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LGBT差別の小川榮太郎が自身への批判を「組織的」「司令塔なしに不可能」と陰謀論を展開! AbemaTVでも差別連発
9月19日放送の『AbemaPrime』に出演した小川榮太郎氏(AbemaTVより)
“LGBTは生産性がない”の自民党・杉田水脈衆院議員を徹底擁護する特集で大批判を浴び、とうとう休刊が発表された月刊誌「新潮45」(新潮社)。周知の通り、なかでも下劣だったのが安倍応援団の自称文芸評論家・小川榮太郎氏の文章だが、その“「新潮45」を終わらせた男”である小川氏が、いま、ワケのわからない陰謀論をまくしたてているのをご存知だろうか。
小川氏は23日、Facebookにこんな投稿をした。
〈【新潮スキャンダル】私の親友に洗脳、プロパガンダの専門家がいる。彼が電話をかけてきて、今回の件は明らかに変だぜ、と言う。新潮45が出た途端に加速する私への誹謗中傷のツィートが余りにも組織的だ。司令塔なしに不可能なレベルだとこの専門家は指摘する。
さらに、テレビ、動画媒体からは徹底的に敬遠されてきた私が出版初日にネット番組とは言えテレビ朝日系の番組出演依頼を受けたのも奇妙だと彼は言う。
なるほど、出演依頼を受けた時、珍しいこともあるものだと思った記憶がある。〉
ようするに小川サンは「洗脳、プロパガンダの専門家の親友」なる人物の口を借りて、自分に対する批判はトップダウンの組織的な仕業だと言いたいらしい。うーん、あまりに雑な陰謀論。この時点でまともな知性の持ち主なら相手にするのも馬鹿らしいと思うだろう。
第一、小川氏の「司令塔がいる」なる陰謀論とは別のごくシンプルな説明がある。それは、この自称文芸評論家の文章が、誰がどう見ても明らかな誤謬と偏見に満ちており、その自己陶酔的な文体で隠そうともしない悪意に、大勢の人が拒絶反応を示した。だからこそ、歴史ある「新潮45」が休刊になるほどの大きな批判が巻き起こったのだ。そうとしか言いようがない。
にもかかわらず、意味不明な被害者ヅラをして、何者かの企みによって批判されたかのように吹聴するその神経……。だいたい、安倍晋三のヨイショ本や政権擁護本を多数手がけてきた小川サンの「親友」が「プロパガンダの専門家」って、ちょっとこれ、自虐的ジョークか何かと思ってしまうではないか。
ちなみに〈テレビ朝日系の番組出演依頼〉というのは、19日放送の『AbemaPrime』(AbemaTV)を指すのだが、この自称文芸評論家は、番組に対しても〈番組を見た方は、これが私という「メインゲスト」を尊重する構成員を集めたものだったか、最低限の公平性を担保したものだったか、私から申し上げずともお分かりだろう〉(23日Facebook)などと書いている。
もう一度言う。どうしてこのような被害者ヅラができるのか。
念のため、本サイトも『AbemaPrime』をあらためて視聴してみたが、小川サンは討論のなかで他の出演者からフクロ叩きにされたのかと思いきや、そんなことはなく、むしろ「新潮45」以上に言いたい放題。“ネトウヨアナウンサー”として有名なMCの小松靖アナウンサーからたびたびフォローされながら、元気よくこんな暴論をまくし立てていた。
「パンツくらいはいとけ!! 性的なことっていうのはね、社会で議論すべきことじゃないんです」
「社会でね、性的な問題をギャーギャーギャーギャー議論するということ自体が、まったく人間として基本ナンセンス」
「性的シコウ、よく日本語で志の『志向』か、好みの『嗜好』かって言いますけど、それは言葉遊びです」
「LGBTってここにいろいろ、オスとメスしかないって私、生物学者じゃないんでね、いやオスとメスの間に『オスメ』ってのがいるよって言われても困るんだよね。そんな専門家じゃないんだから」
「私を呼ぶんだったら、私の文章を2度くらいは通して読んどいてほしいんだけれども、そのなかで、たとえば同性愛は知的にも美的にも優れた感性の持ち主が多いと。オスカー・ワイルド、アンドレ・ジイド、マン、ホロヴィッツ、カラヤンと人気を二分したレナード・バーンスタイン、みんなこれホモだよ」
私は専門家じゃないと言って開き直り、正しくは「性的指向」であるにも関わらず、あくまで「同性愛は性的嗜好」だと強弁しながら「言葉遊び」とごまかして、「社会で議論することがナンセンス」などと議論を放棄し、ましてや同性愛者を侮蔑する差別的表現である「ホモ」という言葉を平然と口にする小川氏。これが自らの言葉に責任を持ち、社会にその強度を問うことで飯を食っている人間の態度だろうか。
だから、本サイトは小川サンを「自称文芸評論家」と呼ばざるをえないのだ。
「休刊は尋常でない圧力を想定しない限り説明がつかない」と被害者ヅラ
一応、ひとつだけ補足しておくと、小川氏がいう「オスカー・ワイルド、(略)、これみんなホモだよ」についてだが、「新潮45」でも〈ましてやレズ、ゲイに至っては!/全くの性的嗜好ではないか〉としたうえで〈同性愛は知的にも美的にも優れた感性の持ち主に多い〉と書いている。これ自体、人の個性を性的指向で定型化し、偏見を助長する表現だが、さらに文章はこう続く。
〈ワイルドは投獄されたが、ここに挙げたそれ以外の大芸術家たちは歓楽も名誉も極めた。同性愛に厳しく対処してきたキリスト教社会でさえ二十世紀後半、既にそうなっていたのである。
何を今更騒ぎ立てるのか。
社会的な後ろめたさを全て除去したいとでもいうのか。〉
あまりにレベルの低い破綻したロジックだ。当たり前だが、ワイルドやジッド、マンらは“同性愛者”という性的指向によって「名誉を極めた」のではなく、その作品や文学性が評価されたのである。小川氏のやっていることはスリカエとしか言いようがなく、ここから読み取れるのは、ゲイであるワイルドらを賞賛するふりをしながら、LGBTに対する社会的抑圧の存在を矮小化したうえで、当事者に我慢を強要しているということだ。それも〈人間ならパンツを穿いておけよ〉(「新潮45」)なる極めて侮蔑的な表現によって。
いずれにしても、小川氏は番組中、常に意気揚々としており、いま、Facebookでわめいている〈私という「メインゲスト」を尊重する構成員を集めたものだったか、最低限の公平性を担保したものだったか、私から申し上げずともお分かりだろう〉なる話は被害妄想としか言いようがない。
ところが、である。小川氏の妄想はFacebookで終わることなく、28日にはオピニオンサイト「iRONNA」に「私を非難した新潮社とリベラル諸氏へ」と題した手記を寄稿。〈新潮社の月刊誌『新潮45』の休刊は、尋常ではない圧力を想定しない限り説明がつかない〉との書き出しで、陰謀論を恥ずかしげもなく表沙汰にしてしまった。
〈早急に必要なのは、この事実上廃刊に至る新潮社の不可解な動きの裏で、社内外で連携した何らかの組織動員的な圧力、スキャンダル圧力などが新潮社執行部にかけられていなかったどうかの真相究明だ。〉(「iRONNA」)
いや、だから、「何らかの組織動員的な圧力」とか「スキャンダル圧力」って何なのか。自分が書いた原稿が多くの批判を受けた状況に被害者ヅラで首をかしげ、そこに巨大な謀略があると思い込み、根拠もなく“ハメられた”と騒ぐ。こういうのを陰謀論というのだ。
自らのLGBTヘイト論文が休刊の原因のひとつなのに棚上げ
まずは現実を受け止めてほしい。小川サンは〈社長声明が発行3日目というのはいくら何でも早すぎる。自然発生的対処と考える方が無理ではないか〉(「iRONNA」)と書く。まあ、たしかになんの反省も検証もないままの社長声明や休刊は拙速であることは否めないし、「新潮45」は赤字続きで、上層部はいつ切ろうかと考えていたとは思うが、そのトリガーのひとつは、まぎれもなく、小川サンの醜悪な文章なのである。
なお、「iRONNA」のほうではその後、小川氏の文章を批判した文筆家たちのツイートを引用して、あーだこーだと書き散らしているのだが、小川サンは最後に〈それにしても、なぜここまで事は急激に運ばれたのか。拙文が普及してからでは廃刊クーデターが展開しにくくなるからではないか〉としてこう締めくくっている。
〈健全な民主社会を維持する根本は、言論が①ファクトに基づくこと、②言論のプラットフォームであるマスコミや出版社は、公平な媒体であることに徹し、自由な空間を死守することである。ところが、この自由社会の基幹というべき2点が数年、日本ではなし崩しに突き崩されつつある。
あの森友・加計学園問題を報じた朝日新聞による倒閣運動を日本社会は放置した。保守政権叩きでさえあれば、ファクトなど今の日本の大手メディアはもはやどうでもいいとの不文律が、これで出来てしまったと言える。
その上、今回の『新潮45』休刊での不可解な動きだ。朝日新聞と新潮社の「あまりに常識を逸脱した」行動で、日本社会はファクトもオピニオンの公平な提供も、全く責務として引き受けようとしない大手メディアによって、完全に覆われることになった。
日本は平成30年9月25日をもって、「言論ファッショ社会」に突入したという事にならぬかどうか──。実に厳しい局面に日本の自由は立たされている。〉
いやいや、何を言う。「ファクトなどどうでもいい」というのはまさに小川サンのことではあるまいか。
まっとうな批判に対して「言論ファッショ」などと言うトンチンカン
小川氏といえば昨年、『徹底検証「森友・加計事件」 朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』(飛鳥新社)という本で、“森友・加計学園問題は朝日とNHKが共犯のうえで「創作」した”なる陰謀論的分析を開陳。あまつさえ、自民党から同書を5000部ほど購入してもらっていたのだが、その内容は〈今回は朝日新聞が明確に司令塔の役割を演じ、全てを手の内に入れながら、確信をもって誤報、虚報の山を築き続けてゆく〉などと根拠なく書き立てる荒唐無稽なシロモノで、あの腰砕けで知られる朝日新聞ですら提訴するレベルだった。
あと、小川サンは、自分への批判のせいで「言論ファッショ社会」が到来したみたいなことをおっしゃるが、少なくとも、事務局長を務めた「放送法遵守を求める視聴者の会」で政府に批判的なマスコミ報道に対する圧力運動を展開した小川氏には、そのように格好つける資格などあるまい。
小川氏だけの話でもない。昨今では、差別言説に対して抗議したり、それを批判する言論を投じただけで、「左翼の言論弾圧が始まった!」などとのたまう輩が散見される。この種の難癖が往々にして陰謀論とセットであることは、小川氏の例をみればおわかりだろう。
しかし、繰り返しになるが、今回の「新潮45の休刊の直接的原因は、杉田水脈氏や小川サンの論文のような、LGBTヘの差別を助長する悪辣なシロモノを掲載した新潮社の責任問題に他ならない。もちろん、検証もないまま休刊すれば全てが終わるのかという論点はあるが、ひとつの社会的な対応とは言えるだろう。
いずれにしても、杉田氏や小川氏の「言論」に対する大きな批判がなければ、起こり得なかったことだ。小川氏に「言論のプラットフォーム」のひとつを潰した自覚があるなら、まずは己を省み、悔やむことだ。それとも、小川氏は自分が書き落としたモノへの批判はすべて「言論弾圧」だとでも言うのだろうか。であれば、あなたはやはり評論家を名乗るべきではない。
(編集部)
最終更新:2018.10.01 12:34
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