岡村隆史「コロナでかわいい人が風俗嬢」の性的搾取歓迎発言でニッポン放送が謝罪も本人スルー! それでも岡村を批判しないテレビ

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ニッポン放送『オールナイトニッポン』番組公式ページより 


 ナインティナインの岡村隆史がラジオ番組で「コロナが明けたらかわいい人が風俗嬢やります」などと発言した問題。きのう、この番組を放送していたニッポン放送が会社として謝罪を発表した。

〈4月23日(木)深夜に生放送の「ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン」において、パーソナリティの岡村隆史氏から、現在のコロナ禍に対する認識の不足による発言、また、女性の尊厳と職業への配慮に欠ける発言がございました。
放送をお聴きになって不快に感じられた皆様、関係の皆様にお詫び申し上げます。
弊社番組に関わる全ての制作スタッフには、迅速に、より一層の教育を図ってまいります。〉(『オールナイトニッポン』公式サイト)

「コロナ禍に対する認識の不足による発言」「女性の尊厳と職業への配慮に欠ける発言」「不快に感じられた皆様にお詫び」など、岡村発言の問題点を矮小化しているところも見受けられるが、謝罪しただけまだマシだろう。

 しかし、一方で当の岡村隆史はいまだ、この発言について謝罪はもちろん、なんら説明していない。

 当日のラジオでは、岡村の当該発言の合間に、スタッフの笑い声が入っており、諌めるような発言や謝罪訂正するような場面もなかったことから、生放送とはいえ放送局として謝罪は当然の話だ。

 しかしこれは、生放送で岡村自身が発言したことである。発言内容の悪質性を考えても、ラジオ局だけに謝罪させ、発言の張本人である岡村がだんまりを決め込んで済ませていい話ではない。しかも、今回の発言はその場の流れで口が滑ったというようなものではなく(だとしても問題が減じることはまったくないが)、そもそも岡村自身が以前から持っている差別意識に根ざした発言だからだ。

 あらためて、岡村の発言を振り返ろう。

 この発言は4月23日深夜25時から放送の岡村のレギュラー番組『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』のなかでのもの。

 まず、「コロナの影響でしばらくは風俗に行けない」と悩むリスナーからのメールに答える形で、岡村は「いまは辛抱。『神様は人間が乗り越えられない試練は作らない』って言うてはりますから。ここは絶対、乗り切れるはずなんです」と話した後、こんなふうに続けた。

「コロナが収束したら、もう絶対おもしろいことあるんです」
「収束したら、なかなかのかわいい人が短期間ですけれども、美人さんがお嬢(風俗嬢)やります」
「短期間でお金を稼がないと苦しいですから。そうなったときに今までのお仕事よりかは、ちょっと。僕、これ3カ月やと思てます、苦しいのは。3カ月の間、集中的にかわいいコがそういうところでパッと働らきます。で、パッとやめます」
「『え?こんなコ入ってた?』っていうような人たちが絶対入ってきますから。はい。だから、いま、我慢しましょう」
「いまは我慢して、風俗に行くお金を貯めておき、そして仕事ない人も切り詰めて切り詰めて、そのときのその3カ月のために頑張って、いま、歯を食いしばって踏ん張りましょう」

 すでに多くの人が指摘しているように、岡村の発言は、現在のコロナ禍で収入が減少し生活が苦境に陥った女性が、本人の本意ではないにもかかわらず、性風俗業の仕事をせざるを得ないことを、楽しみに待つというものだ。

 ニッポン放送は謝罪文のなかで「コロナ禍に対する認識の不足による発言」としていたが、そうではなく、岡村はむしろコロナ禍によって生活苦に陥っている人々がいることを十分に認識・理解している。

「批判している人こそ風俗差別だ」などと擁護をしている者もいるが、あまりに的外れだ。これは風俗の是非の話ではない。

 岡村は、生活苦によって自らの意志に反して性風俗業に従事せざるを得ない女性が存在するという「性的搾取」の構造を認識したうえで、その状況を歓迎しているのだ。

 これはゲスどころの話ではない。災害や不景気で貧困に陥る人々がでるたび、「かわいいコが入ってくるな」とよろこぶ──この態度は、女性をモノ扱いし、自らの「性のはけ口」「性奴隷」としか見ない、あまりに卑劣でグロテスクな女性蔑視だ。

岡村の差別体質 『PRODUCE 101 JAPAN』でのセクハラにも非難殺到!

 しかも忘れてはならないのは、上述のとおり、今回の岡村の発言はたまたま口が滑ったというようなものではなく、岡村自身の差別意識によることだ。実際、岡村が公の場で女性蔑視発言や差別発言をしたのは、はじめてではない。

 たとえば、芸能人の不倫をめぐる発言にも顕著だ。千原せいじの不倫については「なんか、1個ステージ上がった気がするんですけど……せいじさんの」「結局、せいじさんって、そんなにダメージないで」と、逆にステージが上がると予想し、東出昌大の不倫については「結婚したらモテたらあかんの」などと擁護したが、矢口真里や後藤真希ら女性の不倫については「俺はすぐにゲー吐くわ」「お前エロガッパやったんか?」「無理かな」「そんなん許したらアカン」などと非難。男性の不倫については擁護し、女性の不倫については非難するという典型的な男尊女卑発言を繰り返している。

 さらに酷かったのが、昨年9月、韓国の人気オーディション番組『PRODUCE 101』(Mnet)の日本版『PRODUCE 101 JAPAN』(TBS)で岡村が司会を務めたときのことだ。

 当時、本サイトでも指摘したが(https://lite-ra.com/2019/09/post-4983.html)、岡村はこの番組の公開収録で、差別発言やセクハラ発言を連発。怒りを覚えた公開収録の観覧者たちがSNSにその内容を投稿し批判したという一件だ。

『PRODUCE 101 JAPAN』は男性アイドルグループのメンバーを選ぶオーディションだったが、岡村はステージ上で男性器の名称を何度も口にしたうえ、練習生に向かって「ちくび見えちゃいそうだね」「曲中に下脱ぐの?」「お尻ザラザラやろ」といった言葉まで投げかけたという。男性同士だからといって、対抗する手段を持たない練習生に向かって吉本興業所属の大物芸人がこんなことを言うのは、セクハラであると同時にパワハラだ。

 また『PRODUCE 101 JAPAN』には、日本以外からも、韓国、カナダ、フィリピンから練習生が集まっていたが、岡村は彼らに対し、差別以外のなにものでもない「イジり」をしていたという。

 たとえば、韓国出身の練習生やカナダ出身の練習生に対しては、得意ではない日本語で一生懸命話しているのにも関わらず、「何を言っているかわからない」などと、日本語が拙いことを茶化すような発言をしていたという。また、日本語の堪能なイ・ミンヒョクに対しては、何度も、「パク・チソン」(京都パープルサンガやマンチェスター・ユナイテッドで活躍した韓国を代表する元サッカー選手)と呼んでいたとの証言がある。

 母語でない言語の拙さを揶揄することも、外国人の名前をわざと間違えることも、れっきとしたレイシャルハラスメント、人種差別そのものだ。

松本人志はじめ男性お笑い芸人に共通する、女性をモノ扱いする差別体質

 今回の「コロナが明けたらかわいい人が風俗嬢やります」発言をめぐっては、岡村個人の差別体質とは別に、もうひとつ大きな問題がある。

 それが表われたのが、『PRODUCE 101 JAPAN』でのセクハラのときとの、批判のスピードの差だ。

 『PRODUCE 101 JAPAN』のときは、発言を問題視した公開収録の観覧者たちが即座に次々とSNSにその内容を投稿し問題発言が発覚した。

 しかし、今回の岡村「コロナが明けたらかわいい人が風俗嬢やります」発言が批判を浴びたのは「Smart FLASH」が26日に岡村の発言を報じるまで、SNSで問題視されていなかった。事実、放送当時は、リスナーからこの発言を批判する声はほとんど上がっていなかった。

 むしろ〈岡村さんのコロナ明け風俗論、割とマトモで草〉〈岡村さんの予想、きっと当たりますよ。素晴らしい人材の流入、きっとあります。〉〈コロナ明けの三か月は重要φ(..)メモメモ〉〈岡村チーム長率いる風俗野郎Aチームに一生ついていきますwww〉などと賛同する声のほうが多いくらいだった。

 つまり、岡村の女性蔑視の背景には、こうした女性蔑視や性的搾取に何の違和感もない芸人やお笑いファンの価値観が大きく関係しているのではないか。

 実際、お笑い界では、岡村だけでなく多くのお笑い芸人たちが日常的に女性蔑視発言をし、今回の岡村と違ってたいして問題にもならないまま放置されている。それどころか、そのような発言を「笑い」「芸」などと称してはばからない状態だ。

 その筆頭が松本人志だ。松本は、今回のコロナ禍に伴う休業補償をめぐっても、「水商売のホステスさんが仕事休んだからといって、普段のホステスさんがもらっている給料を、われわれの税金で、俺はごめん、払いたくはないわ」(フジテレビ『ワイドナショー』2020年4月5日放送)と発言し改めてそのミソジニーぶりを露呈していたが、松本の女性蔑視発言は本サイトが記事にしてきただけでも枚挙にいとまがない。

 しかも、そうした発言が批判を浴びても、反省することはない。「難しいところでね。素人がこういうセクハラを操っちゃダメなんですよ。我々はセクハラ込みでトークするお仕事なので、それこそ『ダウンタウンなう』なんてさ、お酒飲みながら女性ゲストと喋るのに、しもネタいっさい禁止なんて成立しないんでね」(『ワイドナショー』2018年8月12日放送)などと開き直っている。

 松本がこういった女性蔑視的な価値観を流布することは、後輩の芸人たちにも影響を与えてきた。

 典型的なのが、2010年6月26日に放送された『人志松本のすべらない話』(フジテレビ)だろう。この放送では、千原ジュニアが木村祐一と一緒にある女性を部屋に連れ込んだ際、「私はそんなつもりで来たんじゃない」と言い、帰ろうとする女性の足元に、木村が冷凍室から取り出した鶏肉を投げつけた……という話を「すべらない話」として面白おかしく披露。被害者が訴え出ていれば、刑事事件になっていてもおかしくない問題だが、スタジオでは、松本をはじめ共演者の芸人もこのジュニアの話に大爆笑したのである。

 ジュニアや今回の岡村のように合コンや風俗をネタにした女性蔑視トークをする芸人は少なくない。昨年の闇営業に端を発する吉本問題を機に取り込まれるまで、岡村は松本とは距離をとってきたと言われるが、お笑いの女性蔑視体質・差別体質は共通しているということだろう。

 そして、こうした女性差別の共犯者となっているのがテレビだ。実際、ワイドショーは今回も岡村発言をまったく取り上げていない。いくらコロナ問題の渦中とはいえ、岡村の発言はコロナ問題とも関わっている非常に重大な発言だ。吉本に忖度しているのか、事の重大性を理解できていないのか知らないが、こうしたメディアの姿勢が、芸人たちの女性蔑視体質・差別体質を助長してきたのだ。

 しかし、テレビがいくらごまかしても、今回の岡村にスルーは許されない。自らの発言について、真摯な反省と説明をするべきだろう。

最終更新:2020.04.28 08:09

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