BTS問題で『ワイドナショー』が意外に冷静な姿勢!乙武洋匡は日本の加害性にも言及、『サンジャポ』では武井壮も

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BTS問題で『ワイドナショー』『サンジャポ』が意外に冷静な姿勢! 乙武洋匡、武井壮は日本の加害性にも言及の画像1
冷静な姿勢が珍しいというのも…(フジテレビHPより)

 BTSのTシャツ問題をめぐり、ほとんどのメディアがネトウヨ層に丸乗りし、日韓対立や嫌韓感情を煽りまくっていることは本サイトでも指摘してきた。

 そんななか、意外な番組がこのBTS原爆Tシャツ問題について、これまでのメディアの論調とはまったく違う反応を見せた。それが 11月18日放送された『ワイドナショー』(フジテレビ)だ。先週11日の放送ではBTS問題を扱っていなかったのだが この日の放送では、まず『紅白歌合戦』(NHK)の出演者発表の話題から、BTSが出演しないことについて、紅白を担当するチーフプロデューサーの「例年の選考基準に沿った上で総合的に判断した。騒動が影響したのは事実。そのことも含め判断した結果です」という、事実上騒動によりBTS出演を見送ったとも取れるコメントを紹介。そこから芸能レポーターの駒井千佳子やMCの東野幸治がBTS問題の表面的な経緯を解説し、『ミュージックステーション』のテレビ朝日も含めテレビ各局に、苦情やクレームが殺到していたという裏事情も明かした。

概要を説明し終えると、東野が松本人志をはじめとするコメンテーター陣に意見を求めた。『ワイドナショー』と言えば、これまで本サイトでも繰り返ししてきたように、慰安婦問題や徴用工判決問題などで日本の戦争責任を看過した一方的な韓国批判を展開したり、平昌五輪バッシングしてみたり、安倍政権やネトウヨの尻馬に乗って日韓対立を煽ってきた番組。ところが、この日、出演者たちが口にした言葉は、まったくそういうものではなかった。

 まず最初に、話を振られた乙武洋匡氏は極めて冷静な語り口でこう切り出した。

「そのもちろん今回の件で言えば、日本人が非常に気分を害する出来事ではありますけれども、やっぱりときには日本のアイドルの方がナチスの親衛隊の軍服を思い起こさせるような衣装を着てしまってクレームを受けるなんていうこともありますし。どうしても、被害側に回るとすごく敏感になることでも加害側になることには無自覚だったりすることがすごく多いと思うので、こういうことを機に私たちも無自覚に誰かを傷つけるようなことをしないように、いろんな知識を身につけていかなくてはいけないなと思いますね」

 名前こそ出していないが、欅坂46のナチス親衛隊衣装問題に触れながら、ネトウヨたちのように一方だけを批判するのではなく、日本人も同じような過ちを犯すことはあると指摘。そのうえで、自分たちの加害にも無自覚にならないようにと、相手を非難することよりも自分たちも歴史や国際問題を学ぶことが必要だと語ったのだ。

 さらにピアニストの清塚信也氏は、原爆Tシャツについては「国際的に活躍する方としては、自覚が足りないというふうに思いますけれども」と前提として苦言を呈しつつ、この騒動を対立の道具にしてはいけないと、この間の多くのワイドショーの論調とは真逆のことをこう語っている。

日韓ハーフのピアニスト清塚信也は冷静な議論呼びかけ

「でも、逆に僕はこれは韓国と日本が仲良くなれるチャンスだとも思っているんです。というのも、僕は韓国とのハーフなんですね。日本育ちで日本生まれなんですけど。親戚、韓国にもいるんです。国籍は日本なんですけど。
 でも、だからこそ家族として付き合って、韓国人の良さ・悪さ、日本人の良さ・悪さ、知っているつもりなんですね。すごい近い国でありながら、ものすごいやっぱり国民性ちがうんですね。なので、仲良くできるなあっていうところと、やっぱりこれは時間かかるかなあと思うところと、正直あるんですね」

 清塚は父親が日本人で母親が韓国人という自らのルーツを明かしながら、日韓それぞれに良いところも悪いところもあり、それぞれの違いは折り合うのが難しい感じるところもあると、自らの経験と実感をもとに語ったうえで、その困難もまた、悲観したり断絶したりするようなものではないとして、こう続けている。

「でも、それは、他人同士、日本人同士だって同じことじゃないですか。だから、ようはこの問題で極論化しちゃいけないと思うんですよ。これを受けて韓国人もしくは韓国全土が日本を敵視してるとかそういうふうにどうしても思いがち。それがすごくナンセンスだと思って。僕の親戚とか友だちとかも含め、個人レベルで話したときに日本人を悪く言う人なんて見たことないですよ。ものすごく仲良いし、むしろこれだけ相補性があって補える関係だったら世界にも誇れる友人関係になれるって思ってる人がすごく多いんで。これをむしろ乗り越えたら、そういう信頼が逆にできるチャンスだと僕は思ってるんで、ぜひ極論化しないで。(原爆Tシャツは)ダメですけど、ダメで終わりにして、それ以上なんか国際的な問題がどうこうっていうふうに思う必要ないって思っています」

ワイドショーをはじめとするはじめとする日本のメディアでは、このBTS問題に限らず、韓国国民の声として日本側を過激に非難する右派的な声ばかりをピックアップして紹介し、日本人の嫌韓感情を煽り立てることが多い。そのためか「反日教育を叩き込まれた韓国人は全員反日だ」などという言説を信じ込んでいるのもディープなネトウヨだけではないだろう。しかし清塚は「個人レベルで話したときに日本人を悪く言う人なんて見たことない」と自らの経験をもとに、こうした論調に異を唱えた。今回の騒動を日韓対立の道具にするのでなく、むしろ友好のチャンスに変えるべきだという主張を展開したのだ。

松本人志は「紅白のBTS排除」を「白黒歌合戦じゃない」と批判

 そして最後に口を開いたのが、松本人志だった。松本もまずは「やっぱり原爆のことをファッションでいじるっていうのはあり得ないかな。それはそんなもん流行にも何もならないし。それは絶対にやっちゃいけないことでしょうね」と批判したうえで、紅白出演問題についてこう語った。

「ただ、そもそも紅白歌合戦に出ないからって、こうなっていること自体がよくわかんない。紅白歌合戦は別に白黒歌合戦じゃないからね。なんでそんなことでそっちにいってんのかがちょっとよくわかんない」

 少し意味が取りづらいが、Tシャツ問題は「あり得ない」「やっちゃいけないこと」だが、そのことが紅白の出演可否の判断と結びつけられるのはおかしいという趣旨だろう。

 スポーツ紙やネットニュースでは、原爆Tシャツ批判の部分だけが強調され、松本がBTSをかなり激しく非難したように報じられているが、実際はいたって冷静かつ必要最低限の批判にすぎず、むしろTシャツ問題とテレビ出演の可否まで結びつけるような風潮に疑問を唱えるものだった。

 原爆Tシャツ批判にしても、「日本を侮辱した」「日本人を傷つけた」とか、人類全体の問題として捉えるべき原爆や核の問題を、「日本の悲劇」に矮小化しナショナリズムと結びつけて批判する声も目立つなか、松本の発言は、過剰なバッシングとは違う抑制的なものだった。

 正直、これまでの慰安婦問題や徴用工問題、平昌五輪の際の『ワイドナショー』では、ヘイトまがいの発言もあったため、BTS問題についても、他のワイドショーと同じような嫌韓感情に輪をかけた議論を展開するのではないかと警戒していた。 しかし、乙武氏の日本人も歴史や国際問題を学ぶべきというコメントや、清塚氏の日韓友好のチャンスに変えるべきというコメントは、これまでの原爆Tシャツ報道には見られなかった新しい視点だ。

ネトウヨが清塚信也に反日攻撃、松本人志にも失望の声

 もっともいつもは『ワイドナショーショー』と松本人志を絶賛しているネトウヨ連中は、この論調は不満だったらしい。放送直後からネット上では 松本や『ワイドナショー』に対する批判が噴出したのだ。

〈ワイドナショーで、BTSの原爆Tシャツの話題が甘すぎ! 元NHKの日村嫁、乙武、韓国ハーフピアニストの清塚を出しお茶を濁そうと必死。 松本人志の見識も浅い。 これを機に韓国と仲良くだと? とんでもないっ!! ムカついたわ。 久々に。 日本と韓国は断交すべき、くらいのことは言えよ!!〉
〈まっちゃんもっと言ってくれると思ってた〉
〈さすがウジテレビとしか言えないような擁護意見だけで済ませたな。 松本はなんで嫌いな芸人で名前が挙がるか少し考えれば? この番組見てるとただの答え合わせだわ〉
〈松チャンですら"白黒歌合戦"とか茶化して薄めとかなアカンほど芸能界は媚韓勢力に牛耳られてまんのか?〉
〈松チャンもどこで気ぃ使とんねん。白黒歌合戦ちゃう、とかそんなしょうもないイジリ要らんねん。公共放送を自称しとるNHKが原爆やナチ礼賛してるヤツ演したらそらアカンやろ。〉

 とくに清塚氏に対しては、激しい個人攻撃がなされている。

〈清塚信也、これで反日認定だな。〉
〈清塚信也バラエティで仕事増えてたのにやっちまったな。やはりアッチの血は違うね……〉
〈この人、 要は「日本が許して仲良くしろ」って 言いたいのか?〉
〈清塚信也好きじゃなかったけどもっと嫌いなったわ〉
〈うまくいってないじゃんwうまくいくってアンタ実際どうなんだよ?って話w国民性の違いで親離婚でしょ?現実をよく見たまえw〉
〈そもそも日本人が韓国人と仲良くする必要性がない〉

 といった調子で、ヘイトスピーチそのものの発言も少なくない。

太田光は「日本人が原爆に、韓国の人が慰安婦に傷ついている」と

 たしかに、清塚氏や乙武氏は、この間の『ワイドショー』には見られなかった論点ではあるが、特に「実態はネトウヨの韓国差別だ」とか「日本の戦争責任を省みろ」などと、ネトウヨ批判をしたわけでも、日本批判をしたわけでもない。ただ、歴史を学ぶことや日韓友好を訴えただけの、ごく穏当、というかごく常識的な発言をしたにすぎない。

 こんな程度の発言すら許容できないとは、ネトウヨの頭の中は戦時中なのかと疑いたくなるが、しかし、こうしたネトウヨのヒステリーさとは対照的に、時間が経つにつれて少しではあるがBTS騒動に対する冷静な議論もちらほら出てきている。

 たとえば、この日、『ワイドナショー』の裏番組である『サンデージャポン』(TBS)でも、番組全体としてはBTS批判の声もあったが、武井壮がこんな鋭い意見を口にしていた。

「日本は原爆の唯一の被爆国だから、こういう思いを抱くのは当然だと思いますが、戦争ではただ単なる被害者ではないから、日本人が過去にしてきたこともたくさんあって、僕らも戦争のこと全部知っているわけではないし、韓国の人がどれくらい知っているのかわからなくて」
「(韓国の人が)誰もいないところでただ悪い悪いって言うのはイヤ。いろんな人がいるところで議論したい」

 また、MCの太田光もこんな言葉を口にしていた。

「これを機に、韓国の人が日本人が原爆のことをどれだけ悲しいと思っているか。日本人が韓国人が慰安婦のことでどれだけ傷ついているのか。相互理解してみてほしい」

 ネトウヨに飲み込まれそうになっているこの国のワイドショー言論にあって、こうした論調が少しずつでも出てくるということは、一筋の光といっていいだろう。

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