あの『ちびまる子ちゃん』にも封印作品が! そのヤバすぎる内容とは

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 もうなにがなんだかわからない。たしかに夢というのは不条理なものだが、これはいくらなんでもヤバすぎる。しかも、このサイケな世界はまる子が夢から覚めた後、翌日の教室でもとまらない。夢で見た王子様が前世の恋人だったという妄想にふけるまる子、つられて自分がアルプスの少女になった妄想を始めるたまちゃん、永沢君と藤木を邪教徒の生まれ変わりよばわりするまる子、現実の世界でも邪教徒のお面をかぶる藤木、王子様のことが忘れられず泣き出すまる子、節分用の豆を盗み食いする友蔵……。

 ああ、読んでいて頭がクラクラしてきた。いったいなんでこんな作品が生まれてしまったのだろうか。

 同書によると、作者のさくらももこは当時、超多忙をきわめていたという。前年に長男が生まれ、別雑誌で新連載が始まり、エッセイ集の締切とアニメの放送再開が迫るという状態。つまり、多忙のせいで頭の中がお花畑状態になってしまっていたということなのだろうか。しかし、アシスタントも担当編集も編集長も「これ、おかしいぞ」と気づかなかったのか。思ってはいたけど、大センセイには誰も何もいえなかったのか。

 いずれにしても、後にさくら自身がこの作品を読み返して、単行本収録の見送りが決まったということのようだ。この「まる子、夢について考える」が収録される予定だった単行本13巻には「今回のコミックスに第98話を収録することは悩んだ末に控えさせていただきました」というお断りが掲載されている。つまり、この封印作品は内容があまりに「スペシャルすぎる」からお蔵入りになったという、大御所ならではの珍しいケースなのである。

 ちなみに、この『消されたマンガ』には、他にもさまざまな封印マンガを紹介されている。「ロボトミー手術」をそのまま描いてしまった手塚治虫の『ブラック・ジャック』にはじまり(秋田書店)、中国人や韓国人差別だと問題になった梶原一輝原作の『おとこ道』(秋田書店)、実在の校名と生徒名を使ってしまった『私立極道高校』(宮下あきら/集英社)、旧日本軍を連想させる描写が問題になった『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(秋本治/集英社)、地下鉄サリン事件を偶然予言してしまった『MMRマガジンミステリー調査班』(石垣ゆうき/講談社)……。やはり多いのは、差別や事件がらみのトラブルだが、一方で、盗作、不祥事、原作者との対立など、マンガ家自身の問題が原因になったケースもいくつか掲載されている。

 日々、締め切りと読者アンケートのプレッシャーに追いつめられているマンガ家たち。封印作品を生み出すリスク要因は彼らの心の中にもあるということかもしれない。
(オンダヒロ)

最終更新:2018.10.18 04:37

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

あの『ちびまる子ちゃん』にも封印作品が! そのヤバすぎる内容とはのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。オンダヒロ漫画家編集の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 文通費問題で「やる気なし」なのは維新!松井代表がセルフ領収証OKに
2 伊藤詩織氏への名誉毀損ははすみとしこ氏だけじゃない、国会議員も
3 『バイキング』坂上忍パワハラ報道は政権批判潰しだった!
4 クーポン券事務費967億円「過大でない」は嘘 子ども食事支援は22億円
5 吉村知事がコロナ協力金めぐる税金無駄遣いを棚上げし岸田クーポン批判
6 玉川徹が『ドクターX』に出演して岸部一徳に言われた一言
7 葵つかさが「松潤とは終わった」と
8 橋下徹がれいわ・大石あきこ議員に粘着攻撃で「大石パニックおじさん」の異名
9 安倍晋三に中国電力から原発マネーが 
10 宮台真司「ネトウヨは感情の劣化」
11 菅政権で「公費不倫」の和泉洋人首相補佐官が“再任、官邸官僚のトップに
12 吉村知事「1日で文通費100万円、記憶ない」は嘘! 違法流用の証拠も
13 竹田恒泰の「差別主義」を認めた東京地裁の判決文を改めて紹介
14 岸田首相のオミクロン対策はザルだ! 入国禁止は外国人だけで差別性丸出し
15 政治資金報告書で「維新」議員の文通費横流しとデタラメ使途が続々判明
16 グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
17 小倉優香の番組中「辞めさせてください」の本当の理由は番組のセクハラ
18 三原じゅん子が「政権を握っているのは総理大臣だけ」と無知発言
19 山口敬之の逮捕をツブした中村格の警察庁長官就任に広がる抗議!
20 ジャニーズタブーで犯罪もみ消し
1吉村知事がコロナ協力金めぐる税金無駄遣いを棚上げし岸田クーポン批判
2クーポン券事務費967億円「過大でない」は嘘 子ども食事支援は22億円
3自民党の“アシスト係”維新が賛成した最悪の法案総まくり
4安倍晋三に中国電力から原発マネーが 
5橋下徹がれいわ・大石あきこ議員に粘着攻撃で「大石パニックおじさん」の異名
6コロナ禍で困窮のさなか介護料を月6.8万円爆上げの鬼畜
7吉村知事が府の施設に「表現の不自由展」使用許可を取り消すよう圧力!
8政治資金報告書で「維新」議員の文通費横流しとデタラメ使途が続々判明
9文通費問題で「やる気なし」なのは維新!松井代表がセルフ領収証OKに
10伊藤詩織氏への名誉毀損ははすみとしこ氏だけじゃない、国会議員も
11岸田首相のオミクロン対策はザルだ! 入国禁止は外国人だけで差別性丸出し

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄