C.R.A.C野間易通インタビュー(前編)

反ヘイト集団“しばき隊”は正義なのか? 首謀者・野間易通に直撃!

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 そのひとつが『ニューズウィーク日本版』(14年6月24日号/阪急コミュニケーションズ)に掲載された〈「反差別」という差別が暴走する〉という記事だ。過激な言動によって「怒りのマーケティング」を確立し、運動の動員力とする。差別的な言論を、暴力をもって押さえ込む。こうしたカウンターの手法は「憎悪の連鎖」を生むだけではないか。日本は独り善がりの「正義」と腕っ節ばかりが支配する息苦しい国になるのか。そう記事のなかで酷評された。これに対するコメントを求めると、意外にも野間は客観的な視点から語り始めた。

「これがもっとも世の中を反映している記事だと思うんです。だいたいの人がこのぐらいの印象でしょう。……自分が知的レベルが高いと思っている人ほど、こういう結論に至るんだろうな。俺は、この種の記事はもっと早くに出ると思っていたんだけれども、意外と遅かったね」


■“どっちもどっち”という「価値相対主義」への反感

 昨年、野間は朝日新聞のインタビューを受けている(13年8月10日朝刊)。デモ隊もしばき隊も「どっちもどっちだな」という印象を受けるし、デモに抗議するにしても他にやりようはないのか?という朝日記者の問いに対して、野間は、理路整然とした「上品な左派リベラル」の抗議行動は「たとえ正論でも人の心に響かない」と答え、「何言ってるんだ、バカヤロー」と叫ぶのが「正常な反応」だと主張している。
 
「結局ね、大マスコミもみんな素人なんですよ。今まで自分たちには関係のないことだと思っていたわけだから。『議論が必要だ』みたいな通り一遍のことしか言えない。……アホか? なんで『ヘイトやめろよ!』って言ってる俺らと、ヘイトやってるレイシストたちが『どっちもどっち』になるんだと。議論を重ねていけばよい、対話が必要だと彼らは言う。だったら言論機関である新聞がなぜそれをやらない?」

 冷静に議論を深めよ――それは「メタ議論」であり、本質を置き去りにしている。そう野間は私見を述べる。朝日新聞のインタビューに応じるまで、野間は一切の取材を拒否していた。その後も“しばき隊と在特会の両意見を併記し公平に書く”とする方針の取材は断っているという。反ヘイトキャンペーンでないと協力しない、と。それは、自分たちに有利な報道のみを受け付けるという態度のようにも思える。

「反ヘイトに有利な報道しか認めないというのは、何が問題なんですか。民族的ヘイトも意見として尊重すべきだということ? 俺が言いたいのは、その“中立”は実際には中立ではない、ということ。マスコミが表現の自由が大事だと言うのならば、ヘイトスピーチはそれを侵害するという認識を持ってもらわないと、表現の自由を守ろうとしているとは認められない。ヘイトスピーチはマイノリティの自由権の侵害なんです。『ニューズウィーク』の記事を書いた社員編集者の深田政彦はね、俺たちが反原発運動をしていたときも、今回と同じようなしょうもない記事を書いたんですよ。それで、取材依頼に対してあんなくだらない記事だったら協力しない、反ヘイトの記事でないと受けないとメールを送ったら、『いやいや、反ヘイトの立場から書きます』って言ったから受けたんだけどさ。実際にはあれ、反・反ヘイトでしょう。彼は行動保守や在特会への批判はほとんどせず、それに対抗する側のあら探しをして、それもまた差別だと言っているわけですが、普通に考えて。先にきちっと断罪すべき“悪”があるでしょ? カウンターの批判は大いにやるべきだけど、ああいうバランスを欠いたものを見ると、彼の目的が反レイシズムでも反ヘイトでもないのは明らかでしょう。深田と『ニューズウィーク』はヘイトに加担したにすぎない」

 しばき隊に対する批判的言説への反論は、マスコミ以外にも向けられる。一部の「左翼」勢力もまた、野間たちに対して「いちゃもんをつけてくる」という。いわく、「ポストモダン、ポストコロニアリズムの泥沼のなかで何が正しいのか分からなくなった人たち」。

「彼らはなんでも必要以上に相対的に見る癖がついている。『断罪している我々のほうにも問題があるのだ』みたいなことを言いたがる。ヘイトスピーチ規制法をどうするのか、ということに対するマスメディアや知識人の反応も近いものがある。ようは、何もしないことのエクスキューズでしょう。俺は朝日新聞に対して『自分たちのほうに正義がある』とはっきり言った。ヘイトスピーチ対カウンターというのは“正義と正義のぶつかり合い”ではない。この問題をそういうふうに捉える時点であなたたちは間違ってますよ。追及しているわけでもなんでもなく、たんに無難なコメントを出しているにすぎない」

 見せかけの公平さを装うことは、たしかに「無難」かもしれない。だが、それが報道の精神ではないのか。

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