吉村洋文知事の“うがい薬会見”事前漏洩問題のスリカエ反論・恫喝がひどい! テリー伊藤の証言修正も矛盾とゴマカシだらけ

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大阪府ホームページより


 大阪府の“うがい薬”騒動に浮上した事前情報漏洩問題およびインサイダー疑惑について、吉村洋文・大阪府知事が反論に躍起になっている。

 本サイトでもお伝えしたように、事の発端は9日放送の『サンデー・ジャポン』(TBS)でのこと。4日の記者会見で吉村知事は「ポビドンヨードが新型コロナに効く」とぶち上げたが、この会見を生中継した『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)に出演していたテリー伊藤が「じつはこの話をですね、1時間半ぐらい前に知ったんですね」「薬メーカーの株価もかえるなっていうふうに、一瞬、頭も入ったんですけど、それを止めた」「それちょっとインサイダー取引みたいな感じで、僕の立場でそれやると申し訳ないなと思ってやらなかったんですけども」と舞台裏を語ったのだ。

 そして、このテリーの“暴露”を受けて、ネット上では「事前に“うがい薬がコロナに効く”という発表内容が漏れていたってことはインサイダー取引が起こり得たのでは」「吉村知事は松井市長や病院関係者くらいとしか情報共有していないと言っていたのに嘘だったのか」といった意見が殺到していた。

 こうした批判に一昨日11日から、吉村知事が反論をはじめたのだが、その内容がひどいのだ。話のスリカエ、ゴマカシ、恫喝、責任転嫁のオンパレード。しかも、テリー伊藤が発言を修正すると(その修正がいかに矛盾しているかについても後述するが)、その姿勢はさらにエスカレートしている。吉村知事の言い逃れを許さないためにもひとつひとつ検証してみよう。

 まず、11日に府庁で取材に応じた吉村知事は、インサイダー疑惑についての質問を受けると、こうまくし立てた。

「まず、インサイダー取引っていうのは犯罪ですからね。ですんで、ネット上で匿名とはいえ、僕がインサイダー疑惑があるとか、そういったことは軽々には言わないほうが、ネット上でもいいだろうというふうには思いますので、そこはネット上でいろんな意見される方いますけど、注意されたほうがいいんじゃないかなと思います」
「まあ、維新が嫌いなのはわかるんですけど、そしてあと、発表の仕方とかいろいろ問題あるんじゃないかというのは、それはわかるんですけど、まあ、インサイダーじゃないかとか言うのはね、ちょっとそこは『あなたは犯罪者でしょ?』と言うのに等しいですから、ネット上での言い方は注意したほうが、僕はいいんじゃないかなというふうに思ってますし、(インサイダー取引にかかわるような)そういったことは一切ありません」

 そもそも、これ、いったい何に反論しているのか、という話だろう。吉村知事は今回の自分に対する批判を出所不明のフェイクニュースのように扱っているが、今回、多くの人が疑問を持ったきっかけは、前述したように、吉村知事の会見を生中継した『ミヤネ屋』に出演していたテリー伊藤が事前に情報を入手し、インサイダー取引をやろうと思えばやれた、と自らはっきりと証言したことなのだ。これを受けて多くの人が「インサイダー取引を引き起こしかねない、情報の事前漏洩があった」ことを批判したのである。

 それを吉村知事は、「維新が嫌いなのはわかるんですけど」などと、批判をあたかも”反維新“の政治的な攻撃であるかのように矮小化。さらに、問題は情報の事前漏洩なのに、「ネット上で僕がインサイダー取引をしたと言っている」などとごく一部の人間しか言っていないようなツイートだけをクローズアップして否定した。これは、完全に話のすり替え、事前漏洩疑惑のゴマカシだろう。

 しかも、呆気にとられたのは、「僕にインサイダー疑惑があるとかは軽々には言わないほうがいい」という台詞だ。被験者わずか41人、客観的検証もない論文にすらなっていない実験結果を「ウソのような本当の話」などとまるで事実かのように「軽々に」発表しておきながら、その張本人が「軽々には言わないほうがいい」って、いったいどの口が、という話ではないか。

テリー伊藤の撤回は矛盾だらけ!インサイダー取引の主語が“自分”からいつのまにか“会見場にいた人”に

 しかし、吉村知事のこの詐術的抗弁はその後、テリー伊藤が発言を“修正”したことで、さらに勢いづいた。テリーの発言修正は、吉村知事が会見の後、11日の18時30分ごろから出演した関西のニュース番組『報道ランナー』(関西テレビ)で報道されたものだ。

 同番組で、テリー伊藤にインサイダー問題について電話取材をおこなったところ、こんな回答が返ってきたことが紹介された。

「会見があることを知っていただけで、詳細は知らなかった。会見時にうがい薬が机の前に並んでいたので会見場にいた人は事前に株が購入できるのではと思い、番組での発言につながった」

 すると、吉村知事は、番組終了後から数時間経った21時台にTwitterを更新。さらに強い調子でこんな“警告”をおこなったのだ。

〈テリー伊藤さん自身が、TVでの発言を撤回されています。インサイダー取引は犯罪です。そのような事実はありません。ネット上での吉村インサイダー疑惑なるものは、名誉毀損になりますので、ツイートやリツイートは削除されるようお願いします。一線を超えるものは、然るべき対応をとります。〉
〈(前略)公人ですので批判は受けますが、名誉毀損はダメです。〉

 なんと、テリーの“発言修正”を錦の御旗に、ツイートの削除や、名誉毀損をちらつかせ始めたのだ。

 しかし、そもそも、吉村知事が錦の御旗のように掲げているテリーの“発言修正”じたいが、まったく整合性のない矛盾だらけのものだ。

 テリー伊藤は『サンジャポ』では「この話をですね、1時間半ぐらい前に知った」と話した上で「これをいま買っておけばいいなと思って。場合によってはこれね、薬メーカーの株価もかえるなっていうふうに、一瞬、頭も入ったんですけど、それを止めたんですよ。それちょっとインサイダー取引みたいな感じで、僕の立場でそれやると申し訳ないなと思ってやらなかったんですけども」と述べていた。つまり、「1時間半ぐらい前」にうがい薬についての会見だと聞かされ、自分が株をいま買えば……と考えたもののインサイダー取引みたいになるから止めた、というわけだ。

 ところが、『報道ランナー』の取材では、「会見があることを知っていただけで、詳細は知らなかった」「会見場にいた人は事前に株が購入できるのではと思った」と発言を修正したのだという。

『サンジャポ』でははっきりと、「僕の立場でそれやると申し訳ないな」と言っていたのに、インサイダー取引ができる可能性がある人物が「自分」から「会見場にいた人」にまるっきり変わってしまっているではないか。これ、記憶違いや勘違いで説明がつくような話ではないだろう。

 しかも、テリーは「うがい薬が机の前に並んでいたので会見場にいた人は事前に株が購入できると思った」と言うのだが、これもおかしい。というのも、うがい薬は会見が始まる前から机に並んでいたわけではないからだ。この日の会見は2部構成で、1部の会見が終了したあとに設けられた約10分ほどの休憩時間のあいだにうがい薬は机の上に並べられた。そして、薬がカメラに映し出されたのは14時20分のことで、吉村知事が「うがい薬がコロナに効く」という発表を始める直前だった。「会見場にいた人が事前に購入できる」時間なんてないし、『ミヤネ屋』に出演していたテリーが本番中に「僕の立場でそれ(インサイダー取引を)やると申し訳ないな」なんてことを考えるというのもありえない。

テリーの証言以前に『ミヤネ屋』が“事前の情報提供”を受けていたことを物語る不可解な動き

 とにかくテリー伊藤の説明は何から何まで矛盾だらけで、実際は事前の情報を知らされていたのに、騒動になったためごまかましたとしか思えないのだ。

 しかも、テリーの証言がどうあれ、会見を生中継した『ミヤネ屋』には、事前に会見内容を知っていたのではないかという疑惑がある。

 それを象徴するのが、『ミヤネ屋』が会見開始前に出していたテロップだ。『ミヤネ屋』では、まだ会見がスタートしていない番組スタート時の13時55分の段階で、「速報“コロナ”治療 効果が期待できる薬 発表へ 大阪吉村知事&松井市長会見」というテロップを出していた。

 これについては、吉村知事が11日の会見で「当日の朝10時に大阪府のホームページに、大阪府病院機構と僕と松井市長で共同発表すると出した」と説明したことから、「大阪府のホームページに告知が出たため、推測したのではないか」などという反論が出てきているが、それはありえない。

 というのも、大阪府のHPを確認しても、大阪府・市と大阪はびきの医療センターによる〈研究結果が取りまとめられるとともに、引き続き協力を行っていくこととなりました〉〈研究概要及び府・市による研究協力の内容〉について共同記者会見をおこなう、としかアナウンスされていないからだ。

 これで、「治療に効果が期待できる薬の発表」などと具体的にテロップを打つなんてことができるはずがない。というか、事前に何らかの確証を得ていなければこんなテロップは怖くて出せるわけがない。

 さらに、『ミヤネ屋』では、14時20分ごろから会見の中継をはじめ、吉村知事がポビドンヨードを含んだうがい薬が「コロナに効く」と言い出してわずか約15分後の14時35分には、手書きではなくデザインされた「ポビドンヨードとは」「ポビドンヨードが感染対策に有効な理由」というフリップを出して解説をおこなっていた。たった約15分で、情報を手早くまとめ、デザイン・印刷をおこない、フリップをつくり上げたというのだろうか。

 こうしたことを見ても、『ミヤネ屋』に事前に情報が流れていたことはほぼ間違いがないのだ。しかも、それは吉村知事サイドや大阪府関係者も認識していた可能性は高い。

 なぜなら、もし、『ミヤネ屋』が吉村知事や大阪府の許可なく、このような事前報道や煽り報道をしていたとしたら、役所から完全にフライング認定され、出入り禁止になっているはずだからだ(それは逮捕を前打ちしたメディアに対する検察庁や警視庁の姿勢を見れば明らかだ)。

 しかし、『ミヤネ屋』はそういう処分を一切受けなかったどころか、会見から2日後の6日にも吉村知事は嬉々として番組に出演した。この事実を見れば、『ミヤネ屋』の事前報道と吉村知事サイドの間に何らかの関係があったとしか思えない。

「名誉毀損」「一線を超えるものは然るべき対応をとる」と恫喝で、「スラップ吉村」のあだ名が再び

 それでも、「事前に情報を漏らしたりなどしていない」と主張するのならば、吉村知事がやるべきは、第三者委員会を立ち上げて、なぜ『ミヤネ屋』があのようなテロップを会見前に出すことができたのか、どうしてテリー伊藤はあのような発言をおこなったのか、さらにはどのようなプロセスを経て会見にいたったか、客観的に検証することだ。

 にもかかわらず、吉村知事はそんなことは一切せず、“反維新が不確かな情報をもとに僕にインサイダー疑惑があると広めている”などと話をすり替え、矮小化し、恫喝をかけているばかりなのだ。

 しかも、その恫喝は「『あなたは犯罪者でしょ?』と言うのに等しい」「名誉毀損」「一線を超えるものは然るべき対応をとる」といったように、訴訟をちらつかせるものだ。吉村知事といえば、大手消費者金融の武富士がジャーナリストに対しておこなったスラップ訴訟の武富士側代理人として名前を連ねていたことを本サイトでも詳しく報じたが(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2020/06/post-5452.html)、今回の訴訟恫喝でそのときにネット上に広がった「スラップ吉村」というあだ名が再び拡散している。実際、自分の失政や不祥事を棚に上げて批判を訴訟恫喝で封じるというこの姿勢は、明らかに公人失格と言っていいだろう。

 いや、恫喝だけではない。吉村知事は訴訟までちらつかせておいて、一方でこんな被害者ヅラの発言までしていた。

「僕が一番心配しているのはインサイダーとかじゃなくて、この研究自体が潰されること」
「感染拡大防止の一つの武器として、かなり大きな将来性があると思っている。あまり論がズレていくと『研究自体を一斉に潰せ』みたいになって、社会にとって損」(11日、府庁での記者団の取材に対して)

 科学的根拠が不足したままの段階で自分の「やってる」感演出のために会見をして、その結果、この状況が起きたのに、いったい何を言っているのか。

 この際だからはっきり言っておこう。もし、今回の研究が潰れるとしたら、その研究を潰したのは自己PRのことしか考えていない吉村知事、あなた自身のせいだ。

最終更新:2020.08.14 11:39

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