安倍首相の戦後70年談話は本当に「お詫び」があったのか? 山谷えり子と語っていた談話への本音

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 それもそのはずで、安倍首相は第一次内閣で河野談話を否定し、従軍慰安婦の強制の証拠はないという閣議決定を行っている。これにアメリカが反発し、日本政府に慰安婦への謝罪を求めたアメリカ議会の決議案が出されたが、安倍首相は決議案を07年3月6日の参院予算委で「事実の誤認等を含むものもある」と批判。加えて、「非生産的な議論についてはそれを今拡散させることについてはいかがなものかと、このように考えているところでございます」とさえ言っている。

 慰安婦問題は「非生産的な議論」である。──さすがは安倍首相、アメリカのワシントン・ポストに掲載された“慰安婦に強制の事実はない”と訴える意見広告「THE FACTS」に、賛同人として名を連ねただけのことはある。無論、この広告はアメリカの反発に油を注いだだけで、トム・ラントス外交委員長に「慰安婦制度の中で生き残った人々を中傷するものだ」と猛批判されている。

 しかも、安倍首相は、官邸記者クラブのキャップとのオフレコの懇親会の場で「慰安婦問題は3億円あれば解決できる」と豪語したという(講談社「週刊現代」7月4日号)。一貫して安倍首相は慰安婦の強制性を認めず、その態度に韓国をはじめとする国々の被害女性たちは胸を痛めているが、安倍首相はそうした痛みには目も向けず、“どうせ金目的なんだろ?”と片づけているのだ。今回、慰安婦と明言せず、抽象的に「女性」と表現したのは、安倍首相自身の“信念”を曲げたくはないがゆえの選択だったのだろう。

 植民地化は当時の世界の流れだったと言い、侵略戦争とは認めず、謝罪も反省も主語を曖昧にする。──この談話のどこが、村山談話を継承したといえるのか。

 そして、もっともひっかかった一文は、これだ。

「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」

 この一文は、子どもを主語にしながら“戦争に関わりのないオレがなぜ謝らなくてはいけない?”という安倍首相の本心を代弁しているかのようだ。一読してみただけでもわかるように、談話は巧妙に責任を逃れ、主体も有耶無耶である。

 安倍首相がふんわりと反省モードを見せても、それはたんなる二枚舌。今回、談話を通じてしおらしさを演出してみたのかもしれないが、安倍首相の目的は安保法制による“戦争できる国づくり”に邁進することだという本質を、見誤ってはいけない。
(水井多賀子)

最終更新:2015.08.15 12:07

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