現役の神社宮司が「日本会議や神社本庁のいう伝統は伝統じゃない」「改憲で全体主義に逆戻りする」と真っ向批判

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 実際、神社本庁は「伝統」の御旗のもと、機関誌「神社新報」で新たな憲法を制定して軍の「統帥権」を天皇に帰属させるべきだという主張すらしている。これは大日本帝国憲法で明文化されていた、すなわちどう考えても「近代的」なシロモノ。ようするに神社本庁は、偽りの「伝統」を振りかざして、戦中に軍部が暴走した反省から日本国憲法に記した「文民統制」すら廃止すべし、と言っているわけだ。

 このことひとつとっても、神社本庁のいう「伝統」は単なる政治的装置でしかないことは自明だが、さらに三輪宮司は、神社本庁や日本会議が憲法に組み込むことを求めている「伝統的家族観」の復活や、2012年の自民党憲法改正草案にも含まれているいわゆる「家族条項」の本質についても、このように喝破している。

「家族主義というのは、せいぜい通用するのは家庭内とか友人関係、つまり『顔』の見える範囲の社会です。それを国家のような巨大な社会まで拡大したら、危険ですよ。(略)家族主義を国家まで拡大すると、権威主義や全体主義となります。『良いリーダーの元に素直な人々が結集して良い社会を作る』。これが一番危険です。戦前のファシズム、あるいは共産主義もそうです。カルト宗教なんかも同じです。今のイスラム原理主義もそうです。民族派の人たちが主張するような社会になったら、また昔の全体主義に逆戻りしますよ」(「週刊金曜日」より)

 三輪宮司は、改憲について「日本の独自性とか、妙な伝統とかいったものを振りかざして、現代の人類社会が到達した価値を捨ててしまう可能性があるような憲法なら、変えないほうがよい。日本会議の改憲案は世界の共通価値と離れ、時代錯誤の原理主義と権威主義に満ちている」と語る。神社本庁は目下、日本会議と連携して改憲運動を活発化させており、今年の年始にも傘下の神社の一部で改憲賛成の署名運動を展開していたが、三輪宮司によれば、「ほとんどの神社の宮司は、本庁から書類が来ているのでそのようにしているだけ」という。事実、本サイトの記者が年始に都内神社を取材し、職員に聞き込みをした際には、「神社庁のほうで決まったことで……」との答えが複数聞かれた。

 ようするに、神社界全体が、いや、たとえ神社本庁の傘下の神社であったとても、決して日本会議らが企む明治復古的な改憲に諸手を上げて賛同しているわけではないのだろう。むしろ、三輪宮司が「週刊金曜日」で解説しているように、国家神道が“偽りの伝統”であることを熟知している宮司や職員の多くは、安倍政権による改憲に内心危機感を覚えているのかもしれない。

 だが、神社本庁は近年、個別の神社の人事に対して強権的な介入を繰り返すなど「傘下神社への締め付けを強化している」(全国紙社会部記者)との声も漏れ伝わってくる。参院選後に安倍首相が着手するとみられる憲法改悪の前に、一人でも多くの神社関係者が日本会議、神社本庁に反旗を翻して欲しいが、残念ながらそう簡単にはいきそうにないだろう。
(宮島みつや)

最終更新:2017.12.05 10:23

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