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「本省相談メモ」で森友優遇の実態が明らかに! “安倍夫妻案件”と知った財務省本省が近畿財務局に圧力
首相官邸HP
やはり昭恵夫人の存在が土地取引を大きく動かしていた──。森友学園問題で、決定的な文書がきょう公開された。佐川宣寿・前理財局長が「破棄した」と言い張ってきた交渉記録が約900ページ。さらに、改ざんされた14の決裁文書の、改ざん前の原本が約3000ページ。そして、その決裁文書のひとつ「承諾書の提出について」の改ざん前文書に「参照」として記載されていたが、これまで公開されてこなかった「H26.4.28〜H26.5.23本省相談メモ」約30ページだ。
なかでも、注目が集まっているのが森友側との交渉記録だ。財務省理財局は交渉記録を昨年2月に破棄するよう指示していたこともわかったが、このなかには昭恵夫人付職員だった谷査恵子氏が働きかけをおこなった際の記録も含まれていた。
しかも、谷氏は「安倍総理夫人付」として2度にわたって財務省に電話をかけ、「安倍総理夫人の知り合いの方」「安倍総理夫人が名誉顧問に就任した開校予定の小学校」(ママ)として森友学園への対応を迫っていたことが発覚。そのとき、谷氏は「総理夫人に照会があり、当方からお問い合わせさせていただいた」と話したことが記されていたのだ。
安倍首相は今年4月11日の衆院予算委員会で、谷氏の財務省への働きかけについて「籠池氏側から妻に留守電が幾度となくあった後、谷さんが自発的にやったもの」と説明していた。それが、実際は「自発的」などではなく、「総理夫人に照会」があったから問い合わせをおこなっていたのだ。その上で、財務省の田村嘉啓国有財産審理室長(当時)は「最大限の配慮をして対応している」などと回答していたのである。
つまり、昭恵夫人付の職員が土地取引に関与していたことの証拠を、国会に提出することもなく、破棄することで隠蔽しようと必死だったというわけだ。
だが、注目すべき文書は、まだある。本サイトが注目したのは、「本省相談メモ」だ。「メモ」と書かれているものの、これは、太田充理財局長も国会答弁で「公文書」と認めた重要な文書。しかし、それを麻生太郎財務相が「メモだから公文書でない」と主張し、翌日に太田理財局長が公文書ではないと訂正するということも起こった。このように、「本省相談メモ」は財務省が隠したがり、矮小化してきたものだ。
今回、これを本サイトで精査したところ、新たな事実が浮かび上がってきた。
というのも、「本省相談メモ」を読むと、森友との交渉を打ち切ろうとしていた近畿財務局に対し、財務省がいかにして森友の要求を丸飲みするよう動かしてきたかがわかるからだ。
まず、最初に注目しなければならないのが、その日付だ。前述したように、改ざん前文書には「H26.4.28〜H26.5.23本省相談メモ」と書かれていたが、平成26(2014)年4月28日といえば、改ざん前文書の「これまでの経緯」において、昭恵夫人の名前が最初に登場する日だからだ。
当初は森友側の要請を断っていた近畿財務局が対応を変えたのは、なぜ?
「本省相談メモ」の内容に入る前に、この点を軽くおさらいしておきたい。既報(https://lite-ra.com/2018/03/post-3869.html)に詳しいが、この2014年4月28日以前まで近畿財務局は、森友と距離をもった交渉をおこなっていた。たとえば、2014年4月15日に森友側から大阪府の小学校認可適当の答申より先行して土地を〈貸付けてほしい〉という要望を受けたとき、近畿財務局は〈答申を得る前の契約はできない〉と断っている。この前年である2013年8月13日には自民党・鴻池祥肇参院議員の秘書が、貸付を要望する「口利き」電話を入れているが、それでも近畿財務局は森友側に答申を得る前の契約をきっぱり断っていたのだ。
ところが、2014年4月28日に近畿財務局が森友側に資料提出を早くおこなうように要請すると、逆に森友側から〈当初計画していた本年7月の大阪府私立学校審議会への諮問を本年12月に変更したいので、その前提で対応してほしい〉〈大阪府が小学校新設に係る設置計画書を受理した段階で、近畿財務局から豊中市に「森友学園と本財産の契約を締結することを証する」旨の文書を提出してもらいたい〉という要請を受ける。決裁文書のこのときのやりとりについて書かれた箇所では、〈なお〉と前置きし、こうつづいている。
〈なお、打合せの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた。」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)〉
この日を境に、近畿財務局の対応はがらりと変わる。それまで態度を膠着させていたはずが、2014年6月2日には森友側から受けていた2つの要請を承諾する回答をおこない、その上、〈売払いを前提とした貸付け〉についても〈協力させていただく旨を回答〉と記しているのだ。
大臣経験があり、関西では大物政治家として名を轟かせる鴻池議員が口添えしても動いてこなかったのに、昭恵夫人との関係を認識するや、要望をすべて聞き入れ、特例契約に「協力する」とまで態度を一変させる──。あまりに露骨な変貌ぶりだが、しかし、なぜここまで近畿財務局が態度を変えたのか。その理由が今回、「本省相談メモ」によって明らかになった。
今回、財務省が公表した「本省相談メモ」は、2014年5月8日、9日、14日、23日の日付が入っており、タイトルはいずれも「取得等要望相手方への対応について」というもの。これは、森友学園から出されていた要望にどう対応するかを近畿財務局がまとめたものと見られ、「本省との相談」を経て、その内容をアップデートしていったものと推察される。
そして、ここにこそ、近畿財務局が“森友優遇”に傾いた“経過”が見てとれる。
財務省本省の意向で、近畿財務局は森友への対応を一変させたことが明らかに!
というのも、最初の「5月8日」の文書を読むと、近畿財務局は森友からの要望である「審査スケジュールの変更」と「豊中市への証明書の発行」に対し、それまでと同じように、通常の対応をおこなおうとしていたことがわかるからだ。
たとえば、審査スケジュールについては、5月8日の文書で近畿財務局は〈8月末で設置認可に係る見極めができない場合は、審査結果を「不適当」として回答することとする〉と書いている。
しかし、それがなぜか「5月9日」の文書では、〈今後、一定程度の審査期間の延長もやむを得ないものと考える〉という譲歩した文書が加わり、「5月23日」の文書では、以下のように、がらりと変わってしまうのだ。
〈平成26年12月に大阪府の私学審議会への付議がなされなければ、平成28年4月開校は困難となる状況〉
〈同年9月末までに設置計画書の提出が必要としていることを踏まえ、平成26年9月末における相手方の設置計画書の提出状況を見定めた上で、改めて対応を検討することとする〉
〈検討に当たっては(中略)改めて相手方の意向を確認した上で、大阪府とも連携し対応することとする〉
最初は8月末がデッドラインだと示していたのに、23日の文書では森友の事情に寄り添う内容へと変わっている──。これは、近畿財務局ではなく、財務省の判断だということだろう。近畿財務局が対応方針をまとめたものの、財務省との「相談」において、財務省が“森友優遇”を促し、その結果、文書がアップデートされていった。そう考えられるからだ。
もっとあからさまなのは、同じく森友からの要望だった、近畿財務局が工事施行を承諾する旨の「豊中市への証明書の発行」のほうだ。5月8日の文書では、近畿財務局はこのように対応するとまとめている。
〈本地については、国有財産地方審議会への付議対象財産であることから、府議会における答申を得ない段階で、第三者に国の処分意思決定を表明できない〉
〈したがって、先方の望む豊中市に対する近畿財務局からの書面提出は、当方が地方審議会を開催し、審議会より先方への処分の答申を得た上での対応とならざるを得ない〉
これはごく当然の対応だと思われるが、それが「5月14日」の文書では、このように変化する
〈相手方の意向を踏まえ、豊中市に対し、承諾書に代わる文書の発出をもって、開発行為の事前相談・協議等の手続きのみを先行して進めることができないか協議したところ、同市より別途の文書等により対応することはできないとの回答があった〉
近畿財務局は豊中市に掛け合い、協議までおこなっているのである。実際、交渉記録を確認すると、近畿財務局は豊中市計画推進部長に問い合わせをおこない、5月13日に回答を得ている。このとき、豊中市は「できない」という回答だったため、14日の段階では〈今回、相手方の要望に沿った形での文書を発出することはできない〉という方針でまとまっている。
それが、交渉記録によれば、近畿財務局は15日に豊中市に再び交渉。その結果、5月23日の文書では内容が一変する。〈同市より別途の文書により対応することは可能との回答があった〉となり、〈相手方から要望のあった文書は発出できないものの、開発行為の事前相談・協議等の手続きのみを先行して進めることを承諾する内容の文書を発出することは可能である〉とまったく逆の内容に変わっているのだ。
財務省の森友優遇措置は、“安倍夫妻案件”であることを知ったことが出発点
これはようするに、「対応できない」という近畿財務局の方針に対して財務省が難色を示し、近畿財務局は豊中市と協議をおこなったものの、豊中市の対応はやはりノー。これに財務省が納得せず、近畿財務局が食い下がった結果、最終的には豊中市も対応を変え、当初の「できない」という方針が「できる」とかたちを変えた。そういうことではないのか。
財務省との「相談」によって、最後には森友の要望を聞き入れる内容に変わっていく、この「本省相談メモ」。──それにしても、どうして財務省はここまで近畿財務局に森友優遇を迫ったのか。その理由は、やはりあの人の存在にあった。
そう。この「本省相談メモ」には、2014年5月8日の最初の文書から、「本事案の経緯について」という時系列でまとめた文章が付けられていた。そして、「H26.4.28」の項目には、森友からの要望と合わせて、昭恵夫人との関係が綴られているのだ。
〈同日の打合せの際に、「平成26年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた。」との説明を受ける(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示して説明)〉
さらに、この「本省相談メモ」の5月9日分には、〈「学校法人 森友学園」の概要等〉という文書が付けられており、そこには籠池泰典理事長が「日本会議大阪 代表・運営委員」であること、そして日本会議国会議員懇談会の説明には〈副会長に安倍晋三総理〉と明記されているのである。
つまり、森友を優遇するかたちで異常な取引がおこなわれるようになったのは、安倍夫妻がかかわる案件だと認識した財務省による意向が強く働いた結果だったのだ。昭恵夫人が名誉校長に就任する約1年前から、財務省は森友の小学校設立が“安倍夫妻案件”だと知っていたのである。
しかも、この「本省相談メモ」には疑問点がある。決裁文書のなかでは「H26.4.28〜H26.5.23本省相談メモ」と題されていたのに、今回、提出された文書は平成26年5月8日〜23日までのもの。肝心の4月28日の文書が含まれていないのだ。
この点については、今後、さらに追及がおこなわれると思われるが、土地取引において昭恵夫人の存在が方向を大きく変えたことは、これで明確になったと言えるだろう。
一方、その疑惑の当事者たる昭恵夫人は、昨日、安倍首相の永年在職25年の表彰式に出席するため、なんと国会にのこのこと現れた。この厚顔さには呆れるほかないが、昭恵夫人には今度は追及を受ける身として、国会に来ていただかねばならない。
(編集部)
最終更新:2018.05.23 10:57
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