サミット期間中の福島原発「廃炉作業休止」は安倍政権の原発安全アピールのための“トラブル隠し”だった!

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「東電には経済産業省を通じて、作業中止の要請があったようです。また、官邸は裏でマスコミに作業中止はテロ対策だというブリーフィングをしていて、一部のメディアはそう書いている。でも、それならパトロール強化をするべきで、作業中止ではリスクはたいして減らない。福島の廃炉作業中止の目的はテロ対策なんかではありません。世界のメディアが注視しているサミット期間中に「汚染水漏れ」や「配管の亀裂」など、新たなトラブルが発覚したら、『やっぱりフクシマはまだ危険な状況にある』という現実が世界に知れ渡り、サミットの首脳声明がくつがえりかねない。だから、トラブルの種になるような動きは一切するな、と命じたということです」(経産省担当記者)

 まさに、世界中を騙す詐欺的なやり口だが、安倍首相はなぜ、こんなことまでして、「事故対策の順調な進展」をサミットで宣言することにこだわったのか。

 その理由はもちろん、安倍首相が推し進める原発の再稼動と原発輸出に、はずみをつけることだ。

 実際、安倍首相はこの伊勢志摩サミットに先駆けて4月1日(現地時間)にワシントンで開かれた「核安全保障サミット」でこう演説している。

「日本は二度とあのような事故を起こさないとの決意の下、原子力の平和的利用を再びリードすべく歩み始めた」

 あれだけの事故を起こしながら“再びリード”とは恐れ入るが、ここにきて、安倍首相は原発政策についても、完全に本音をむき出しにし始めたということだろう。

 原発再稼動と輸出は安倍首相にとって、就任以来の大きな政策的柱だった。それは自らがどっぷりと癒着している原発ムラの利権構造を維持、発展させるためだけでなく、原発と原理、工程、技術において大差のない核兵器製造技術を維持するためにも、核エネルギーを保持することが最終目的にあるからだと言われている。

 安倍首相にとっては、その野望を達成するためなら、日本国民の命など取るに足らないということなのだろう。しかも、東京五輪招致の際、「原発はアンダーコントロールされている」と胸を張ったのと全く同じで、この男は目的のためなら平気で嘘をつき、国民と国際社会を騙すこともまったくいとわない。

 事実、サミットはまさにその詐欺的宣伝の格好の舞台になってしまった。おそらくこのままいくと、近い将来、安倍首相は原発再稼動だけでなく、新たな原発建設計画も言い始めるだろう。
(伊勢崎馨)

最終更新:2016.05.30 12:07

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