消費増税で景気が東日本大震災直後に次ぐマイナスに! 来年はさらに悪化が確実、追い詰められる安倍政権

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首相官邸HPより


 臨時国会が閉幕した。安倍首相ら政権幹部は「桜を見る会」問題の追及から「逃げ切った」と胸をなで下ろしている。年を越えればオリンピックイヤーとなり、国民もメディアも五輪特有のナショナリズム一色に染まる。“お祭りムード”に浮かれた世論は、政権が喧伝する「戦後最長の景気回復」を実感し、政権の不祥事やスキャンダルへの関心は消える──と踏んでいるのだろう。

 だが、そうは問屋がおろさないかもしれない。一番の理由は、10月の消費増税から始まった“大不況”の気配にある。これまで「経済政策の成果」を大看板にし、国民の不満や批判をかわそうとしてきた安倍政権だが、今後はそのフェイクがまったく使えなくなるからだ。

 なぜかマスコミは大きく報道していないが、消費税率10%への引き上げ以降、景気は目も当てられないくらい落ち込んでいる。日本は、安倍政権によって谷底に突き落とされたと言っていいぐらいだ。

 たとえば、今月6日に内閣府が発表した10月の景気動向指数(速報値)では、景気の現状を示す一致指数が前月比5.6ポイント減の94.8で、実に6年8カ月ぶりの低水準だった。前月比マイナス5.6という下落幅は東日本大震災の2011年3月(マイナス6.3)に次ぐ数値で、8年7カ月ぶり。安倍政権が消費税率を5%から8%に引き上げた2014年4月(マイナス4.8)をゆうに超える下がり幅である。基調判断は3カ月連続で景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」となり、しばらく景気の下落は止まらないだろう。

 経産省や財務省が発表した10月の産業・貿易等に関する統計も景気の低調を物語る。商業動態統計(経産省)の10月速報値をみれば、商業販売額は前年同月比9.1%の減少(卸売業=10%減、小売業=7.1%減)。これも前回2014年4月増税時を大きく超えるマイナスだ。貿易統計(財務省)の10月総額速報値では輸出額が前年同月比9.2%、輸入額が14.8%の減少となっている。

 消費増税は当然、家計へも大きく影響している。総務省が今月6日に発表した10月の家計調査では、2人以上世帯の1世帯当たり消費支出(物価変動を除いた実質)が前年同月比5.1%減。マイナスは11カ月ぶりで、下落幅は3年7カ月ぶりの大きさ。これまた2014年4月時(4.6%減)を上回っている。一時的な落ち込みではない。2014年の消費増税後の消費支出は13カ月連続でマイナスだったが、前回を上回る下落幅を考慮すると、買い控えが長期化する可能性はかなり高いと言わざるを得ない。

来年6月、ポイント還元制度が切れてさらに悪化。五輪が終わると、日本経済はどん底に

 しかも、注視しておかなければいけないのは、こうした景気悪化を示すデータがプレミアム商品券とポイント還元制度という消費増税にともなう「景気対策」を施したうえでの数字だということだ。とくにポイント還元制度は中間層から富裕層の利用率が高く、格差助長の一方で、消費維持対策としては効果があったと言われていた。しかし、この制度が実施されるのは2020年6月まで。これが過ぎると、一気に消費が冷え込むのは間違いない。

 さらに、この悪夢のシナリオに拍車をかけるのが東京オリンピック・パラリンピックの存在だ。2020年は五輪で全体的に消費が伸び、指標上で景気が好転して見えるかもしれないが、これはあくまで一時的なもの。閉会と同時に打ち止めだ。消費や投資の反動が確実にやってきて、景気を直撃する。いわゆる「五輪不況」である。

 インフラ特需やインバウンドなど経済効果ばかりが強調される五輪だが、実は、歴代の夏季大会開催国の経済成長推移を見ても、大会翌年の経済成長率は大会前年を下回るケースが多い。たとえば2008年の北京大会の場合、14%台だった2007年の成長率が、大会後の2009年には9%台まで下落。日本の場合も、前回1964年東京大会の翌年には一気に経済成長率が落ち、大会前年と比較すると企業の倒産件数は約3倍にもなった。

 しかも、今回の場合は「アフター五輪不況」どころではない。前述したような経済動向のデータを見ると、来年頭から「ビフォア五輪不況」が本格化する恐れが高いのだ。

 これはたんに景気が悪くなるというだけでは済まない。経済が冷え込めば、必然的に国の税収全体が低調となり、失業保険や生活保護費など社会保障費の増大が生じる。財政は消費増税前より悪化し、“社会保障費カット”はさらに進み、貧富の格差はもっと激しくなる。待っているのは、これまで以上の財政悪化と消費減少という負のスパイラルだ。

 国民生活を一気に困窮させたうえ、逆に財政を悪化させる消費増税という愚策を断行した安倍政権には怒りしか湧いてこないが、しかし、この経済悪化はその安倍政権に対しても、大きな打撃を与えることになるはずだ。これまでどんなデタラメな政策や不正をやっても安倍政権に支持があったのは、表向き「経済が悪くない」ということをアピールしてきたからだ。しかし、さらに景気が悪化すれば、さすがにそんな詐術は使えなくなるだろう。

 そういう意味では、この消費増税による景気後退は安倍政権にとって“終わりの始まり”になる可能性があるのだ。

検察のジャパンライフ強制捜査で「桜を見る会」問題が再燃する?

 しかも、安倍政権にとっては来年、もうひとつ頭の痛い問題がある。それは「桜を見る会」問題の再燃だ。国会閉幕でこの問題の追及から逃げ切る気満々の安倍政権だが、永田町ではまったく別の見方が広がっている。ベテラン政治評論家はこう言う。

「政権のアキレス腱は、悪徳マルチ商法のジャパンライフとの関係だ。実は、永田町界隈では年明けに、検察がジャパンライフ元会長の強制捜査に踏み切るのではとの観測が広がっている。これまで政治に蓋をされ続けてきたジャパンライフ問題が、今回の『桜を見る会』問題で国民から大きな再注目をあびたことで、検察内はにわかに本気モードになっているという。仮にジャパンライフ関係者が逮捕されれば、来年の通常国会で『桜を見る会』問題は一気にぶり返す。政権は窮地に立たされるだろう」

 言葉を継げば、ジャパンライフ問題はマスコミにとっても格好のネタだ。事実、安倍首相の後援会贔屓や「前夜祭」をめぐる開催費負担問題など、私物化や身内優遇に焦点が当たった段階では、テレビのワイドショーは集中的に取り上げることに及び腰だったが、これがジャパンライフとの接点が再浮上した途端、我先にと争うようにして報じだした。

 ある民放キー局関係者は「ジャパンライフ問題で報道が盛り上がったのは、はっきり言って数字がいいから」とあけすけに語るが、ここに「強制捜査」というビッグニュースが加われば、さすがに連日連夜の大報道となるだろう。前述のベテラン政治評論家は「官邸関係者から聞いた話だが」と前置いて、こうため息をつく。

「お得意の経済政策による誤魔化しも、消費増税の悪手によって、その虚像が完全に崩壊しつつある。そんななかで解散などできない。いま、首相周辺が期待しているのは米朝交渉の決裂らしい。金正恩が核開発を本格再開し、トランプが武力行使をちらつかせ始めれば、再び“北朝鮮の脅威”を国民に喧伝することができる。そうなれば、憲法改正を訴えて、解散総選挙に臨み、あらゆる経済失政や不正をなかったことにできると踏んでいるようだ」

 国民生活を困窮させる消費増税を断行し、自らのスキャンダル隠しのために米朝関係の悪化を望み、この国を危機に陥れる。こんな亡国宰相を放置しておいていいのか。日本経済が壊滅してからでは遅すぎる。野党は一刻も早くまず、消費税減税で一致し、安倍政権を追い込むべきだろう。

最終更新:2019.12.11 02:34

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