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神田うのが「KYな母親はダメ」「目立たず控えめに」と娘のために脱KY宣言! でも弱者への配慮のなさは変わらず
神田うのオフィシャルブログより
自由奔放、言いたい放題キャラで知られる神田うのが、まさかの脱“KY”宣言をして話題になっている。
6月27日に放映された『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日)に出演した神田は自身を「老若男女満遍なく嫌われたKY先生」としたうえで、これまで受けてきた数々のバッシングは空気が読めないからだったと分析、今後はKYを卒業すると言い出したのだ。
まず、うのは自分がいかに才能豊かで、かつ家庭に恵まれていたかを得々と語り始めた。その後も挫折経験など一度もなく、芸能界デビューもトントン拍子で、セレブ婚を果たしたと言ううの。そのため、言いたいことを口にしてみんなに嫌われても反省することなくそのままの生き方を貫いてきた。
だが、その心境が一変したのは2015年6月に発覚した「ベビーシッター窃盗事件」がきっかけだったという。
この一件は当時うのが雇っていたベビーシッターAさん(当時60)が数年に渡ってうのの自宅に置いてあったブランドバッグなどを盗んだというもの。当時神田は被害届を出したうえで、「裏切られた」「子どもに申し訳ない」と号泣会見を開いたのだが、これが裏目に出た。
「家族のように信頼していたベビーシッターに裏切られたことで、人生最大のショックを受けました。そしてこの事件がメディアで報道されると、こんなことになりました」
そう言って、彼女が出したのが「自慢するなと大バッシング!」というフリップ。確かに、このとき、神田うのは「ベビーシッターを4人も雇い、ブランドバックを大量に持っていることを自慢しているだけじゃないか」と、ネットや女性週刊誌で総攻撃を受けた。どうもこれをきっかけに、うのは自分を変えようと思ったらしい。
しかも、彼女の口から出てきたのはなんと「家族のため」という言葉だった。
「妻である私が、大バッシングをあびると、当然、夫に大きな迷惑をかけることになります。さらに子どもには、元気がなくなるほどの心配をかけてしまいました。私へのバッシングは、もう私ひとりの問題では済まされないんです。私はこのしくじりに気づいて、さすがに落ち込みました。そして、生まれて初めてこんな気持ちになりました。「KYな母親はダメ 自分を変えよう!」。ひとりのKYはいいけど、家族を持ったKYはダメだと気づきました。これまでバッシングや自分にとってネガティブな意見はスルーしてきましたが、それではダメだとわかったんです。そして私は、生まれて初めて自分自身と向き合い、自分を変えないといけないと本気で思いました」
彼女は、涙ぐみながらこんな風に語ったのだ。なんだか良さげな話をしているように聞こえたかもしれないが、これって、夫や子どものために、自分の生き方を変える、ということである。そんな前近代的な道徳主義を今頃になって、何をもっともらしく語っているのか。
だが、彼女が「家族のため」という発言をしたのは、このときがはじめてではない。今年5月にエッセイ集『女も殿であれ!』(講談社)を上梓しているのだが、ここでも、子どものために母親として、空気を読むことを推奨している。
「仕事をしている『神田うの』は奥の方にしまって鍵をかけておかなくちゃ!」
「子供の世界では、ファッションもまた、目立ちすぎてはいけないんですね。ということで娘の学校では『目立たない』をモットーに、自分のオーラを消して『地味』を貫くことにしています」
「母親は、子供の学校では、目立たず、奥ゆかしく、先生を立てて……というのが正解のようです!」
「仕事の場では『神田うの』でも、娘の世界では、ただの『こうのちゃんのママ』。だから、神田うのは封印して、ひたすら目立たず控えめに、を心がける」「娘の世界で目立つと本当にロクなことにはなりませんね(笑)」
ようするに、ママ友コミュニティのバカバカしい同調圧力に抵抗するどころか、シッポをふって従属し、「目立たず、奥ゆかしく、先生を立てて」などと、その伝道活動を始めているのだ。
いったい神田うのはどうしてしまったのだろう。しかも、うのは「子どものためにKYを封印」といいながら、その最悪な部分については全く封印してはいないし、変わってもいない。それは、自分の喋っていることが強者の論理そのものであることに無自覚で、弱者に対する想像力が決定的に欠如していることだ。
たとえば格差や貧困と連動して社会問題化している奨学金制度について神田は6月30日の『ノンストップ!』(フジテレビ)で、奨学金を返済できない若者に対しこんな苦言を呈している。
「甘く見てますよね。借りてるワケだから、ちゃんとお返ししないと」
うのは今、私立大学の授業料が年間100万円近く、理系ならゆうに100万円を超えることを知っているのだろうか。これは、中流以下のサラリーマン家庭ではとても払える金額ではない。だから、若者たちは仕方なく奨学金を借りているのだ。しかし、その総額は400万円にも及ぶうえ、利息でさらに金額が膨らんでいく 。20代にとってはこれは大きな負担であり、多くの奨学生は卒業後、生活苦にあえぎ、結婚もできない状況に陥っている。それを「甘く見てる」とはどの口が言っているのか。しかも、うのはこんな追い打ちまでかけていた。
「ねぇ~! 月々8万円も借りてたワケだから。それが1万6000円、20年やればいいんでしょ? できそうですけどね、がんばれば」「飲みに行かなければいいんだ! 飲み代を削ろう!」
また、昨年12月にも同じく『ノンストップ!』でも、うんざりするようなその本質をさらしていた。高齢者ドライバーの事故多発がテーマだったのだが、うのは自身の父親がゴルフに行く際、交通手段を車から電車に切り替え、荷物も先に宅急便で送ると自慢。運転する高齢者に対し「いい迷惑〜」「今の生活に頼るっていうか、そのまま維持しようって考え、よくないと思うんですよ」などと批判を展開したのだ。
持ち出したのは、都会に住みゴルフという裕福な遊びができる恵まれた自分の父親のケースだ。地方で交通手段もなく日常的に病院に通わなくてはいけない高齢者が直面する切羽詰まった現実などまったくわかっていないのである。
そういう意味では、うのの「転向」は最悪のパターンといえるだろう。これまでのうのはまだ、傲慢ながら、その奔放な言動で共同体の古い価値観を転倒させる役割を担っていた。
ところが、今のうのは、強者の傲慢、弱者への想像力のなさはそのままで、たんに家族の利益を守るためだけに、共同体の理不尽な圧力に従い、その宣伝役まで演じてしまっているのだ。
うのは「ひとりのKYはいいけど、家族をもったKYはダメ」と得意げに語っているが、それは、会社の従業員や他人のことなど考えなくていいが、家族のことだけは考えろ、と言っているのと同じ。むしろ、ブラック企業経営者によく見られるような最悪のエゴイズムだろう。
あげくは、他人に対しても「家族を持ったらおとなしくしろ」と説教する。この自分のエゴを説教にすりかえるやり口や、傍若無人と共同体規範の強制を平気で共存させている神経を見ていると、「この女、そのうち、第二の曽野綾子にでもなるつもりじゃないのか」と心配になってしまうのだ。
(林グンマ)
最終更新:2016.07.07 03:02
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