安倍首相の戦後70年談話は本当に「お詫び」があったのか? 山谷えり子と語っていた談話への本音

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「結局、私は内閣総理大臣として、村山談話の継承を表明しなくてはなりませんでした。(中略)戦後レジームからの脱却がいかに困難であるか、改めて実感しましたね」

「表明しなくてはなりませんでした」という言葉の遣い方からも滲んでいるように、安倍首相にとっては村山談話を引き継ぐのは屈辱以外の何物でもなく、前述したように安保法制強行採決で決定的となった“独断政治”のイメージを少しでも和らげようと、今回も仕方なく、建前上は談話の引き継ぎというかたちを取ったのだ。

 では、安倍首相の“本音の70年談話”とはどんなものなのか。その片鱗は、じつは今回の談話にも表れている。

 たとえば、戦争に突き進んだ原因について。村山談話では「国策を誤り」と表現したが、今回の安倍談話は「経済のブロック化が紛争の芽を育てた過去」などと言い訳がましく説明している。挙げ句、安倍首相は「日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました」と言い出した。

 当時、日本に吹き荒れていた「脱亜入欧」の熱狂を無視しただけでなく、「勇気づけた」などと正当化し、日露戦争後に朝鮮半島や満州への侵略を進めていった事実にはふれない……。事実、談話発表後の質疑応答では、「侵略と評価される行為もあった」「日本の過去の行いが侵略に当てはまるかは歴史家に委ねる」と曖昧な言い回しを使っているように、やはり安倍首相本人としては侵略を認める気はないらしい。

 そのことを裏付けるように、2006年10月6日の衆院予算委では、侵略戦争について“国際的な定義は確立されていなかった”と、否定するような発言を行っている。

「当時も、私は、さきの大戦において多くのつめ跡をアジアの地域に残した、このように考えていたわけでございます。そして、日本人を塗炭の苦しみの中に落とした、こういう認識を持っていたわけでございます。しかし、その中で、いわゆる侵略戦争ということについては、これは国際的な定義として確立されていないという疑問を持っていたような気がするわけでございます」

 安倍首相の歴史観は、従軍慰安婦をめぐる問題でも如実に見てとれる。今回の談話では従軍慰安婦という言い回しをせず、「戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続けます」と具体的な謝罪を避けている。

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