シリーズ■安倍晋三の問題は政治性でなく人間性だ!

内田樹と白井聡、気鋭の学者2人が安倍首相を「人格乖離」「インポ・マッチョ」と徹底批判

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「不思議なのは、安倍首相がお父さんの晋太郎さんの話をまったくしないことです。おじいちゃんの岸信介の話ばかりする。たぶん晋三から見て、晋太郎の政治家としてのスタンスは全然男らしくないと映るんでしょう。じいちゃんは本物の男だった、それを受け継ぐんだということなのでしょう。ところが、戦に強いということを誇りにはできない、もう男になれないというのは、戦後日本の所与の条件なんですよね。軍事的にインポテンツであることを運命づけられている」
「それで、インポ・マッチョというのが一番性質が悪い。自分がインポであるというのを何がなんでも否定する。それが敗戦の否認ということの言い換えなのですが。そういう人間は首尾一貫しないことをやる」

 リテラでさえ使うのを憚るような激しい非難だが、しかし、これらの言葉は、たんなる安倍首相への人格攻撃ではない。対談をじっくり読めば、現在の日本という国家のありようを鋭く突き刺す言葉であることがわかってくる。

 たとえば、マッチョなのにインポだという苛立ち。これは、安倍首相をはじめとする日本の右派勢力の最大のモチベーションとなっているものだ。戦争に強いという国家の誇りを取り戻したいのに、憲法によってそれができないと考えているからこそ、彼らは憲法を攻撃する。そこにあるのは、非常にエモーショナルな動機であって、現実の政策判断とはほとんど関係がない。

 実は、白井は彼の名を世に知らしめた代表作『永続敗戦論』でも同様のことを指摘している。日本では8月15日を「終戦記念日」と呼ぶが、このように、戦後日本は史実としての「敗戦」を「終戦」にすり替えることで、その意味するところを曖昧化させてきた。そして、〈敗戦を否認しているがゆえに、際限のない対米従属を続けなければならず、深い対米従属を続けている限り、敗戦を否認し続けることができる〉という構図が継続している状態を、白井は「永続敗戦」と呼んだ。

 戦後日本は、東西冷戦の構図のなかで、この永続敗戦というレジームのもとに運営されてきた。それゆえに、この国のエスタブリッシュメントは一種の“ねじれ”を抱えている。たとえば日本の保守改憲派は、平和憲法をGHQから押し付けられた「まがいもの」とみなし、「自主憲法」の必要性を声高に叫ぶ。だが一方で、くだんの憲法を「押し付けた」はずのアメリカには従属し続けるという倒錯的な外交姿勢を貫いている。

 つまり、彼らがマッチョイズムを傷つけぬまま“ねじれ”を解消させるためには、徹底的に「敗戦の否認」を行う他ない。それは「米国による対日処理」を完全に否定することだ。しかし、戦後処理は東京裁判やサンフランシスコ講和条約と繋がっているから、現実にそれを達成することはほぼ不可能である。

 実際、安倍政権でも歴史の修正という「敗戦の否認」の動きを活発化させようとしながら、そのたびにアメリカの“にらみ”で抑制されているのが実情だ。そして、日本の右派勢力はアメリカににらまれたとたん、簡単に屈服して、それまで声高に叫んでいた「大東亜戦争の肯定」を引っ込める、日米開戦はルーズベルトの罠だと主張しながら、現実的にはアメリカの犬となる、そういった矛盾した行動を繰り返してきた。

〈ゆえに彼らは、国内およびアジアに対しては敗戦を否認してみせることによって自らの「信念」を満足させながら、自分たちの勢力を容認し支えてくれる米国に対しては卑屈な臣従を続ける、といういじましいマスターベーターと堕し、かつそのような自らの姿に満足を覚えてきた。敗戦を否認するがゆえに敗北が無期限に続く──それが「永続敗戦」という概念が指し示す状況である〉(『永続敗戦論』)

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