ジブリと宮崎駿の見解は…ドワンゴ川上量生氏が在特会を評価し「通名は在日特権」発言!

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 これのどこが優遇的な権利を意味する「特権」になるのだろう。もしも、制度自体に疑問をもっているのであれば、いまも日本社会に根強く存在する在日コリアンの就職差別などを解消するよう訴えなければならないはずだ。だが、ヘイト市民団体がやってきたことはどうだったか? 彼らは差別をなくそうと主張するどころか、差別を扇動してきた。それも「日本から出て行け!」「良い朝鮮人も悪い朝鮮人も全員殺せ」などと虐殺を煽り、彼らの生活の場を侵してきたのだ。

 つまり、奴らは難癖をつけ、在日コリアンを“敵”に仕立てた上で攻撃する“免罪符”として「通名制度」は「特権」だとのたまっているだけなのである。そうした悪質な捏造攻撃に対して、「タブーへの議論のきっかけとしての社会的役割を果たした」などと高評価を与える川上氏の発言は、まったく容認できるものではない。

 これはなにも、本サイト自身の信条や思想から言っているわけではない。世界市場に向けてアニメや漫画を発信しようという日本を代表するコンテンツ企業KADOKAWA・DWANGOの代表取締役会長でもある川上氏が、マイノリティに対する差別言説に賛同すると表明することがどういう意味をもつのか。同社が海外進出する際には、日本よりも人種差別に厳しい視線をもつ欧米諸国で“差別推進企業”とみなされる可能性すらある。

 また、「ニコ動」は党首討論会を主催するなど、政治的コンテンツにも積極的に打って出ている。明らかに悪質な排外主義思想を信奉する経営者のもとで、政治家が発言する場が成立するというのは、社会的公正性を保っていると言えるのだろうか。

 こう言うと、川上氏は「表現の自由」をもち出し、「発信者の機会を奪うことはメディアとしてあってはならないこと」などと言い張るだろう。こちとら、その信条にとやかく言うつもりはない。だが、発言には責任がつきものだ。「何人たりとも発言の自由を保障しますよ」とだけ言っておいて、実際に在特会らヘイト市民団体の言説が社会に与える影響力については無視する、とはいかないはず。当たり前だ。メディアとして発言の機会を与え、その結果、差別言説が日本社会、ひいては世界に広まる、そのことについての責任はまちがいなくドワンゴ側も背負わなければならない。

 しかも、今回に関しては、自らがはっきりと「在日の通名制度は特権だ」と、在特会が憎悪や差別感情の誘発に利用してきたロジックを、そのまま肯定さえしているのだ。もはや言い逃れはできまい。

 そういえば、川上氏は現在、スタジオジブリに「プロデューサー見習い」として入社。プロデューサーの鈴木敏夫氏の弟子として常に行動を共にしている。将来的には、KADOKAWA・DWANGOとジブリの業務提携も噂されている。

 ジブリといえば、宮崎駿、高畑勲両監督はもちろん、鈴木プロデューサーも、さまざまなところで差別扇動言説を批判し反戦平和を強く主張してきた。ジブリと鈴木プロデューサーはこうした川上氏の思想を知ってなお、盟友関係を続けるつもりなのだろうか。

 ドワンゴ、KADOKAWAのみならず、ジブリにも、川上氏の発言についての見解をぜひ聞いてみたいところだ。
(編集部)

最終更新:2015.05.24 09:08

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