大阪・警官襲撃容疑者“父親が関西テレビ常務”より注視すべき「元自衛官」の経歴…過去にも元自衛官の拳銃強奪

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
交番襲撃容疑者父親が関西テレビ常務より注視すべき「元自衛官」の経歴…過去にも元自衛官の拳銃強奪の画像1
元自衛官だったという交番襲撃容疑者(自衛官募集HPより)


 大阪・吹田市の交番で警官が刺されて拳銃が強奪された事件で、今朝逮捕された容疑者が、きょう午後になって父親が、フジテレビ系列の関西テレビの常務取締役だったことが判明。父親と関西テレビがコメントを発表した。

 また、容疑者自身も2015年、やはり系列の岩手めんこいテレビの関連会社に8カ月勤務していたことも報道された。

 これを受けて、ネットではフジ、関テレをはじめ、テレビ局に対し「マスゴミはやっぱり身内に甘い」と厳しい批判の声が上がっている。

 というのも、容疑者の父親が関テレ役員という情報はほとんどのマスコミがきょう早朝までにキャッチしており、関西テレビには取材が殺到。ネットでも話題になっていた。しかし、正式なコメントを出すまで、フジ系のニュース、ワイドショーはもちろん、ほとんどのテレビ、新聞がこの事実を報道しなかったからだ。

 たしかに、フジ、関西テレビはもっと早くなんらかの発表をすべきだった。容疑者が系列の岩手めんこいテレビの関連会社に勤務していた問題ついても、きょう午前中の段階でNHKが報じていたのに、フジの『直撃LIVE グッディ!』は、「2015年に岩手の民放テレビ局関連会社に8カ月勤務」と局名を伏せていた。

 そういう意味では「身内に甘い」と糾弾されてもしようがないだろう。

 しかし、一方で気になるのが、父親が関テレ常務という事実によって、容疑者の「元海上自衛隊隊員」というもう一つの経歴が打ち消されてしまうことだ。事実、ネット上ではすでに「マスゴミは元自衛官じゃなくて元テレビ関係者のほうを強調しろよ」という声が大勢を占めている。

〈自衛官を強調しすぎ。前の富山の事件の時も、辞めてるのに元自衛官とか報道してさ、“元”必要か?〉
〈元自衛官強調する必要ある??〉
〈「元自衛官」は強調しても「元テレビ局関係者」と強調しないマスゴミ…〉

 また、容疑者の自衛隊隊員歴については、『とくダネ』(フジ)が早い段階で報じたことから、こんな炎上攻撃も見られた。

〈とくダネは現役ならともかく元自衛官を強調するなら、親はフジ系列の役員って報道すべきじゃない。ちょうどおたくの系列よ。〉
〈なんか吹田の警官襲撃事件の犯人が元自衛官というのが出ているが、フジテレビの【とくダネ】だけみたいなので「捏造報道の自由」の可能性が高いな…警察発表なら他局も喜んでネタにするだろう〉

 しかし、フジの身内隠しはともかく、マスコミ各社が“関テレ常務”よりも、本人の自衛隊隊員歴をまず大きく報じるのは当然ではないか。

 というのも、“関テレ常務”というのは、あくまで父親の職業にすぎず、“元自衛官”というのは本人の職歴だからだ。しかも、自衛官は公務員という立場で、警官と同様に、銃などの武器使用が許される数少ない職業。いくら10年前とはいえ、その経歴と犯罪に関連性がないかをチェックするのは当然だろう。

富山市では即応予備自衛官が交番襲撃、警察官を刺殺、拳銃で警備員射殺

 しかも、元自衛官が警察官を襲い、拳銃を奪った事件は今回がはじめてではない。2018年には、富山市の交番で警察官が刺殺され拳銃を奪われ、近くの小学校で警備員が射殺されるという事件が起きたが、逮捕されたのは、過去に陸上自衛隊で2年間勤務した元自衛官だった。事件を起こした当時、即応予備自衛官に採用され、迫撃砲の操作訓練を受けたばかりだった。

 また、1989年にもやはり元自衛官が、短銃を奪うために警視庁練馬署中村橋派出所の警察官2人をサバイバルナイフで殺害するという事件が起きている。

 元自衛官が何度も警官を襲い、銃を奪おうとしているのは偶然では片付けられない。きちんとした検証が必要だろう。

 しかも、今回の吹田市の事件で気になるのは、容疑者がわずか半年で自衛隊を退職していることだ。自衛隊をめぐっては、離職率の高さが大きな問題になっており、またいじめやパワハラ、虐待の横行で、精神を病み、自殺をはかる自衛官も後を絶たない。本当に犯罪は自衛隊員歴と関係がないのか。

 しかし、今の日本はこういう論点を口にするだけで、ネトウヨや極右メディア、右派政治家が束になって、「自衛隊に対するネガティブキャンペーンだ」「自衛隊を悪者にしたいだけの国賊だ」と集中砲火を浴びせ、検証やチェック作業を封じてしまう。

「自衛隊で引きこもりの精神を鍛え直せ」のコラムを載せた産経

 それどころか、逆に犯罪事件にかこつけて、徴兵制まがいの自衛隊強制入隊を語るメディアや輩も出てくる始末だ。たとえば、川崎殺傷事件では、産経新聞が“引きこもりは自衛隊に入れて精神を鍛え直せ”と主張する宮嶋茂樹氏のコラムを掲載した。

 自衛隊こそ、犯罪やいじめの温床になっているのに、何を寝ぼけたことを言っているのか、という感じだが、自衛隊批判が一切封印され、こういう暴論が何の批判もなく掲載されるのが今の日本の言論状況なのである。

 しかし、何度でも言うが、自衛官は警官と同様に、銃などの武器使用が許される公務員なのだ。その経歴と犯罪に関連性がないかすらチェックできないとすれば、もはや、軍批判が一切タブーになっているどこぞの軍事独裁国家と変わりがないではないか。

最終更新:2019.06.17 11:48

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

大阪・警官襲撃容疑者“父親が関西テレビ常務”より注視すべき「元自衛官」の経歴…過去にも元自衛官の拳銃強奪のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。フジテレビ交番襲撃岩手めんこいテレビ編集部自衛隊関西テレビの記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄