大卒の正社員、安定志向、祖父が自民党好きなだけ…ネトウヨ・レイシストの意外な素顔

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 また、それらの「在日特権」がネット上に流布していった理由も、アジア近隣諸国についての歴史問題の記事が量的に右派論壇で増えていった影響と説明される。つまり、元々保守やナショナリスティックな志向を持った人々が、右派論壇から知恵を拝借したようなネット上の記事群に出会い(そのネットでの「発見」の過程も、自発的であったり偶発的であったりと様々なケースが存在することも言及されている)、われ発見せり、と言わんばかりに、彼らの言うところの、メディアでは触れられない「真実」を見つけていった先に排外主義運動があったというわけである。元々の土着・ヤンキー的バックグラウンドとインターネット。この2つのキーワードが日本型排外主義を特徴づける。

 とくにインターネットの影響は大きい。出てくる情報はピンポイントなうえ検索結果の中から、自分が漠然と思い描いていた内容を強化してくれるようなものだけ選べばいい。そんなことを毎日行っていれば、自らの考えに歯止めをかける障害もなく、熟考することもなくどんどん深みへ入っていってしまう。いわゆる確証バイアスの典型だ。

 それらの過程を経た上で、排外主義者たちは日本を「攻撃」する韓国や中国に対してヘイトスピーチを行うわけだが、そこにも「なぜ日本は批判されるのか」という問いは生まれず(本書では日本型排外主義は、日本の植民地主義の清算がうやむやにされてきたことに起源すると述べられる)、批判してくる国家への身勝手な代理戦争として、批判を直接国家に向けるわけではなく、身近にいるような在日コリアンを標的とし続けているわけである。

 しかし、ここまで来てひとつの疑問が生じる。本書で調査対象となったのは、どれも排外主義の運動を行う「活動家」のような人たちである。元々保守寄りのバックグラウンドを持ち、ネットで「真実」を見つける人々、いわゆる「ネット右翼」から、本書で取り上げられるような「活動家」になるまでの飛躍は何だろうか。在特会の会員数も既に1万人以上いるそうだが、その中で実際のヘイトデモに出てくるのはその内の10%にも満たないだろう。さらにその後ろには無数のネトウヨが存在している。この排外主義の活動家予備軍であり、「銃後」を固めるネトウヨたちの構造、実態を知ることが、日本型排外主義の闇を切り開くことになるのではないだろうか。

 テレビをつければ「日本はすごい」番組が蔓延し、また例えば先日のお笑いコンビ8.6秒バズーカにまつわる「反日」のレッテルづけに代表されるような、根拠なきデマの拡散など、今の時代を包み込む空気自体が日本型排外主義を生み出す温床になっているような気がしてならない。排外主義の問題を通して、今わたしたちが生きる社会全体を見直し考えていく必要があるのではないだろうか。
(寺路 薫)

最終更新:2015.05.30 08:42

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