「自助・共助・公助」を打ち出した菅官房長官はゴリゴリの自己責任論者!「叩き上げ」が国民に「生存者バイアス」を押し付ける

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菅義偉公式HPより


「密室政治」によってすでに「次期自民党総裁・首相」となることが決定的となっている菅義偉官房長官だが、その次期総理が打ち出したスローガンに批判が巻き起こっている。

 菅官房長官は、2日におこなった総裁選出馬表明の会見で、「国の基本は『自助・共助・公助』」と宣言。さらに、同夜に出演した『ニュースウオッチ9』(NHK)でも、「自民党総裁になったらどんな国にしたいか」という問いに対し、「自助・共助・公助」と書いた手書きのフリップを掲げて、こう述べた。

「『自助・共助・公助』。この国づくりをおこなっていきたいと思います」
「まず、自分でできることは自分でやる。自分でできなくなったら、まずは家族とか、あるいは地域で支えてもらう。そしてそれでもダメであれば、それは必ず国が責任を持って守ってくれる。そうした信頼のある国づくりというものをおこなっていきたいと思います」

 基本は自己責任で、次に家族や地域社会に頼れ。国は最後の最後──。同じく総裁選に出馬している石破茂氏は「納得と共感」、岸田文雄氏が「分断から協調へ」というスローガンを掲げ、安倍政治の反省と克服を打ち出しているが、菅官房長官はむしろ、安倍政治の基本ベースとなっていた自己責任をより強く打ち出してきたのだ。

 じつは、この「自助・共助・公助」は、菅官房長官がこれまでも繰り返し言及してきたフレーズだ。

 たとえば、阪神大震災から22年を迎えた2017年1月17日の会見でも、菅官房長官は「個々人が被害を軽減するためには、公助だけでなく地域における自助・共助の取り組みが重要だ」と指摘。また今年に入ってからも、北海道新聞(3月28日付)や秋田魁新報(3月30日付)などに掲載された政治学者の姜尚中氏との対談で「自助、共助、公助がしっかりした社会をつくるべきだと思っています。基本は自分、そして家族、地域で頑張るが、駄目なら国が面倒を見るという社会です」と発言している。

 たしかに災害時には避難行動など「自助」による取り組みも必要になってくるが、政治家ならば、まずは避難所や公的住宅の用意、支援などの「公助」について責任を持つと姿勢をあきらかにし、その上で「共助」「自助」について語るべきだ。しかも、災害時だけにかぎった話ではなく「国のあるべきかたち」として「基本は自分」「駄目なら国が面倒を見る」などと宣言するとは──。

 しかも、菅官房長官は最後の最後に「公助」と述べているが、実際には、その最後の砦さえ国民に用意する気はないはずだ。現に、第二次安倍政権が最初に強行採決した2013年成立の社会保障改革プログラム法でも、最終報告書にあった「公助」という文言を消し、「自助・自立」を前面に押し出していた。

 そもそも、安倍首相の新型コロナ対策が完全に後手後手にまわり、それによって内閣支持率をあれだけ落としたというのにその反省はまったくなく、そればかりか「自助」ではどうにもならない「国難」が起き、新自由主義路線の限界が決定的になったこのタイミングにあって、総理大臣が決まる総裁選で「自助・共助・公助」を全面に押し出してきたのである。これは、いかに菅官房長官が社会的弱者を無視する強固な自己責任論者・新自由主義者であるかという証拠だろう。

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