、建設的に、このことをやはり、しっかりと、この憲法改正のなかで、自衛隊の位置づけというものを盛り込むべきだ、というふうに思います」
おいおい。この国の政府見解は「自衛隊は憲法違反ではない」だ。それを、「自衛隊の立ち位置というのが、憲法のなかで否定をされている」って、官房長官を約8年もやってきた人間がこんなことを平然と言うとは──。
無論、この発言について翌9日の官房長官会見で記者からツッコまれ、「自衛隊を違憲と主張する方々もいるという趣旨で申し上げたが、若干言葉足らずだった。一部の方の誤解を招いたかもしれない」などと釈明。だが、政府見解を覆した発言は「言葉足らず」などという次元の問題ではないだろう。
想定問答だって用意しているだろうに、それでもこのポンコツぶり。これまでは会見でも記者たちの質問に「まったく問題ない」「ご指摘はあたらない」と言い放ってシャットアウトすれば済んできたが、そもそも菅官房長官は「自分の頭で考え、語り、伝える」という基本的なコミュニケーションすらできないようなのである。
しかも、『news23』ではもうひとつ、知性の欠如とコミュニケーション能力の低さを象徴する場面があった。石破氏が菅官房長官に憲法改正について質問する前に、菅官房長官が石破氏を指名して質問をおこなったのだが、それはこういうものだった。
「石破さんに……。沖縄の基地問題、とくに辺野古の問題についてお尋ねしたいなあと思います」
当然、このあと具体的な質問がはじまるのかと思うが、菅官房長官はニヤニヤと笑いを浮かべつづけるだけ。そう。質問はたったのこれだけだったのだ。
まるで『情熱大陸』の締めに出てくる「あなたにとって音楽とは?」みたいなざっくり質問。しかし、これはアーティストのインタビューではなく政治家の討論会だ。当然、スタジオでも菅官房長官のこの発言のあと、何か話し出すのだろうと静まり返ったが、いくら待っても菅官房長官が口を開かないため、数秒経って誰かから「え?」という声が漏れたほど。まさか質問がこれだけとは、スタジオのまわりの人間も視聴者も思わなかったため、放送事故寸前の状態に陥ってしまったのだ。
普通、こういう場面では、相手の考えを詳らかにしたりウィークポイントを突くために具体的に過去の発言などを引いたり、あるいは自身の主張の正当性を説くものだと思うが、菅官房長官にそんなものは一切なく、ニヤニヤ笑うだけ。その表情は「石破氏が答えにくい質問をしてやった」と勝ち誇ったものだったが、逆にこんな具体性も何もない質問で勝ち誇れるものかと呆れるしかない。
「格差にどう向き合うのか」と質問されているのに「アベノミクスで雇用が増えた」
もはや討論にすらならない討論会……。しかし、テレビ討論会で菅官房長官が露呈したのはたんにトークがポンコツ、ということだけではない。同時に、「安倍首相の継承者」らしいインチキやスリカエ、さらには恫喝で批判を封じ込める陰湿な素顔も垣間見せた。
たとえば『報ステ』では、“アベノミクスは格差を広げたのではないか”という問いが立てられ、「格差についてどう向き合うのか」と質問されたのだが、菅官房長官は口を開くと、こう述べた。
「あのー、私、やはり大事なのはですね、雇用じゃないでしょうか」
格差の質問をされているのに、なぜか「雇用が大事」と言い出す。お得意のいつものはぐらかしだが、司会者が「雇用……」と言うと、こうつづけた。
「働く場所を確保することがまず基本だと思いますよ。それまでは全国で有効求人倍率1を超えたのはたった8つの県しかなかったんです。アベノミクスによって、すべての県で1倍を超えています。正社員の報酬も1倍を超えていたんです。いまこのコロナで非常に厳しくなってますけど、それまではやはり評価できる水準だったんではないでしょうか」
「で、格差はどうなの?」と言いたくなるが、その点についてはまるで答えない菅官房長官。しかも、この雇用が増えたという主張は、格差の問題とはまったく関係ない。実際、石破氏は菅官房長官の主張に対し「雇用は改善した。それは高齢者でしょ、女性でしょ、所得の低い人たちでしょ」「正規と非正規って給与以外のフリンジ・ベネフィットと言いますよね。そういうもの足すと倍半分ぐらい違うわけですよ。そして大企業と中小企業、格差はありませんか」「これが『拡大している』と言わないでどうするんだ」と間接的にツッコんだのだが、そのとおりだ。
さらに、番組側も「75%が非正規、実質賃金は4.4%も減少」という数字を突きつけたのだが、しかし、菅官房長官はとんでもないことを言い出したのだ。
「あの、申し上げましたけれども、生活保護所帯も、これが減ってきていますから。いままでずっと右肩上がりだったんです。この政権、アベノミクス、私どもやりはじめてから減りはじめたということは、ここは現実ですよ。そういう数字が出てます」
まったく詭弁も甚だしい。たしかに生活保護を受けている世帯数は、最新の「被保護者調査」(平成 30年度確定値)では、2018年度の被保護世帯数(1カ月平均)が163万7422世帯で2017年度より減少しているが、その差はわずか3432世帯で微減にすぎない。しかも、安倍政権下では2018年度を除いてはずっと右肩上がりの増加傾向が続いていた。さらに、受給者数(被保護実人員)は2015年3月をピークに減少に転じているが、それは安倍政権が2013年から生活保護基準を引き下げ、そのことで生活保護の対象範囲が狭まったせいだ。しかも、本来ならば生活保護を利用すべき世帯のうち実際に利用している世帯の割合(捕捉率)は2〜3割程度にすぎず、単純に生活保護受給者数を見て「生活が苦しい人の数は減った」「格差がなくなった」などとは到底言えるようなものではけっしてないのだ。
徳永有美に「自助」について突っ込まれ「絆が抜けている」とどうでもいいクレーム
質問に答えようとせず、こんなデタラメな話を持ち出すこと自体、さすがは「自助」を掲げる菅官房長官と言わざるを得ないが、『報ステ』ではこのコロナ禍にあって「自助・共助・公助」というスローガンを掲げたことについて、徳永有美キャスターが「まず自助ということで、自分のことは自分でというその言葉はちょっと厳しいなというふうに感じるところもあると思うんですけれども」と質問。
すると、菅官房長官は会見で東京新聞の望月衣塑子記者に見せるような陰険で高圧的な態度をあからさまにして、こう述べたのだ。
「私は、この、社会として考えられる『自助・共助・公助』、『そして絆』ってあるんです。絆抜けてますけど」
徳永キャスターは「まず自助」という点を尋ねているというのに、菅官房長官はスローガンの「自助・共助・公助、そして絆」の「そして絆」が抜けている、と言い出したのである。「そして絆」って、それも結局は「自分や家族でなんとかしろ」と自己責任を押し付けているだけだろう。
実際、菅官房長官は「それはやはり、自分でできることまでやってみるというのが、それはそうじゃないでしょうか」などと発言。つまり、コロナ禍でも「自分でなんとかしろ」と国民に迫ったのである。
質問には答えない、ツッコまれるとデタラメなデータを持ち出し、些末というよりどうでもいいクレームをつける──。これはまるで安倍首相そのものではないか。しかも、菅官房長官は喋りが下手な分、何を言っているのか伝わらない。これで本当に国民に直接メッセージを発する必要のある総理大臣という職が務まるのか。
だが、このポンコツはさらに布石を打ってきた。8日におこなわれた候補者の共同会見で、総理大臣の国会出席について「大事なところで限定すべきだ。そうしないと行政の責任者としての責任を果たせない」などと語り、総理大臣の国会出席を制限すべきだと主張したのだ。
国権の最高機関である国会で議論しない、国民に説明できないような総理大臣には、そもそも行政の責任など果たせるはずもないが、総裁選の段階からすでに国会に出席したくないという欲望を隠そうともしないって……。どうやらこの国は、姑息かつ強権的な“ぶっ壊れた”総理によって、さらに民主主義が破壊されていくことになりそうだ。
(編集部)
最終更新:2020.09.10 06:59
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