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新年特別企画◎安倍政権御用ジャーナリスト大賞(前編)
安倍擁護ビジネスから抜け出せない人たち! 御用ジャーナリスト大賞10位〜6位発表! 有働由美子に立川志らく、山口敬之には特別賞
山口敬之『総理』(幻冬舎)
新年早々だが、今年も恒例の「御用ジャーナリスト大賞」をお届けしなければならない。2019年は年金問題ごまかし、消費増税、台風被災ないがしろ、「桜を見る会」問題にIR 汚職と、例年以上に安倍首相と政権の酷さが国民に示された年だったが、安倍御用メディア、ジャーナリストは減るどころか、増殖する一方だったからだ。
しかし、2019年は同時に、その正体がよりはっきりした年でもあった。連中はもともと「政権を擁護すれば仕事が増える」「政権から利権の分け前をもらえる」という計算、つまり身過ぎ世過ぎで応援団をやっているだけ。だから、安倍首相がどんなデタラメな発言をしても、政権のどんな不正が明らかになっても、安倍政権を擁護し、不祥事をごまかし続けてきたのだが、2019年は安倍政権の酷さのせいで、その“エクストリーム”ぶりにさらに拍車がかかったのだ。もはや笑うしかないようなすり替え、屁理屈、ごまかし、そして、安倍政権から具体的な“恩恵”を受けていたことが明らかになったケースも……。
いったいどんな人物がランクインし、どんな支離滅裂な擁護発言をし、どんな正体を晒したのか。前編では10位〜6位、そしてあの人のことを特別賞として紹介しよう。
10位●立川志らく
『グッとラック!』MC就任でトーンダウン、「政権擁護していない」と予防線も、やっぱり“権力の犬”だった
『ひるおび!』(TBS)やツイッターを中心に、野党バッシングに精を出し安倍政権をアシストしてきた立川志らく。安倍政権をヨイショし、批判勢力を叩き、反ポリコレを“昔気質の親父のぶっちゃけ正論”としてふりかざせば仕事が増えるという、現在の日本メディアにおける出世スゴロクに見事に乗って、ついに、今年秋からは朝の帯番組『グッとラック!』(TBS)MCの座をゲットした。
2019年も、桜田義孝五輪担当相の「3人産め」暴言を擁護したり、韓国に対し「自業自得」「恥を知れ」と罵るなど、相変わらずだった。あるいは、川崎殺傷事件では「死にたいなら、一人で死んでくれ」と暴論を吐き、ピエール瀧や沢尻エリカの薬物逮捕に「まわりに迷惑」と説教し、世の排除の空気や道徳ファシズムを煽りまくっていた。
ただし、新番組『グッとラック!』(TBS)MCが決まったあたりから、「安倍政権擁護していない」「ネトウヨじゃない」「自分は中立」などとやたら予防線を張りまくり。『グッとラック!』は『ひるおび』と違い、せやろがいおじさんをレギュラー出演させるなど番組じたいの方向性が多少リベラルを目指していることもあってか、政権擁護ぶりは微妙にトーンダウンしている。だが、それでもやっぱり、志らくの“長いものに巻かれる”体質は健在だ。
なかでもひどかったのが、「あいちトリエンナーレ」の「表現の不自由展・その後」をめぐる発言。10月9日放送の『グッとラック!』が、あいちトリエンナーレの芸術監督である津田大介氏と中継をつないで「表現の不自由展・その後」について生討論したのだが、「再開反対」で息巻く志らくは、津田氏に「子供の虐待の映像を見せて、これも表現の自由なんだということをやり始めたら、津田さんはどう思いますか?」などと言い出したのだ。いやはや、ネトウヨたちが攻撃した「昭和天皇の肖像を焼く映像」と、志らくが例にした「子どもの虐待映像」はまったくの別物であり、前者は国家の最高権力者かつ戦争責任者である公人中の公人、後者は当たり前に犯罪行為である。それを同列に並べて「どちらも表現の自由なのか」と聞くこと自体、馬鹿げているとしか言いようがない。
だが、もっと驚いたのは、志らくが「日本においてあの慰安婦像、向こうでは平和の像とは言われてるけども、これだけ政府がまだ認めていないものを芸術だって言い張っちゃうと」「(自民党は)こういうヘイトを含むものを芸術としてやるならば、国は金を出しませんよと。そうはっきり言ってくれれば」などと口走ったことだ。まさに“政府が認めたものだけが芸術”という独裁国家の検閲官のような呆れた“芸術観”。ようするに、この「中立正論頑固オヤジ」を気取っている落語家は、「表現の自由」がなんのためにあるかも理解せず、ただただ「頑固」に“お上”をフォローアップしているに過ぎないのだ。
しかも、この志らくの中途半端な権力志向は完全に視聴者に見透かされ、愛想をつかされ始めている。『グッとラック!』は視聴率低迷、志らくは先日発表された「週刊文春」の「嫌いなキャスター・コメンテーター」でも2位にも輝いてしまった。『グッとラック!』がもしリベラルな番組作りをしたいと本気で思っているなら、まずは志らくを交代させるべきじゃないだろうか。
9位●堀江貴文
以前はただの無教養なネオリベだったのに、安倍政権擁護連発! 裏ではロケット開発事業が政府事業の委託先に
ジャーナリストでもなんでもない堀江貴文をランクインさせたのは、最近の言動がどう見ても安倍政権擁護にシフトしているから。なんの教養もないのに弱肉強食のネオリベ理論を得意げに振り回すのは以前からだったが(それだけでも十分有害だが)、安倍政権を批判する意見や行動に噛みつきまくっているのだ。
とくにひどかったのが、「老後2000万円」問題をめぐり、東京で行われた「年金払え」デモの参加者を〈ほんとそんな時間あったら働いて納税しろや。税金泥棒め〉とツイートしたことだろう。
そもそも政府への抗議デモはどこの民主主義国でも普通に保障されている市民の当然の権利だが(しかもデモがあったのは日曜、お前はブラック企業の経営者か)、さらにホリエモンは発言に批判が集まると〈このデモに参加してる奴の大半は実質的に納税してる額より給付されてる額の方が多いんだよ。それを税金泥棒って言ってんだよ〉などとほざく始末。この男、年金制度では税金と別に保険料(掛け金)が徴収されているのも知らないらしい。しかも、サラリーマンや低所得者層の年金給付が納税額や保険料より多いのは、30年間以上の物価や賃金の上昇、富の再分配という考え方からして当たり前。それが崩れているから問題になっているのに、何を言っているのか。
ホリエモンは『サンデー・ジャポン』(TBS)でもこの「年金泥棒」発言を釈明していたが、結局、「デモの絵面がヤダ」「いまの(政府の)人たちはめちゃくちゃがんばってる」「そういうやつに文句言っても仕方ない」くらいしか言えなかった。
ようするに、この男、中学校の公民レベルの知識すらないのである。しかし、ホリエモンはそんな自分のことを恥ずかしいとは露ほども思っていないらしく、ことあるごとにデタラメな知識と論理で政権擁護を連発している。
たとえば、「桜を見る会」追及のさなかに沢尻エリカが逮捕されたことでネットでは報道潰しではないかという見方が広がると、待ってましたとばかりに嘲笑。政権の“スキャンダル隠し説”を唱えた鳩山由紀夫元首相を〈まじで、ほんとにこいつあたまが腐ってる〉などと攻撃したのだが、これに対して一般ユーザーから〈いや、堀江さんなら、鳩山さんよりも、安倍さんの加計学園問題とか、もっともっと突いてよ〉などと反応されると、それこそ、なんの問題もないっしょ。あほなの?〉ときた。
あれだけ疑惑まみれの安倍政権を盲目的に信じてしまうことこそ「あほ」丸出しだが、実は、ホリエモンが立ち上げたロケット開発企業は経産省の事業の委託先になっている。もしかして、安倍政権から恩恵を受け続けようと“政権批判叩き”に躍起になっているのでは……。そう考えると、ホリエモンはただの無教養なバカじゃない。有害で無教養なバカである。
8位●有働由美子
「ジャーナリスト宣言」も今は昔。安倍首相ヨイショインタビューに、天皇即位式典の司会で完全に“御用芸能人”化
NHKを退局して「ジャーナリスト」に転身すると宣言、『news zero』(日本テレビ)のキャスターに就いたものの、有働の活動はどんどん「ジャーナリスト」とかけはなれていっている。番組では政権批判なんてまったくといっていいほど口にせず、「桜を見る会」問題についても当たり障りのない紹介をしているだけ、これではまるで原稿を読むだけの新人アナと同じじゃないか。
いや、その実態はもっとひどいかもしれない。安倍首相が2019年4月元号発表当日、『zero』に登場し、有働の単独インタビューを受けたのだが(前キャスターの村尾信尚が嫌いで『zero』に出なくなっていた安倍首相が出演したということ自体が有働のスタンスを物語っているが)、有働は「総理は万葉集はお好きなんでしょうか?」だの「(新元号案を置いておく)金庫とかあったりするんですか?」だのといった質問しかできなかった。
しかも、有働は、「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」の司会まで務めた。祭典では嵐や芦田愛菜といった芸能人も多数登場したものの、本サイトで指摘したように、このイベントは主催団体のバックに日本会議があり、主催の委員会には櫻井よしこが「言論界・女性」の代表として名を連ねているシロモノ。百田尚樹や高須克弥、門田隆将といったネトウヨ文化人もこぞって出席し、「天皇陛下万歳!」がエンドレスに繰り返された異常な「極右」集会の様相を呈していた。
天皇即位については、国民主権や政教分離の問題、新元号選定からつづく安倍首相による政治利用など、論じるべき問題はいくつもあったというのに、有働はそれに切り込もうとしなかったばかりか、極右集会の司会を引き受けてしまったのである……。これじゃ、「桜を見る会」に呼ばれて喜んでいる御用芸能人となんら変わりはない。
有働がNHK退局の際に「ジャーナリスト宣言」したとき、池上彰が「そんな簡単にジャーナリストなんて自称してほしくない」と苦言を呈していたが、意外と池上はこのアナウンサーの本質を知っていたのかもしれない。
7位●小松靖
『ワイド!スクランブル』をヘイト化させ、「桜を見る会」ではアクロバティックな擁護! “ネトウヨキャスター”健在
“ネトウヨキャスター”として知られるテレビ朝日の小松靖アナウンサーだが、2018年に『ワイド!スクランブル』の司会に抜擢されてからも、そのスタンスは全く変わりない。それどころか、同番組は小松アナのせいで露骨な安倍政権擁護やヘイトに近い中国・韓国バッシングを繰り返す『虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)のような番組になってしまった。
たとえば2019年1月には、韓国との徴用工・慰安婦問題は「解決済み」などと強弁し「(文大統領には支持率以外に)北と繋がる別の理由があるのではないか」なるネトウヨそのものの陰謀論をまくし立てた。5月には、トランプ米大統領が関税引き下げをめぐって“いい結果になる”という趣旨のことを語ったことについて、明らかに日本の国益を失う安倍政権の失態にもかかわらず、小松靖アナは “アメリカにとっていい結果かどうかわからない”などと言って「あまり悲観的になりすぎるのもどうなのかな」と安倍首相擁護を展開。9月には、番組が旭日旗問題をとりあげるなかで「ハーケンクロイツとは全然違う」と強弁し、戦中に日本軍が旭日旗を掲げて侵略戦争を行った史実を矮小化しようとした。
だが、なかでも一番ひどかったのが11月、「桜を見る会」をめぐる反社会的勢力との関係について「吉本芸人と一緒にするのは無理があると思っていて。というのは、島田紳介さん、それから宮迫さんもそうですけれども、反社会勢力から対価を得るということは犯罪によって得たお金を対価としてギャラとしてもらったということになりますから、それとはちょっとワケが違う」と政権を擁護したことだ。言っておくが、ジャパンライフがそうであったように、「桜を見る会」に招待されたという事実は、その人物や関係企業に「政府によるお墨付き」を与えていることになる。闇営業で反社と絡んだ芸人よりもよっぽど罪が重いのというのは小学生でもわかる。それをあたかも政府のほうが問題が小さいかのように言うとは……。
このように、小松アナの政権擁護の特徴は、あまりにも無理がある雑な話を、自信満々で公共の電波に乗せてしまうことだ。そのやり口は、SNSで跋扈する有象無象のネトウヨと全く同じ。だてに“ネトウヨキャスター”と呼ばれているわけではない、ということだろう。
6位●辛坊治郎
選挙前に安倍首相を単独出演させてPRを電波に乗せた“大阪の腰巾着”! お前こそが“放送法違反”だ
2017年以来の再ランクインとなった辛坊。辛坊といえば、ネトウヨ製造番組『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)で司会を務め、安倍首相にとって大阪の腰巾着となっているのだが、『ウェークアップ!ぷらす』(読売テレビ)では「桜を見る会」問題について「追及している野党の人たちはバカなんじゃないかと多くの人は思う」などと安倍応援団お得意の野党批判にすり替えてみせた。
だが、もっと露骨だったのは、6月22日放送の同番組に安倍首相がゲスト出演したときのこと。この放送で安倍首相は年金問題や進展のない外交問題について一方的な成果をダラダラと主張しつづけ、一方の辛坊も「無条件に会うと言いながら、常識的には、どこかで拉致が動くんじゃないかという感触を持ったからではないかと想像するんですが」などとフォローを入れつづけた。
しかし、問題なのはそうしたやりとりの内容だけではない。この日は参院選公示日を少し後に控えたタイミングであり、安倍首相はあきらかに事前運動丸出しだったのだ。実際、安倍首相は放送中に立憲民主党・枝野幸男代表や共産党・志位和夫委員長への猛批判をはじめ、「今度の参議院選挙においては、審議すらしない政党を選ぶのか、審議をする政党を選ぶのか、それを決めていただきたい」などと宣言したのである。この宣言は、総理大臣としてではなく、完全に自民党総裁としての発言だ。
言っておくが、選挙まで1カ月を切ろうかというタイミングで、テレビに政党の党首が単独出演して選挙の呼びかけをおこなうのは、放送法違反を指摘されても当然の行為だ。現に辛坊は安倍首相が野党の党首批判をはじめたとき、「各党の方に来ていただいて論じないと不公平になりますので」「総理だけの反論を聞くわけにはなかなかいかない」と述べたが、そのトーンは完全に身内からのアドバイスだった。
選挙前のタイミングだとわかっていながら安倍首相を単独出演させるという、ご法度行為もやってのける。「偏向」というのは、まさにこのことを言うのではないか。
特別賞●山口敬之と山口を擁護する安倍応援団
性暴力を働いた山口と、詩織さんに対する卑劣攻撃を繰り出した連中が全員安倍応援団だったというのは偶然ではない
前編の最後に、「特別賞」として、伊藤詩織さんとの民事裁判で全面敗訴し、性暴力が認定された元TBS記者・山口敬之氏の名前をあげておきたい。御用ジャーナリスト大賞では、安倍応援団でも、カルト極右や現役で地上波に出ていない評論家、ジャーナリストは対象外としているのだが、山口氏については、改めて安倍政権との関係について指摘しておく必要があると感じたからだ。
今回の判決を報じた新聞やテレビではほとんど掘り下げられていないが、山口氏は「安倍首相にもっとも近いジャーナリスト」として安倍首相の礼賛本を出版、ワイドショーに出演しまくって露骨な安倍首相擁護を繰り広げてきた。一方、安倍首相や官邸の側も山口氏に対して破格の扱いをし、様々な便宜を図ってきた。関係者以外が立ち入ることのできない首相執務室での写真をカバーに使わせ、TBS退社後の再就職先の世話や海外の研究員への推薦などに動いていた。そして、詩織さん事件で、山口氏の逮捕が直前に取り消されたのも、こうした癒着関係の結果だった
ようするに、安倍首相はこういう平気で性暴力をはたらくような人物を御用ジャーナリストとして重宝し、さまざまな便宜を図ってきたのである。
これは山口氏だけの話ではない。この問題をめぐっては、山口氏と同様に安倍応援団の小川榮太郎や百田尚樹、上念司、「月刊Hanada」(飛鳥新社)の花田紀凱編集長などといった安倍応援団たちがこぞって山口氏の擁護と伊藤さんへの卑劣バッシングをおこなってきた。
百田や上念らは山口氏が敗訴するや否や詩織さんバッシングの責任を頰かむりして遁走しはじめ、一方、小川や花田は山口氏の会見に同席して伊藤さんに対するバッシングを繰り出しているが、今回あらためてはっきりとしたのは、安倍応援団に共通する女性蔑視と性犯罪に対する姿勢だ。首相の礼賛本を執筆し、熱烈支持して、メディアで持ち上げ、安倍首相を批判する者に執拗な攻撃をおこなっている御用ジャーナリストや御用メディアがことごとく、女性に性暴力を振るう人間を擁護して、平気で性被害者バッシングを繰り出しているという事実は決して偶然ではない。
安倍首相の人権軽視の極右思想や歴史修正主義と、女性への性暴力を許容する女性蔑視思想は地続きにあることを山口氏の性暴力事件が証明したと言えるだろう。
(編集部)
(後編に続く)
最終更新:2020.01.02 01:13
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