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テレビがふれなかった清原のシャブ密売人“告白本”の中身! 清原の意外な素顔とマスコミ報道のえげつない裏側
『密売』(ミリオン出版)
覚醒剤取締法違反により懲役2年6カ月、執行猶予4年の判決が確定している元プロ野球選手の清原和博。9月に「宮古島に潜伏」している様子を『FRIDAY』(講談社)が報じて以降、音沙汰はない。が、先日、突如日本テレビ(『ミヤネ屋』)、TBS(『NEWS23』)、フジテレビ(『直撃LIVE グッディ!』)の主要3局が彼を特集したのだ。
各局に共通して登場したのが、清原に覚醒剤を売り渡したとして、清原逮捕の数日後に逮捕された小林和之(懲役3年、執行猶予5年が確定)。内容は全局とも「清原氏の元密売人に直撃」し、彼の証言を元に“覚醒剤にハマる清原”の生々しい様子が明らかになったとの触れ込みで、相変わらずの“清原バッシング”に終始した。
しかし、放送から数日後、小林は、清原にシャブを通じた交友を独白した『密売』(ミリオン出版)を上梓。同書には、各局の「覚醒剤って怖いですね〜〜」とコメンテーターに言わせるような内容とはかなり違う清原の素顔や、清原スキャンダルに群がる報道の舞台裏が描かれていた。
同書によると、清原と小林の出会いは2014年8月、〈「キヨに会わせるから」とDに呼び出されたのがきっかけだった〉という。Dとは競馬の予想会社や出版社などを経営し、著名プロゴルファーをマネージメントしていたこともある実業家で、一時、マスコミでは清原の「タニマチ」と報じられていた人物だ。
小林は05年に別の罪で服役したときに黒羽刑務所でこのDに出会ったというが、当時からDは清原と交友があることを自慢していたという。当初この話を信じていなかった小林氏だが、09年に出所して飲食店をオープンし、ほどなく出所したDとツルむようになった。
それから5年経った14年3月6日、『週刊文春』(文藝春秋)3月13日発売号)で清原氏の覚醒剤疑惑が報じられる。そして小林氏が初めて清原氏に会ったのは、報道からしばらく経った同年8月のことだった。Dから清原氏に会わせるから覚せい剤を仕入れてくれとの連絡を受けた小林氏は、ネタ元から覚醒剤を仕入れ、ザ・リッツ・カールトンの一室を予約した。
〈チャイムが鳴った。
ドアの覗き穴から見ると、Dと清原和博、その人が立っていた。(略)
ドアを開けると、清原さんは笑顔で俺に握手をしながら大きな体を折って頭を下げ、「初めまして清原です」と言った)
“売人”として紹介された小林だが、そのまま部屋で清原と一緒に同覚せい剤を炙ったという。
〈清原さんは、ライターの小さな火でパイプのなかのシャブを炙り、煙を深く吸い込んだ。(略)
バカでかいテレビのなかでニュースが始まり、巨人対阪神の0B戦が11月に仙台で開催されると報じた。
部屋の空気が一気に重くなった。
「あれっ、なんだこれ? 俺、呼ばれてなぇなぁ」
清原さんは、わざと大げさに驚いてみせた。
Dと俺が静かに笑うと、清原さんは満足げな顔をして、さらにシャブを炙った〉
その後も3人はシャブ仲間として、何度か会っているが、実は小林はシャブの“売人”ではなかったという。
〈清原さんとDと3人で会うときは、Dの指示で俺は、1回につき3つか4つのシャブを用意した。俺はネタ元からシャブを1つ(1グラム)4万円で買い、Dに同じ金額で売っていた。俺は売人じゃないから、中間マージンを取らない。〉
だが、Dは清原からシャブの代金として20万円を受け取っていたが、小林が用意したシャブを、少しだけしか渡さなかった。Dに不信感を募らせた小林は、しばらく後にタブーだった清原との直接のやりとりを行う。
まだ数回しか会っていなかったことで、当初は脅されるのでは警戒していた清原だったが、 “Dの正体”について2人で長電話で盛り上がったことで、急速にその距離が近くなっていった。2人は密かにD抜きでやりとりするようになり、その距離はさらに縮んでいく。
あるときは、群馬のラブホテルで受け渡しし、清原氏が丸3日こもった部屋を後片付けた。清原は覚醒剤を炙るとき、〈ガラスパイプに入れる量が多く、しかも、ぼろぼろこぼすので1グラム買っても3〜4時間でなくなってしまう〉という、チェーンスモーカー的な使い方をするそうで、入念な片付けが必要だったのだ。またあるときは、小林が別室で待機していると、清原の部屋にホテル従業員がサインをねだりに行った、という牧歌的なハプニングもあったという。
別の日には、小林が仕事上の悩みを電話相談すると、自身の野球人生になぞらえ真摯にアドバイスしてくれた。それとともに、野球関係の裏話も話してくれるようになった。ホームランを打つときに見える景色、屈辱の送りバント、後輩・元木大介への思い、そしてファンなら記憶に残っている因縁の「ハイタッチ拒否事件」の真相まで清原は語ったという。
〈巨人にいたころ、4年契約のところを3年で辞めてくれと言われました。そのとき僕はプライドを優先して辞めたから、いまの小林さんの気持ちが手に取るようにわかります。辞めてくれと言いに来たのは(長嶋)一茂だったんです。(略)なんで一茂に言われなきゃならないのか。頭にきて球団に直談判に行きました(略)。その翌年のシーズンのことです。巨人はふつう、クリーンナップに打順の変更があれば、監督に言われるんです。それなのに何も言われず7番に落とされました。僕、4打席バット振らないでやろうと思ったら、2打席目でいい球が来ちゃって、思わず降ったらホームランになった。でも、僕は反抗してハイタッチをしなかった。それで、反逆罪でベンチを外されました。それは組織にいる限りしてはいけないことでした。後悔はしていないけど悔いています。組織とはそういうものだと、いまは悔いています〉
小林は清原直接、現役時代の覚醒剤使用について問うたこともあったという。すると――。
〈「やってないです」と清原さんは俺をまっすぐ見て否定した。(中略)「やってたらボール見えないでしょ」〉
2人の間には常に覚醒剤があったが、奇妙な友情が芽生えていたようだ。ところが、そんな状況に暗雲立ち込めはじめたのは、15年2月15日、Dが覚醒剤取締法違反で捕まったことだった。
なぜか清原を逆恨みしていたDは、刑事に清原に連絡しろと指図し、信じない刑事に清原が覚せい剤をやっていると証言、その上で清原に関する上申書を提出したという。
さらにその後釈放されたDは、15年5月10日の深夜、群馬県内で小林を見つけてこんなやり取りをしている。
〈「コバ、なんで電話出ねぇんだよ」
「俺の勝手だろ。それより、アイツらなんだよ。
俺はDの車を顎でさした。
「「週刊文春の記者だよ。俺、捕まってさ」>
さらに小林とDは近くのファミリーレストランに入るが、Dはその際驚くべき発言をしたという。
〈「キヨのネタと引き換えに文春が保釈金を出してくれたんだ。でも、俺の話だけでは記事にできないって言うから、コバの証言が必要なんだ。キヨがシャブをやってることを洗いざらい喋ってくれ」〉
この間、Dが 文春記者だと言う2人の男は車から降りず、名前も名乗らず、名刺も出さなかったというが、さらにDはこんなことを小林氏に話したという。
〈いまから言うことを聞き入れてくれないと、文春が桐生署に飛び込む手筈になっている。そしたらコバ、捕まるから〉
〈「文春にいままでのことを全部は話してくれ。それからキヨとは一切連絡とらないと約束してくれ」〉
〈「いま、文春と警視庁がキヨをパクろうとして動いている」〉
もちろんこれはあくまで、Dが小林に語ったことで、事実かどうかはさだかではない。しかし、当時、Dはさまざまなメディアにネタを売り込んでいたようで、「週刊新潮」(新潮社)16年2月18日号でもDがその頃、編集部に「証言」の見返りとして、弁護士費用や薬物治療費用などの負担を求めてきたという話を書いている。
しかし、こうした揺さぶりがあっても小林は清原を裏切ることはなく、その関係は変わらなかった。16年1月31日には、〈キャンプインを前に(中略)野球にかかわることができない悔しさ、もどかしさ、ふがいなさに苛まされていたに違いない〉清原から電話があり、翌日、群馬のコンビニで〈1グラムのパケと0.3グラムのパケ、注射器を2〜3本、自分が使っていたガラスパイプを渡し、清原さんから4万円を受け取った〉という。清原は群馬で泊まろうとしていたが、清原の彼女からの電話で清原は帰京することになる。
そして、2月2日深夜、小林の元へ「清原、逮捕」の一報が入る。同時刻、『NEWS23』では清原が連行される様子が何度も流されていた。小林氏が逮捕されたのは同月15日、公判で清原への覚醒剤譲渡を認めた。
今回、小林氏はなぜ告白本を出版したのか。直接本人にはインタビューできなかったが、代わりに担当編集者がこう代弁する。
「あれだけ世間を騒がせた事件にもかかわらず、清原氏は保釈後公の場に出ていないということもあり、当事者の言葉はほとんど世に出ていない状況です。小林氏は罪を認め判決を受け入れていますが、マスコミの報道は事実と異なる点も多くあったといいます。本書を通じて、少しでも事実を世に訴えたいと」
しかし、小林氏の意図は、メディアによって再び捻じ曲げられてしまった。今回の告白本刊行を聞きつけたTV局各局が小林氏の元へ殺到し、冒頭のテレビ出演へと繋がった。しかし取材を仲介した編集者は、取材時の様子をこう明かす。
「小林氏は少しでも本の宣伝になれば、と思い取材を受けました。もちろん謝礼もなしです。小林氏は特に、『清原氏は“シャブの中毒”というほどではなかった』ということを強く主張していました。注射で覚せい剤を打ったのも、2015年9月のことで、量も報道されているほど多くはないと」
だがオンエア内容はいずれも、“いかに清原が覚醒剤に溺れ、奇行が激しかったか。いかに依存から抜け出せないのか”といった清原バッシングを執拗に煽るようなものだった。
「実際には、小林氏が譲渡した頻度は月1回程度。群馬のラブホテル等で使用し、3日かけて体調を戻し、東京に戻っていたよう。これが覚醒剤に溺れている状態か否かは、素人の僕らでは判断しかねますが、テレビの論調とかけ離れたものであることはわかります」(前同)
今さらテレビに真相追求を期待するつもりはないが、少なくとも、この本からは、「ヤバイ」と散々叩かれてきた清原よりも、清原に群がったマスコミや有象無象の人間たちの方にえげつなさを感じるのである。
(林グンマ)
最終更新:2016.11.09 11:09
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