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安倍晋三がしゃしゃり出てきた! コロナ禍で宴会「私なら1月に解散」、アベノミクス自画自賛、極右集団「創生日本」再始動
創生「日本」HPより
菅義偉首相が日本学術会議問題で追及を受ける一方で、またもあの男が調子づいている。安倍晋三・前首相だ。
たとえば、安倍前首相は11日の夜、自民党の野田聖子幹事長代行や岸田文雄氏ら当選同期組10人と会食。新型コロナ感染拡大がつづくなかで政治家が大人数での宴会を開いていることもどうかしているし、さらに言えば、表向きは「持病の悪化」で総理を辞任した安倍氏の場合、免疫力の低下によって重症化するリスクも考えられるのだから安静にしていたほうがいいはずだが、本人はどこ吹く風で、冗談めかしてこんな発言をおこなっていたという。
「私だったら来年1月に解散する」
コロナの感染拡大なんてお構いなし。自分がコロナ対策で大失敗したこともなかったことのように、国民無視で党利党略の政局話に花を咲かせる……。これだけでも絶句するほかないが、さらに安倍前首相は同日、自民党の「ポストコロナの経済政策を考える議員連盟」の会長に就任。コロナ対応をできなかった人間が「ポストコロナ」の経済対策を政策提言するなど悪い冗談としか思えないが、安倍前首相はこの議員連盟の設立総会で、このような噴飯ものの発言をおこなったというのだ。
じつは、この「ポストコロナの経済政策を考える議員連盟」の前身は「アベノミクスを成功させる会」なるものだったのだが、そのためか安倍前首相は冒頭の挨拶で自身がアベノミクスで2013年に掲げた「物価上昇率2%」に触れ、これを達成できなかったという批判があることに対してこんなことを言い出したというのである。
「ある意味、間違った議論。完全雇用に近い状況をつくった。事実上政策ターゲットに到達したと考えていい」
「目標として掲げたが、正しく言えば2%以下で安定させることでもよかった」
「マクロ政策の目標は雇用なので達成したのではないか。開き直るのかと言われたら、それは分かっていない議論だと思う」(朝日新聞11日付)
あれだけの異次元緩和をやりながら目標を一度たりとも達成できなかったというのに、「完全雇用に近い状況」をつくったから「物価上昇率2%」も事実上達成したことになると言い張るのは、「開き直り」以外なにものでもない。いや、謎の俺理論すぎて開いた口が塞がらないくらいだ。だいたい「完全雇用」などと言うが、増えたのは非正規ばかりで実質賃金は下がり続け、消費は低迷した。それを無視して「完全雇用を達成」などと主張するのは、不都合な事実を見ようとしていない証左ではないか。
政権を投げ出しても“アベノミクスは成功した!”と事実を捻じ曲げようとする。約8年にわたって国民が付き合わされてきたこの大ホラも、総理を辞めたいまでは負け犬の遠吠えでしかない。しかし、そう軽くいなしてばかりもいられない事態が一方で進行しつつある。
というのも、安倍前首相はあの極右議員連盟である「創生「日本」」を復活させようとしているからだ。
下村博文、稲田朋美、加藤勝信、萩生田光一ら創生日本メンバーと会食 再始動で一致
創生「日本」とは、「伝統・文化を守る」「疲弊した戦後システムを見直す」「国益を守り、国際社会で尊敬される国にする」を掲げた極右議員の集まりで、安倍氏が体調不良を理由に第一次安倍政権を投げ出した2017年の12月に、安倍氏が掲げた「戦後レジームからの脱却」路線を引き継ぐべく故・中川昭一氏や平沼赳夫氏らが発足させた。2009年に民主党が政権を奪取し自民党が下野した直後に中川氏が急死すると安倍氏が会長に就任し、活動を本格化。安倍氏をはじめとする創生「日本」のメンバーは極右雑誌の常連となり、中国・北朝鮮の脅威を振りまくだけではなく、排外主義や国家主義を押し出した発言を繰り返したのだ。
しかし、安倍氏が2012年末に総理に返り咲くと、物騒な発言を控えざるを得なくなったせいかその活動は下火に。実際、創生「日本」で事務局長代理に抜擢され活動を活発化させて脚光を浴びた稲田朋美氏は、防衛相に登り詰めた際、当時の「子ども手当分を防衛費にそっくり回せば、軍事費の国際水準に近づく」「教育体験のような形で、若者全員に一度は自衛隊に触れてもらう制度はどうか」「日本独自の核保有を国家戦略として検討すべき」などという発言が問題視され、国会で答弁に窮する場面さえあった。
だが、安倍前首相は、この創生「日本」をついに再始動させたのである。10月26日付の毎日新聞の記事では、こう書かれていた。
〈安倍晋三前首相は25日夜、自身が会長を務める自民党の保守系議員連盟「創生日本」の主要メンバー20人余りと東京・文京区のホテルで会食した。創生日本は2012年末の第2次安倍政権発足後、活動を事実上休止していたが、この日を機に再始動することで一致した。〉
〈閣僚では加藤勝信官房長官、西村康稔経済再生担当相、萩生田光一文部科学相が出席し、党側からは下村博文政調会長や稲田朋美元政調会長らが参加した。会食後、取材に応じた木原稔首相補佐官によると、参加者たちは創生日本のメンバーでもある菅義偉首相を支えていくことで一致。併せて引き続き安倍氏を会長としてあおぎ、勉強会などを開催していくことでまとまった。〉
〈創生日本のメンバーでもある菅義偉首相を支えていくことで一致〉などというが、これは表向きの理由にすぎないだろう。菅首相は、打ち出す政策や懇意にする人物が竹中平蔵氏など新自由主義を全開にする一方、安倍前首相のようなファナティックな極右思想は前面には出していない。そして、そのことに不満を持っている極右文化人やネトウヨは多い。
そんななかで安倍前首相を会長として再び創生「日本」をリスタートさせるということは、極右発言を再び活発化させて安倍前首相の存在感を高めようとしている、つまり「3選」に向けて動き出したとしか考えられないのだ。
創生「日本」で安倍、稲田が語ったトンデモ極右発言「夫婦別姓は共産主義のドグマ」「国民の生活が大事なんて間違ってる」
実際、下野時代の創生「日本」での活動において、安倍氏はその極右思想を全面に押し出すことで、極右文化人たちのみならず民主党政権を敵視するネトウヨからの求心力を急速に高め、支持者を増やしていった。
たとえば、2010年には渋谷や新宿などで街頭演説を繰り返し、あるときは選択的夫婦別姓の導入などの民主党政権が進めようとしていた政策について「日本という国が国家解体に向かって進んでいます!」「国の骨格がいま崩されようとしています!」と叫び、あるときは「日教組からこどもたちを救い出さなければいけない!」などとがなり立てていた。
世界でも法的に夫婦同姓を強制している国は日本だけだといわれるが、選択的夫婦別姓を導入しただけでこの国は解体されてしまうと渋谷の真ん中で叫ぶ……。安倍前首相といえば、昨年の参院選時におこなわれた党首討論で選択的夫婦別姓の導入に賛成か反対かを挙手で問われた際、ただひとり手を挙げず、「ちょっとね、単純化してショーみたいにするの、やめたほうがいいですよ」などとイチャモンをつけていたが、実際には創生「日本」会長としてフル回転していたこの時期、「夫婦別姓は家族の解体を意味します。家族の解体が最終目標であって、家族から解放されなければ人間として自由になれないという、左翼的かつ共産主義のドグマ(教義)。これは日教組が教育現場で実行していることです」(「WiLL」ワック2010年7月号)などと語っていたのである。
だが、この安倍氏率いる創生「日本」にとっての至上命題は、なんといっても憲法改正。実際、この極右議員の集いでは改憲に向けて、げに恐ろしい主張が繰り広げられてきた。
たとえば、前述したように創生「日本」事務局長代理として極右発言を連発し、ネトウヨから「日本のジャンヌ・ダルク」と呼ばれるにいたった稲田朋美・元防衛相は、創生「日本」の研修会(2012年5月10日)でこんなことを訴えていた。
「国民の生活が大事なんて政治はですね、私は間違ってると思います」
さらに、この研修会では、第一次安倍内閣で法務大臣を務めた長勢甚遠氏も、当時の自民党改憲草案を「不満」だと言い、こう述べていた。
「いちばん最初に国民主権、基本的人権、平和主義、これは堅持すると言っているんですよ。この3つをなくさなければですね、ほんとうの自主憲法にならないんですよ」
安倍よ、さっさと『桜を見る会』前夜祭の請求書だけ出して、そのまますっこんでろ
自民党の改憲草案は十分に国民主権、基本的人権、平和主義を無効化する恐ろしい内容だが、それでもまだ足りないと主張するとは……。憲法からこの3つをなくして北朝鮮のような国家体制をつくろうとしているとしか思えず、「国家解体」を進めようとしていたのはまさしく彼らのほうだとしか思えないのだが、こんな物騒な集団の先頭に安倍前首相は立ってきたのである。
そして、まだ総理大臣を辞して2カ月も経たないというタイミングで、この創生「日本」を再始動させる──。この行動パターンは、完全に第一次安倍政権を投げ出したあととまったく同じだ。安倍氏は創生「日本」を足がかりにした“極右思想全面展開”によって政権を放り出したことで失った求心力を取り戻した。いや、むしろ総理在任中以上の支持を取り付けることに成功した。それが2012年の総裁選での勝利に繋がり、総理に返り咲くことを可能としたのだ。現に、前出の毎日新聞記事によると、安倍前首相は創生「日本」メンバーと会食した夜、当時を振り返ってこう述べたという。
「最後まで支えてくれたのがこのメンバーだ。おかげで総裁選に勝てた」
創生「日本」を再始動させ、「3度目の返り咲き」を狙う。しかし、これが大きな問題なのは、安倍前首相をはじめとする創生「日本」のメンバーたちが再始動によって、下野時代に展開したような排外主義を振りまくことだ。実際、2010年前後には極右議員らによるヘイトまがいの排外主義発言がヘイト団体やネトウヨにお墨付きを与え、東京・新大久保などでのヘイトスピーチデモを拡大させる大きな要因となった。それはトランプ大統領が排外主義で民衆を扇動し、ヘイトクライムを横行させたのと同じ構図だ。
安倍前首相のリスタートに対し、「お元気そうでなにより」などというお人好しな言葉はもはやいらない。「さっさと『桜を見る会』前夜祭の請求書を出してすっこんでろ」と国民が黙らせなければ、またもヘイトスピーチを横行させた上で「悪夢のような安倍政権」が息を吹き返しかねないのである。
(編集部)
最終更新:2020.11.14 04:34
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