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森友問題めぐり財務省・太田理財局長が会計検査院への介入を密談した記録が! 菅義偉官房長官との連携もポロリ
密談記録を明らかにした共産党の小池晃参院議員(参議院インターネット審議中継より)
またまた驚愕の内部文書が出てきた。昨年9月総選挙の直前に、財務省と国交省が政権のデメリットに配慮して、官邸ぐるみで文書の隠蔽など国会対応をいかにごまかすか密談していたというのだ。
昨日28日におこなわれた集中審議の質疑のなかで、共産党の小池晃参院議員が明らかにしたもの。
共産党が独自に入手したという新文書は「意見交換概要」と題された文書で、小池議員によると昨年9月7日の午前9時15分から約40分間にわたって、財務省の太田充理財局長と国交省の蝦名邦晴航空局長らでもたれた話し合いの内容が記録されている。
まず小池議員は、太田理財局長に「昨年9月7日に、国交省の蝦名航空局長らと、会計検査院や国会への対応について意見交換をおこないませんでしたか」と質問。太田理財局長は、「自身も航空局長も異動したばかりで森友問題について詳しくなかったのでいろんな意味でできるだけ顔を合わせて意思疎通を図ろうとしていた」として、9月7日の面会の事実を認めた。
すると小池議員が、その9月7日の話し合いの内容をまとめた「意見交換概要」なる文書を独自入手したとして、読み上げ始めた。
最初に紹介されたのは、会計検査院への対応にかんする話し合いだった。ちなみに、昨年2月以降国会で議論されてきた、森友学園への国有地の値引きの妥当性について、安倍首相らは「会計検査院が調査中だから」「会計検査院の調査を待つ」として、一切の説明責任から逃げ続けていた。
その会計検査院の報告書について、太田理財局長と蝦名航空局長の間でこんなやりとりがあったという。
航空局「総額を報告書から落とすこと。瑕疵担保免責の考え方を認めさせて、リスクを遮断するために、見える範囲で最大限合理的な範囲で見積もったと主張できるようにしておくことが重要」
理財局「総額を消すことが重要だが、それが難しい場合には、失点を最小限にすることも考えなくてはいけない。少なくともトン数は消せないのではないか。金額よりもトン数のほうがマシ」
「官邸をまわる姿を見られるのはよくない。秘書を通じて官房長官へ」の発言も
「失点を最小限にする」とは、断言・全否定の佐川宣寿・前理財局長とは違ういかにも太田理財局長らしい発言に思えるが、それは置くとして、「総額」「トン数」と言っているのは、国有地から出てきたゴミのことを指していると思われる。
つまり、太田局長らは、会計検査院の報告書から「総額を消してもらおう」「総額が難しければ、トン数だけは残して金額だけでも消してもらおう」と話し合っているのだ。これが事実なら、とんでもないことだ。会計検査院は内閣から独立した機関と憲法で定められているが、その会計検査院の検査に対して、介入を相談していることになるからだ。
しかも、太田理財局長は「会計検査院は独立した機関だから、仮に我々が希望したからといって、検査院のほうに通るわけがありません」と抗弁していたが、実際、昨年11月に会計検査院に公表した報告書は、ここで太田局長らが話し合った通りのものになっている。
ゴミの量については、国が「全体で47%の土壌にゴミがある」と試算していたのに対し、会計検査院の調査では「ゴミの量は国の推計の3〜7割程度」と数字を明示し疑義を呈した一方、金額については「検証に必要な資料が十分残されていない」などとして踏み込まなかった。これに関しては当時から、政権に忖度したのではないかと指摘されていた。
文書改ざんと同じように「理財局が勝手にやったこと」「佐川の答弁に合わせるため」などと、安倍首相らは言い募るかもしれないが、そんな言い逃れは通用しない。この密談が官邸ぐるみであることも明言されているからだ。
会計検査院に対して局長レベルで対応したあと、官邸や与党の対応をどうするかという航空局長の問いに対し、太田理財局長がこんなふうに応じているのだ。
「両局長が官邸をまわっている姿をマスコミに見られるのはよくない。まずは寺岡を通じて、官房長官への対応をするのが基本だ」
「寺岡」というのは、寺岡光博・官房長官秘書官のことを指していると思われるが、ようするに官邸、菅官房長官ぐるみで、会計検査院の報告や国会対応をどうごまかすか、文書隠蔽の相談を図っていたのだ。
「政権のデメリットを考えて」行動することを告白していた太田理財局長
さらに、「今後、決裁文書等についてどこまで提出してゆくべきか」という話し合いで、太田理財局長はこんなことまで言っている。
「ないものは出せないが、これまでもある程度出してきており、個人的には出せるものはできるだけ出したほうがいいと思う。出てしまうと、案外追及されなくなるという面もある。ただし、政権との関係で、デメリットも考えながら対応する必要はある」
どの文書を出すか出さないかは、「政権との関係で、デメリットも考えながら対応する」というのだ。
安倍首相は、たとえば今月23日の衆院厚労委員会でも「国会答弁との関係で文書を廃棄することは不適切であり、誠に遺憾」などと答弁するなど、「文書の改ざんも破棄も財務省理財局が勝手にやったこと」と言わんばかりの他人事を決め込んできた。
しかし、太田理財局長が、文書を出すか出さないかは「政権との関係で、デメリットも考えながら対応する必要はある」と語っているように、文書の隠蔽も廃棄も、すべて「政権のデメリットを考えて」のことなのだ。
小池議員はこの文書について「すぐ見つかるはずだ」と言っていたが、太田理財局長や安倍首相の狼狽ぶりを見る限り、この文書は間違いなく本物だろう。
本来、内閣から独立した機関である会計検査院の検査に、財務省や官邸が介入していたとしたら大問題だ。しかも、前述したように、昨年2月に森友学園への国有地8億円値引き問題が発覚して以降、安倍首相は「会計検査院の調査を待ちたい」「会計検査院の調査中」と、会計検査院の検査を口実に、一切の説明責任から逃げ続けていた。それが、実際には報告書の内容について裏工作しており、官邸お手盛りの報告だった可能性も出てきた。
さらに、きのうの衆院予算委員会では、同じく共産党の宮本岳志議員も、この「意見交換概要」文書について質問したが、宮本議員によると、会計検査院が検査結果を国会に提出する2カ月以上前のこの9月7日の時点で、会計検査院の報告書の内容を太田理財局長が知っていたと思われる記述があると指摘したのだ。
公表前の昨年9月の時点で報告書の内容を知っていたか問われた太田理財局長は「通告がなくて答えられない」「記憶を呼び戻せと言われても答えようがない」とまったく答えなかった。
官邸が会計検査院の調査結果公表を選挙後に延期させた疑惑も
この会計検査院介入問題については、ほかにも気になる点がある。会計検査院への介入が、きのう小池議員に指摘された「金額を消す」という点だけだったのか、という問題だ。
というのも、会計検査院が検査結果を国会に報告したのは、昨年11月22日のこと。検査の途中経過が漏れ伝わってきたのも、10月末。10月22日の総選挙の後のことなのだ。検査が要請されたのは3月6日のことで、実に8カ月以上かかっており、遅すぎるのではないかと指摘されていたが、これもやはり「政権のダメージ」を考えて、検査結果の公表を選挙後にするよう、官邸から介入がなされた結果なのではないか。
財務省と国交省によるこの密談がおこなわれたのは、9月7日。「モリカケ隠し解散」を「国難突破解散」と嘯く解散会見をしたのは9月25日で、メディアが解散を一斉に報じたのは9月17日のことだ。
不十分だったとはいえ、会計検査院の検査結果は、「値引きの根拠は確認できない」と8億円もの値引きに疑義を呈するもので、これが選挙前に明らかにされていたら、選挙にも大きな影響があっただろう。
内閣から独立した機関であるはずの会計検査院の検査にも介入し、検察も政権に忖度した動きしかしていない。
きのうの集中審議では、無所属の江田憲司衆院議員が安倍首相に対し、「証拠はもう十分出揃っているが、自白だけがない状態」「安倍首相は詰んでいる」と詰め寄っていたが、どれだけ証拠が揃っても、あらゆる機関が安倍首相に忖度して、嘘に嘘を重ねて安倍首相をかばう、ということが繰り返されている。この自浄能力のなさは、日大どころの話じゃないと思うのだが……。
(編集部)
最終更新:2018.05.29 07:50
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