右派論壇誌“ヘイトスピーチ”広告の20年間を検証! 彼らは敵の設定と愛国話法をどう変化させてきたのか

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『日本よい国』より。アメリカ人を投げ飛ばす日本人。海老反りっぷりが尋常じゃない勢いを物語る。「柔道が強くなれば体の大きい力のつよい外国人としあいをしてもけっしてまけません。柔道というものはえらいものです」と。さすが日本人は腰がつよい!?


「この絵本はようするに、この国がどれだけ偉大かという『日本スゴイ!』コンテンツの元祖ですね。まず日本神話のイラストから、つまり日本は『神の国』であるというところから始まり、国史をひととおり解説します。そして戦線の勇ましい日本兵の図説。次のページには戦闘機がドンッときます。『飛行機もりっぱですが将兵がすぐれているからです』と書いてありますね。ページをめくると靖国神社へ。おお!この自然な流れ。続いて靖国刀があり、剣道が盛んで柔道も盛んな国だと……この絵をみてください。日本人がアメリカ人を一本背負いで盛大に投げ飛ばしています。『柔道というものはえらいものです』と書かれていますね」

 そして絵本は、巨大な日の丸がはためく国民学校の朝礼の模様へと続く。背景にはモダンな鉄筋コンクリート風の3階建て。なお、校舎はガラス張りでサンルームのようになっているのだが、それは当時、教育現場で日光浴が奨励されていたからだ。美しい日本、強い日本、モダンな日本、神の国日本……『日本よい国』を読んだ子どもたちは、さぞ「日本ってスゴイ!」と思ったことだろう。

「恐ろしいのは、今から77年前に出版されたこの絵本が、現在の『日本スゴイ!』コンテンツの構造と似ていることです。もちろん“日本国内にはこんなすごいものがあるよ”という番組は昔からありました。グルメ番組や旅行番組もある意味そうですよね。しかし、それらはみな、知的関心を満たすだけで終わる。一方、現在の『日本スゴイ!』的な番組は、日本人としての“誇り”や“自信”“元気がでる”など、ある種、非常にソフトなナショナリズムに回収するような番組の作り方がされています。じつは、この絵本のタイトルである『日本よい国』というのは、当時の修身教科書にも載っているフレーズなんです。そして冒頭にはこう記されています。『(本書は)この非常時局に臨んで、児童の脳裏に国家意識を植付けようとする意図の下に編纂されて居る』と」

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