米兵にレイプされた女性が米軍、検察、警察の理不尽な対応を告発! 米軍属の殺害事件でも日米地位協定が…

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 だが、事件後すぐにレイプ被害を訴えたキャサリンさんには、さらなる“暴力”が待っていた。それは警察、米軍、検察という権力による“暴力”だ。

 まず、彼女は、被害を受けたあと、米軍基地正面の事務所に駆け込んだ。すると米軍は警察に電話し、やがて横須賀署の警察官が現れた。当然ながら、キャサリンさんはともかく病院に行きたいと訴えたが、警察は許可しなかった。そればかりか、〈たったいま自分をレイプした男を一緒に探さなければならない〉とさえ言ったという。

 しかし、米軍基地前の事務所を出たところで、なんと基地に帰ろうとするレイプ犯が立っていた。キャサリンさんは「あの男です」と警官に伝えたが、彼女はすぐに事務所に戻された。

〈わたしはなんの疑いもなくこう思った。日本の警察官たちは犯人を逮捕しているところだろう。これでようやく解放されて病院へいくことができると安堵した。ところが、それは間違いだった〉

 というのも、警官はこのあと、キャサリンさんを犯行現場となった駐車場に連れていき、写真を撮り、今度は警察署で長時間の“聴取”を行った。被害者の彼女は、まるで犯罪者を取り調べるかのような扱いを受けたのだ。彼女が警察から“解放”されたのは、事件発生から14時間後のことだった。

 彼女の苦痛はつづく。キャサリンさんは数カ月後に米軍基地の法務官と対面することになるのだが、基地の部屋へ迎え入れられると、そこにはレイプ犯の米兵がいた。レイプ被害者に加害者を対面させるなんてことは、どう考えてもセカンドレイプだ。さらに相手には弁護士さえ付いている。

〈米軍の被害者支援プログラムには、被害者は公平な扱いを受け、尊厳が重んじられ、被疑者から合理的に保護される権利があると明記されている。だがわたしは、そうした扱いを受ける代わりに、レイプ犯の顔を突きつけられ、存在を貶められた。(中略)米軍は、大事な水兵をいかなる罪でも告発するつもりはない、とわたしに告げた〉

 そして、こうした米軍の態度を裏付けるように、日本の検察はこの米兵を最終的に不起訴とした。キャサリンさんには不起訴としたことの理由の説明はなかったという。キャサリンさんは日本の外務省や横須賀市長にも電話をかけたが、全く相手にしてもらえなかった。

 そこで、キャサリンさんは、この米兵を相手に東京地裁に民事訴訟を起こす。ところが、ここでもまさかの事態が起きる。民事訴訟中であるにもかかわらず、レイプ犯の男の居場所がわからなくなった、というのだ。後に、このとき米軍が男をアメリカへ帰国させるよう命令していたことが判明している。

〈この忌まわしい展開の裏にはなにか訳があるに違いない。その理由とは何だろう? なぜレイプ犯たちが守られ保護されるいっぽうで、被害者たちは捨て置かれ、権利を奪われるのだろう? 二十一世紀の日本で、いまだにこんなことが起こっているとは信じがたかった〉

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