加計・獣医学部施設の設計図が流出! 研究施設にワインセラー、病原体封じ込め不十分、補助金不正の新疑惑も

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自民党HPより


 加計学園問題で新たな動きが出てきた。加計学園が新設する岡山理科大学の今治キャンパス獣医学部棟の設計図面を含む関連文書全52ページを複数のメディアが入手、建設内容の「あり得なさ」を指摘しはじめたのだ。

 たとえば、加計問題でスクープを連発している「週刊朝日」(朝日新聞出版)は、オンライン版で今治キャンパスの設計内容の問題点を報道している。

 そもそも、加計学園は獣医学部を新設する目的として〈創薬プロセスにおける多様な実験動物を用いた先端ライフサイエンス研究の推進〉を挙げてきたが、その研究で重要になってくるのが、ウイルスや細菌などの研究・実験施設だ。そして、取り扱うウイルスや細菌などのレベルに応じて「バイオセーフティーレベル」が4段階で設けられており、施設に対してはそのレベルにあわせて管理・安全対策の基準が定められている。

 そんななか、加計学園新学部設置準備室長で獣医学部が新設されれば学部長に就任予定の吉川泰弘・千葉科学大学教授らは、4月11日に今治市で開かれた住民説明会でも「病原体などの取り扱いについて」質問を受け、このように回答している。

〈世界中の科学者が経験と議論を重ね安全対策を講じたバイオセイフティーレベル3の施設によって完全に封じ込めが可能です〉(今治市HP資料より)

 しかし、今回の「週刊朝日」の取材に対し、バイオセーフティーレベル3の部屋が配置された獣医学部棟5階平面図を見た研究者は「隔離性の低さ」を指摘。「これでは高病原性鳥インフルエンザの検査、診断、実験、研究は難しいと思う」と語っているのだ。

 病原体を〈完全に封じ込めが可能〉という説明とはまったく違い、隔離できないのではないか──。これが事実なら、学生や教職員だけではなく地域住民にとっても大きな問題。隔離性の低い施設で高病原性鳥インフルエンザの研究をおこなうなど、まさに背筋が凍るような話だ。さらにそれだけではなく、この研究者は「施設全体でみても、動物実験を理解していない人が設計しているんじゃないか」とさえ話している。

獣医学部施設にワインセラー、補助金不正の疑惑も

 しかも呆れるのは、加計学園の危機管理に疑問がつく一方、この獣医学部棟の最上階である7階には、信じがたい豪華施設の存在が設計図に書き込まれていることを日刊ゲンダイが報じた。

 その豪華施設とは、「パントリー」(配膳室)と「大会議室」と書かれた部屋。そのパントリーには驚くことに「ワインセラー」や「ビールディスペンサー」などという文字が図面に躍るという。ようするに、「大会議室」とは酒盛りに対応する“宴会場”ということなのだろう。言っておくが、ここは「国際水準の獣医学教育」をおこなうという触れ込みの大学であって、ホテルの宴会場ではない。

 そして、忘れてはならないのは、この獣医学部の建設には森友学園に似た“補助金不正申請”の疑惑もあることだ。

 今治市は獣医学部新設のために約37億円の土地を無償譲渡し、建設費96億円を愛媛県とともに補助。市は最大64億円を負担する予定だが、今治市議会は6月21日に獣医学部の施設など建設にかかる費用見積もりを約148億円と公表。単純計算で坪単価は約150万円となるが、これが相場よりかなり高い、と指摘されていることは既報の通りだ【https://lite-ra.com/2017/07/post-3294.html】

 さらに今回、流出した設計図を見た建築エコノミストの森山高至氏は、「獣医学部なので特殊な建物かと思っていたら、ごく普通の商業施設と同じレベル」(前述「週刊朝日」オンライン版記事より)と指摘。「なんらかの獣医学部の施設がプラスされるのでしょうが、坪単価で80万円から、高くとも100万円でしょうね。とても150万円するとは思えない」と話すのだ。

 つまり、相場よりもかなり高い建設費の見積もりをもとに今治市は96億円の補助金を捻出することを決めてしまったが、加計学園は高額な補助金を得るために建設費を水増ししているのではないか、という疑惑がもち上がっているのである。

新聞、テレビも設計図を入手、決定的な続報が

 国家戦略特区での決定プロセスが「歪められた」という問題もさることながら、今回浮上した大学設置審の判断にも大きく影響する施設の管理・安全性、さらには建設費見積もりの妥当性も大きな問題だ。

 いまこの問題を取り上げているのは、前述した「週刊朝日」や日刊ゲンダイ、フリージャーナリストの田中龍作氏くらいしかいないが、本サイトが取材したところ、他のメディアも取材に動いているようだ。

「すでに複数のテレビ局や新聞社がこの設計図を入手していて、いまは専門家に意見を求めながら、情報を精査している最中。追って続報が出るはずです」(大手紙記者)

 安倍首相は北朝鮮のミサイルを警戒し、夏休みを返上、18日に公務に復帰したと伝えられたが、昨日も例のフィットネスクラブに出かけた以外は私邸でのんびり過ごしている。北朝鮮問題で加計報道が減ってすっかり安心しているのかもしれないが、疑惑が雪だるま式に膨れあがるなか、これで逃げ切るなどありえない。徹底追及の手を緩めるわけにはいかないだろう。

最終更新:2017.12.07 04:52

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