百田尚樹がSMAPとの小説競作で完敗! スマスマ出演で赤っ恥

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『至高の音楽 クラシック 永遠の名曲』(PHP研究所)

 最近は小説家というより、度重なる放言でネトウヨ論客のイメージが強い百田尚樹センセイだが、先日、久しぶりにベストセラー小説家の顔をひっさげてテレビに登場した。番組はあの『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)。「スマ進ハイスクール」というコーナーで、小説の書き方をSMAPメンバーに指導する先生役に抜擢されたのである。

 もっとも、センセイの放言ぶりはあいかわらずで、「小説家より放送作家のほうが儲かる」といきなり金の話をもちだしたかと思うと、返す刀で「出版社の社員、年収1000万円くらいあるねん。ほんま腹立つわ!」とクライアントである出版業界の高給与をばっさり。さらに、SMAPメンバーからノンフィクションについて問われると、こんな答えを返したのだった。

「ノンフィクション作家は、うまいことウソ入れる。わたしも、ノンフィクション書くとき、平気でいっぱいウソ入れてます。ほんまにそのまま書いたら、おもろない」

 ノンフィクションにウソ? 従軍慰安婦や南京大虐殺についても発言している百田センセイがそんなこといって大丈夫か、と心配になったが、まあ、最近はあまりの暴言連発にみんな麻痺してきているので、きっと大丈夫だろう。そんなことよりも興味深かったのが、本題の小説の書き方レッスンのほうだ。
 

 レッスンは、センセイが書き下ろした小説の冒頭部分があって、続きをSMAPメンバーが書いて小説にしていくという形だったのだが、その書き下ろしの冒頭部分というのが「ふと目覚めた俺は目の前の光景に驚いた。俺が世界で一番愛する女が男とキスを交わしているではないか。」というベタベタなもの。

 いったいどうなるのかと興味津々で見ていると、意外にも、メンバーはみんなガチでこのレッスンに取り組み、立派に「小説」に仕上げてきたのである。

 たとえば、トップバッターの中居クン(中居正広)は、キスを目撃した後、彼女への憎悪と嫉妬をつづりながら、「ただ、ここから見える景色は紛れもなく綺麗だった。(中略)そして、何よりも穏やかな水面のように美しかった。」と真逆の思いを吐露する。そして、入り乱れる感情を交互に描きつつ、最後は「誓いましょう、愛する事を、伝えましょう、あなたへの愛を、今までもそしてこれからもいつもと同じように! いいよね、母さん」という意味深な台詞で締め、ちょっと変態的な匂いのするマザコン小説に仕上げた。

 二番目の吾郎ちゃん(稲垣吾郎)は、最近、すれ違い気味の彼女と関係を修復しようといっしょに海にきた「俺」の物語。サーフィンに夢中になっていたら、ビーチで彼女が男とキスをしているのを目撃してしまった。当然、俺は激怒する。だが、よく見ると、彼女は溺れた男を救助していただけだった。誤解に気づいた俺は二人を助けようと砂浜を走るが、思うように進まない。やっとの思いでたどり着いた俺は、しかし、男の顔を見て愕然とする。「青ざめた男の顔は自分自身であった」。

 でも、話はこれで終わらない。息を吹き返したのか、目を覚ますと、目の前に彼女が。その直後、ラストシーンがこんなふうに描かれる。「『チェ』。残念そうな顔をした彼女が舌打ちをしていた。」

 二度ならまだしも、三度のどんでん返しはなかなかプロでも思いつかない。百田センセイも「ほんとにうまい! 超一級。もうプロの作品」と絶賛し、この作品を一位に選んでいたほどだ。

 他のメンバーも負けてはいない。余計な説明を一切せずに「目の前で愛する女が男と……。暗い……。ビニールに包まれ赤いサイレンと共に俺が運ばれてゆく。君は何故泣いている。俺は何故泣いている。」と、流行りの“イヤミス”のようなダークな世界をシニカルに描ききった慎吾ちゃん(香取慎吾)。ふてくされて眠った主人公が、夢のなかでキリンと出会うという、ベタな書き出しをシュールなファンタジーに昇華させたつよぽん(草なぎ剛)。

 そして、キムタクはというと、彼女と他の男のキスを目撃した後、「信じ難いが、この状況に自分が高揚してゆくのが分かり、情けなくなる。」「何故なら、世界で一番愛する女の髪が、唇が、指先が、絡む脚が今まで見たことのないほど美しいからだ。」とまさかのNTR=寝取られ小説を発表したのだった。

 とにかく感心したのは、5人が文章はつたなくても、へたにギャグに逃げたりせずに、自分の内部にあるものをきちんと言葉にして出そうとしていたことだ。そういう意味では、SMAPメンバーには全員、文学的な才能があるといってもいいかもしれない。

 むしろ問題は講師役の百田センセイである。実は、センセイはSMAPの5人の前にお手本を書いて見せて、小説の書き方のコツやテクニックを解説していた。そのお手本というのが、これ。

「女はさっきまで俺を抱きしめていたその手で、見知らぬ男を抱いている。」「女が以前から俺をバカにしているのは気づいていた。」「俺はついに我慢できなくなって男に飛び掛かった。男は乱暴な手ではねのけると、女に言った。『さっきから、この犬、うるさいねん!』」

 今どき笑点の大喜利でもやらないような、まさかの“実は犬”オチ。これを見せられたSMAPメンバーも「びっくり!」「なるほど!」みたいな反応もできず、一瞬、微妙な空気がスタジオに広がったほどだった。

 元・放送作家の性でタレントをたてるためにわざとデキの悪いものを見本にしたのか。それならいいが、もしかして、ネトウヨ的言論活動に忙しくて本業の小説の腕が落ちているんじゃないだろうか。ファンならずともちょっと気になる百田センセイであった。 
(酒井まど)

最終更新:2014.07.06 02:32

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