新天皇の即位パレードが「自民党本部前」を通るルートに変更! 安倍首相の“天皇の政治利用”が止まらない

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“皇室の政治利用”安倍首相(自民党HPより)


 安倍首相による“皇室の政治利用”が止まらない。10月22日におこなわれる即位を祝うパレードについて、昨日、安倍首相が委員長を務める式典委員会が平成のときのルートを一部変更することで決定。しかし、問題はそのルート。なんと、ルート変更によって、パレードは自民党本部前を通ることになるのである。

 まず、説明しておくと、10月22日は「即位礼正殿」の儀が挙行され、そのあとに「祝賀御列の儀」(パレード)がおこなわれる。平成の代替わりの際には、当時のチャールズ皇太子とダイアナ妃をはじめとする約2200人が式典に参加。そしてパレードでは、オープンカーに乗った天皇・皇后の姿をテレビが大々的に生中継した。そのルートは、皇居前広場から国会議事堂前を通り、赤坂見附、青山一丁目を通過して赤坂御所に着くという約4.7キロだった。

 だが、昨日、安倍首相が決定した新ルートは、国会正門前を右折するところまでは平成のパレードと同じだが、前回は三宅坂交差点に出て青山通りに出ていたところを、今回は憲政記念館前の交差点を左折し、国会図書館前を通って青山通りの平河町交差点に抜ける。そう。自民党本部前をがっつり通るルートなのだ。

 ルート変更の理由については〈首都高速道路の高架沿いを通る距離を短くした〉(朝日新聞デジタル版21日付)とし、政府関係者は「より開放的な空間をパレードできる」(日本経済新聞電子版21日付)と説明しているが、カットされる高架下の距離はわずか約500メートル。なぜそのためにわざわざこのルートを選択したのか。

 これは明らかに、パレードを自民党と安倍政権のPRに利用しようということだろう。

 実際、このパレードのルートをめぐっては、官邸の意向が強く反映されている。たしかに「高架沿いを避けた」新しい即位パレードのルートは昨年の秋の段階で提案されていた。だが、それは、桜田通りを南下して、虎ノ門の交差点を右折した後、外堀通りを進む、自民党本部前を通る今回のルートからは大きく離れたものだった。そして、この案は警備上の問題などで反対され、年明け、平成の代替わりと同じコースを踏襲することに内定。マスコミもそのことを報じていた。

 ところが、そのあと、官邸が自民党本部の前を通るルートに変更するよう強い働きかけを始めたのだという。宮内庁や政府内には「政治利用と批判を受ける」という反対意見があったが、最終的にこのルートがごり押しされたというのだ。

 普通なら、「政治利用」との批判を受けないように、政府としては政権与党の本部の前は避ける配慮をするものだが、安倍政権は逆にそれを強行したのだ。

 その結果、自民党本部前で多くの人が沿道で日の丸の小旗を振り、そこを新天皇・皇后が通り過ぎる──その模様が実況つきで生中継されることになってしまった。いや、それどころではない。自民党本部は、大きな政治スローガンを掲げた垂れ幕をしばしば下げているが、安倍首相の写真や「改憲を実現させよう」といったメッセージ入りの垂れ幕をバックに新天皇のパレードが横切る絵を、全国、いや世界に配信することも可能になったのだ。

元号に内奏公開、トランプ接待、エスカレートする安倍の天皇政治利用

 なんという露骨な政治利用。しかし、安倍首相はこれまでも、改元・新天皇の即位の“私物化”を進めてきた。

 その象徴が、元号をめぐる安倍首相のパフォーマンスだろう。新元号の「令和」は安倍首相が独断専行に近いかたちで決めたことが朝日新聞のスクープで判明したが、じつは発表前から首相官邸幹部に「首相の元号ではなく、次の時代の元号。政権の政策につなげて『安倍色』を出し過ぎれば、政治的なリスクになりますよ」と進言されていたのだという。

 にもかかわらず安倍首相は、自ら会見を開き、何の関係もない「世界に一つだけの花」を持ち出しながら「一億総活躍社会をつくり上げることができれば、日本の未来は明るい」などと強調。その後もテレビ番組をはしごし、自ら前面に立って新元号をPRしたのだ。

 しかも、この「令和」キャンペーンで支持率が上昇すると、味をしめた安倍首相は、皇室政治利用をどんどんエスカレートしていった。

 新天皇が即位すると、5月14日に即位後初の内奏をおこなったのだが、翌日にはなんとその様子を公開。内奏の内容公開は「天皇の政治利用につながる」という懸念から公開しないのが原則だが、安倍政権のあまりに露骨な政治利用に批判の声があがった。

 また、安倍首相による皇室の政治利用ショーが、もうひとつ目前に迫っている。それは、皇太子が新天皇に即位して最初に迎える国賓が、アメリカのトランプ大統領に決まったことだ。トランプ大統領とメラニア夫人が今週末から来日するが、安倍首相はこの間、ゴルフに大相撲観戦などをおこなう予定で、参院選前に“トランプとの仲の良さ”を最大限にアピールするつもりでいる。そのなかでも、もっとも目玉なのが新天皇とトランプ大統領の会見だ。

 2017年11月、当時の明仁天皇と美智子皇后がトランプ大統領と面会したときは、天皇皇后の意向もあって、最低限のものにとどめられたといわれているが、今回はたっぷりと時間をとって、派手に演出するのではないかといわれている。つまり、天皇をトランプ接待に利用して、強固な日米同盟を演出しようというわけだ。

自民党本部前のルートを4月にTBSがスクープしたが、不可解な削除

 そして、今回の自民党本部前を通る即位パレード。あまりの露骨さに言葉を失うが、しかし、問題はこうした皇室の政治利用を一切批判しないメディアの姿勢だ。

 じつは、今回の自民党本部前を通る即位パレードのルート変更は、4月19日にTBSがスクープしていた。ところが、他のマスコミはこれを一切後追いせず、TBSもなぜかネットのニュースサイトから削除してしまった。

 そして、TBSの報道通り自民党本部前を通るルートが発表されたきょうも、マスコミはいまのところ、一部が「自民党本部前を通る」ことを申し訳程度にふれただけで、おめでたムード一色に染まっていることだ。たるみきったメディアによって世論の反発も起きず、安倍首相のあからさまな政治利用、私物化は、今後、さらにエスカレートしていく。このままいけば、日本はそう遠くない日に「天皇様の国」ならぬ「安倍様の国」になってしまうのではないか。

最終更新:2019.05.22 01:47

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