安倍首相が“明治復活”旗印にする『坂の上の雲』、作者の司馬遼太郎が「軍国主義を煽る」と封印の遺言を遺していた

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
sakanoue_151112_top.jpg
司馬遼太郎『坂の上の雲』(文藝春秋)

 11月3日の「文化の日」を「明治の日」にしようという気持ち悪い動きがある。

 きのう11日にも「「明治の日」を実現する集い」なるイベントが開催され、日本会議会長の田久保忠衛が基調講演を行った。「取り戻せ!明治の精神」というキャッチフレーズのもと、協賛には極右カルト「日本会議」はもちろんのこと、ヘイト団体である「頑張れ日本!全国行動委員会」、「新しい歴史教科書をつくる会」、「神道政治連盟東京本部」、「東京都神社庁」、「日本教育再生機構」など右派団体が名を連ね、稲田朋美政調会長もかけつけたという。

 現在「文化の日」とされている11月3日が、明治天皇の誕生日でもあり戦中は「明治節」とされていたことから、この日を再び「明治の日」とし、「厳しい国際環境の中で国家の独立を護り抜いた明治の先人たちに思いを馳せ」よう(明治の日推進協議会ブログより)というのである。

 数々の侵略戦争によって多くの国の人間の命と自由を奪い、日本自体も滅亡の危機に追い込んだ「大日本帝国」を取り戻したい、とは正気の沙汰とは思えないが、こうした明治日本への憧憬、回帰願望は単なる懐古趣味と笑っていられる状況ではない。
 
 たとえば、今年7月「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録へのゴリ押しだ。安倍首相は幼なじみでもある発起人の女性に「君がやろうとしていることは『坂の上の雲』だな。これは、俺がやらせてあげる」と語るなど、この登録には安倍首相の強い意向が働いていた。その背景に、明治日本の近代化を誇り大日本帝国の植民地主義の正当化をアピールしようという意図があったのは明らかだ。
 
 また、今年8月15日の安倍談話のなかで、明治の日本と日露戦争について、安倍首相は以下のように語った。

「百年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が、広がっていました。圧倒的な技術優位を背景に、植民地支配の波は、十九世紀、アジアにも押し寄せました。その危機感が、日本にとって、近代化の原動力となったことは、間違いありません。アジアで最初に立憲政治を打ち立て、独立を守り抜きました。日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました」

 明治日本の植民地主義を正当化し日露戦争を良い戦争だったと真顔で語る、この安倍首相の歴史観はつくる会の歴史教科書そのままなのだが、この歴史観のベースにあるとされるのが、司馬遼太郎の『坂の上の雲』だ。

『坂の上の雲』といえば、『竜馬がゆく』とならぶ司馬遼太郎の代表作で、明治の軍人・秋山好古、秋山真之の兄弟と俳人・正岡子規の3人を主人公に、日露戦争へといたる明治日本を描いた歴史小説である。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

文学界 2015年 11月号 [雑誌]

  • 楽天ブックスの詳細ページへ
  • Yahoo! ショッピングの詳細ページへ

新着芸能・エンタメスキャンダルマンガ・アニメビジネス社会カルチャーくらし教養

安倍首相が“明治復活”旗印にする『坂の上の雲』、作者の司馬遼太郎が「軍国主義を煽る」と封印の遺言を遺していたのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。文学歴史観酒井まどの記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 安倍が横田早紀江さんを無視している
2 生活保護カットで他の低所得者も困窮
3 ペジー社・齊藤容疑者が櫻井よしこと
4 アンゴラ村長「顔や生まれ蔑む笑い」批判
5 カズオ・イシグロがネタバレ自粛に疑義
6 さんま「戦争に税金使うな」と国税に抗議
7 美智子皇后が誕生日談話で安倍にカウンター
8 富岡八幡宮、祖父は日本会議前身の中心
9 昭恵の無神経と籠池夫妻の勾留長期化
10 ノーベル賞授賞式で被爆者出席も安倍政権が
11 エルサレム問題で安倍がトランプのポチ
12 北原みのり逮捕の原因は安倍批判?
13 蓮池透氏がさらに安倍の詐術を批判!
14 山口敬之との関係を質された安倍首相が
15 山口敬之氏のスポンサーが逮捕された!
16 田崎とケントに自民党からカネが!
17 流行語大賞の欠席続出はネトウヨのせい
18 櫻井よしこは「神社」に住んでいた! 
19 文春「慰安婦像の正体」報道は完全なデマ
20 北朝戦争に”NO”を言わない安倍政権
1田崎とケントに自民党からカネが!
2さんま「戦争に税金使うな」と国税に抗議
3山口敬之との関係を質された安倍首相が
4山口敬之氏のスポンサーが逮捕された!
5安倍が横田早紀江さんを無視している
6義家前文科副大臣が学校法人から献金
7安倍首相、森友加計の虚偽答弁を訂正せず
8加計獣医学部で特別扱いが次々露呈
9北朝戦争に”NO”を言わない安倍政権
10昭恵の無神経と籠池夫妻の勾留長期化
11安倍、麻生、稲田らのデタラメ政治資金
12ペジー社・齊藤容疑者が櫻井よしこと
13安倍が朝日攻撃で森友加計追及封じへ
14ノーベル賞授賞式で被爆者出席も安倍政権が
15SF慰安婦像問題と日本の歴史修正主義
16富岡八幡宮、祖父は日本会議前身の中心
17エルサレム問題で安倍がトランプのポチ
18大林宣彦「青春は戦争の消耗品ではない」
19生活保護カットで他の低所得者も困窮
20「森友加計は朝日の捏造」本を自民党が

人気連載

アベを倒したい!

室井佑月

連載一覧へ!

アベを倒したい!

ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100

ブラック企業被害対策弁護団

"驚愕のブラック"マッサージチェーン! 4日間睡眠時間ゼロの社員研修、会議の締めに男性社長と強制ハグ...

ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄

"体育会系相田みつを"松岡修造は本当に「ブレない男」なのか? 年を追うごとに変わっていく修造語録を読み解く

「売れてる本」の取扱説明書

ネット右翼の15年

野間易通

高市早苗はいかにして"ネオナチ"と出会ったか

ネット右翼の15年

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

戦争を放棄せよ! 軍事力がなくても侵略と闘う方法はある、自由のために闘える!

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」