安倍首相の国会サボリに身内の自民党議員からも批判! ネトウヨの「要請がなければ出席不要」論は大間違いだ!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
abe_150814_top.jpg
自由民主党公式HPより


 昨日、『情報ライブ ミヤネ屋』と『そこまで言って委員会』に出演するため、わざわざ大阪まで出向いた安倍晋三首相。さっそくTwitter上では「♯国会サボる総理はいらない」というタグがトレンド入りし話題を呼んだが、一方で、ネトウヨたちは「♯出席を求められていないのに国会に行く総理大臣はいない」というタグを拡散し、「安倍首相はサボっていない!」と言い出した。

 彼らの言い分をまとめると、「そもそも安倍首相は衆議院議員であって参議院に出る必要はない。委員会には出席が求められたときに出るものであって、要請がないと出られない。よって要請がなければ国会に行かなくていいのだ!」……ということらしい。

 しかし、それはとんだ大間違いだ。憲法第63条にはこう書いてある。

《内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。》

 この条文にある「議院」には委員会も含まれる。つまり、出席要請があろうとなかろうと、安倍首相には委員会に出席することが「できる」のだ。

 現に、委員会出席ではなくテレビ出演のためにわざわざ大阪まで行った安倍首相のことを、同じ自民党の議員で、参院平和安全法制特別委員会の委員長を務める鴻池祥肇氏は、昨日の理事懇談会で「一国の首相としてどういったものか」と苦言を呈している。

 この鴻池委員長の反応は、ごく当たり前のこと。安倍首相には国会で発言することが許されているにもかかわらず、説明の場を国会ではなくテレビを選んだ。これはあきらかな国会軽視だからだ。安倍首相にとっては通したくて通したくて仕方のない法案なのに国会で説明するのはイヤだなどという態度をとるのは、それは「サボり」以外の何物でもなく、もっといえば「ワガママ」であり「緩怠」であり「怠慢」だ。

 しかも、選んだテレビ番組は国会のように追及も受けないで済む、自分を全肯定してくれる環境だった。当然、野党である民主党も「われわれは、毎日でも安倍総理大臣が出席して審議をするよう求めているのにもかかわらず、法案の審議が行われている最中にわざわざ大阪まで行って、テレビ番組に出演することは国会軽視だ」と抗議しており、「来週8日の委員会までに経緯を説明するよう求めるとともに、納得できる説明がなければ、9日以降の審議には応じられない」(NHKニュースより)と政府に伝えたという。

 国会を、そして国民をナメた態度を取ったがゆえに、ネトウヨの擁護もむなしく大きな問題に発展しそうな勢いだが、じつは安倍首相が国会サボり問題で追及を受けるのはこれがはじめてではない。いまから2年前の2013年6月26日、安倍内閣は同月24・25日に開かれた参院予算委員会の出席要請を拒否したことで「内閣総理大臣安倍晋三君問責決議案」が提出され、賛成125、反対105で可決されている。

 この問責決議案が可決されたのは、安倍内閣に委員会の出席拒否をする正当な理由が認められなかったからだ。当時、ねじれ状態にあった参院では、与党側が民主党・平田健二参院議長の不信任決議案を提出していた。安倍内閣はそれを出席拒否の理由に挙げていたが、「予算委員会の開催を妨害していることは明白」として問責されたのだ。

 しかも、問責理由としてもうひとつ挙げられたのは、「安倍内閣は質疑通告さえも拒否したばかりではなく、正式に文書で予算委員長が出席要求したところ、署名のないメモで出席拒否する旨回答した」ことだ。日付もなければ署名もないメモ一枚で欠席する──この問題を取り上げている南部義典・慶應義塾大学大学院法学研究科講師の記事(マガジン9「立憲政治の道しるべ」/外部リンク)では、このメモを〈参議院予算委員長名の文書に対し、このような「名無し文書」で回答するというのは、議院の権威をも傷つけるものと言わざるをえません〉としている。

 なにより、平田参院議長の不信任決議案が提出されるより前に、安倍内閣には24日の委員会出席要求が出されていた。これでは安倍首相をはじめ内閣で委員会をサボったようなものだが、この委員会を出席拒否した25日、安倍首相は例の「アーミテージ・ナイレポート」のアーミテージ元米国務副長官とナイ元米国防次官補と会っている。

 ちなみに、自民党の憲法改正草案では、憲法63条の《内閣総理大臣及びその他の国務大臣は、答弁又は説明のため議院から出席を求められたときは、出席しなければならない。》のあとに、こんな文言が追加されている。

《ただし、職務の遂行上特に必要がある場合は、この限りでない。》

 これならば、たしかに委員会への出席を要求されているのにテレビ出演をしたとしても、「国民に幅広く説明する必要がある」などと屁理屈で押し通せるかもしれない。いかにもご都合主義な改正案である。

 それにしても、今回、国会をサボってまで出演したもうひとつの番組『そこまで言って委員会NP』で、安倍首相はどんな説明を行っているのだろうか。だいたいの察しはつくが、きっと明日の放送時には「国会の委員会サボって、そっちの『委員会』出席かよ!」というツッコミがネット上に溢れることは必至だろう。
(水井多賀子)

最終更新:2015.09.05 08:05

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

安倍晋三とは何者か?―日本の仕組みをつくり変える政治家の正体

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

安倍首相の国会サボリに身内の自民党議員からも批判! ネトウヨの「要請がなければ出席不要」論は大間違いだ! のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。安倍晋三水井多賀子の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄