大飯原発福井訴訟弁護団・島田広弁護団長インタビュー

大飯原発が14日に再稼働! 差し止め判決を出した地裁裁判長は左遷、一変した控訴審…裁判所で何が起きているのか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

それでも露骨に関電の肩をもつ裁判所、形骸化する「裁判官の独立」

──証拠調べの請求が軒並み却下されたんですか? 客観的証拠もあり、関電の主張のデタラメさもわかっているのに。

島田 それがいまの裁判所の態度です。関電側は、裁判所をなめてかかっている感じさえします。裁判所に対しては行政の安全審査に提出した資料を示すだけで、疑問点には何をきかれても前と同じような主張を繰り返すだけ。そして最終的に安全審査が通れば、裁判所もそれに従うだろうと。逆に言えば、裁判所に厚い信頼を持っているなとさえ思うほどです。関電は一審でも裁判官からの求釈明に対しまともに答えなかった。それで負けたとも言えますが(笑)、しかし今回も基本的に一緒です。住民側が指摘した疑問点にはなるべく答えないという姿勢で、同じような話を繰り返し、核心部分はごまかし答えない、不都合なデータは明らかにしない。福島事故の後も体質は変わらないのでしょう。

──そうした関電や裁判所の姿勢を変えるためにはどうしたらいいんでしょうか。

島田 問題の根本は、こと原発をめぐる訴訟においては、不当な人事と「研究会」を通じた最高裁の圧力が高まる中で、「裁判官の独立」が形骸化し、究極の無責任体質の隠れ蓑に転化しているのではないかと疑われることです。もちろん、樋口判決のほかにも、大津地裁、最近の広島高裁など、圧力をはねのけて勇気ある判決を書く裁判官がいることは重要ですが、圧力に屈する、というか、屈するという明確な意識すらなく最高裁に追随する裁判官が多いのです。
 こうした状況を転換するのは、相当難しいと思います。国民が「おかしいだろう」と知り包囲していく。そんな世論の高まりしかないのかもしれません。官僚司法制度そのものへの疑問を掘り起こして、かねてから日弁連が主張している法曹一元制(裁判官、検察官を弁護士経験者から任用する制度)など、裁判官の任用システムをダイナミックに変えない限り難しいでしょうね。原発の問題に関して言えば、再稼動に反対する市民は多いですから、具体的に行動を起こしていく人が一人でも増えていくことしかないでしょう。
 福井県は原発集中地です。そして大飯原発の下にゆるい地盤があること、基準地震動が過小評価されていることがはっきりした。これは深刻な問題です。このままでは、大飯原発を大きな地震が襲ったとき、福島第一原発事故のときのような「想定外」の事態に陥ることは、大いにあり得るのです。
 今後、政治が変わらない限り再稼動は相次ぐでしょう。しかし、その安全性は誰が保障しているのでしょう。規制委員会は「安全だとは言わない」といい、政府は規制委員会の安全審査に合格したのだから動かすのだという。国民の基本的人権を守るべき裁判所は最後のストッパーですが、実はそこに、行政追随、最高裁追随の究極の無責任体質が広がっているとしたら、住民が安心できるわけがないでしょう。
 私の力はとても小さなものですが、司法の世界に身を置く者の一人として、原発をめぐる無責任ぶりをどうにかしなければという強い思いがあります。放置していたら福島の人々に本当に申し訳ないですからね。そのためにも樋口判決を守っていくことが大切だと思っています。


■島田広
弁護士。1968年、愛媛県生まれ。東京大学法学部卒業後、1995年に司法試験に合格。1998年福井弁護士会に登録。2012年に大飯原発福井訴訟弁護団に参加、2017年4月から同弁護団長。著書に「動かすな、原発―大飯原発地裁判決からの出発」(岩波ブックレット 共著)がある。またネット動画「福島事故の反省はどこへ 〜崖っぷちの関電を救済する名古屋高裁金沢支部〜」(170820大飯原発訴訟控訴審現状報告)https://www.youtube.com/watch?v=fgDDOBK0R4Uも配信中。

最終更新:2018.03.13 02:48

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

大飯原発が14日に再稼働! 差し止め判決を出した地裁裁判長は左遷、一変した控訴審…裁判所で何が起きているのかのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。原発大飯原発編集部裁判所訴訟の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 投票呼びかけに松本人志が「軽い感じで行かれても」と投票抑圧発言
2 松井府知事と橋下徹の台風対応が酷い!
3 小室圭さんをとにかく糾弾したいワイドショーの事実歪曲とグロテスクな差別性
4 菅田将暉らの「投票呼びかけ動画」参加のローラに差別丸出しのバッシング
5 眞子内親王をPTSDにした小室圭さんバッシングの裏にある差別的本質!
6 玉川徹が『バイキング』の小室圭さんバッシングの嘘を批判!
7 佳子内親王の「姉の一個人の希望を」に批判殺到はおかしい
8 安倍、甘利、麻生、山口が立憲と共産党へのデマ攻撃!
9 Dappi運営会社社長が、“安倍の懐刀”元宿自民党事務総長の親族の土地に家を
10 甘利幹事長に「闇パーティ」広告塔疑惑
11 葵つかさが「松潤とは終わった」と
12 維新の野党共闘ディスが悪質!吉村知事も“暴言王”足立康史と一緒に
13 Dappi運営企業と取引報道の自民党ダミー会社は岸田、甘利が代表の過去
14 大阪医療崩壊でも吉村知事が緊急事態宣言の要請を遅らせた理由
15 山口敬之の逮捕をツブした中村格の警察庁長官就任に広がる抗議!
16 千原せいじの不倫をなぜか賛美するワイドショーの男尊女卑
17 甘利明が「スマホは日本の発明」「消費税の使途は社会保障に限定」の嘘
18 田崎史郎ら御用が垂れ流す「安倍さんは人事に不満」説の嘘,
19 安倍晋三が杉田水脈の名簿順位を上げ、あの初村元秘書の公認ゴリ押し
20 佳子さまはなぜ学習院をやめたか
1Dappi運営企業と取引報道の自民党ダミー会社は岸田、甘利が代表の過去
2甘利明が「スマホは日本の発明」「消費税の使途は社会保障に限定」の嘘
3安倍、甘利、麻生、山口が立憲と共産党へのデマ攻撃!
4ネトウヨDappiと自民党の関係が国会で追及されるも岸田首相はゴマカシ
5Dappi運営会社社長が、“安倍の懐刀”元宿自民党事務総長の親族の土地に家を
6菅田将暉らの「投票呼びかけ動画」参加のローラに差別丸出しのバッシング
7維新の野党共闘ディスが悪質!吉村知事も“暴言王”足立康史と一緒に
8投票呼びかけに松本人志が「軽い感じで行かれても」と投票抑圧発言
9岸田首相の解散直前『報ステ』単独出演に「放送の中立性欠く」と批判殺到!
10辻元清美が自らの不正への対応を語って甘利明に説明要求!
11岸田首相に「話が長くて中身がない」「何を言いたいのかわからない」と悪評
12安倍晋三が杉田水脈の名簿順位を上げ、あの初村元秘書の公認ゴリ押し

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄