安倍批判で炎上したアジカン後藤が「SEALDsを見ていたら黙っていることが恥ずかしくなる」と改めて闘争宣言

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ASIAN KUNG-FU GENERATIONオフィシャルサイトより


 安保法制が強行採決された昨年、これまであまり政治的な発言をすることのなかった芸能人・文化人から、同法案や安倍政権への危機感、憲法9条を守ろうという声が続出した。

 中居正広(SMAP)、坂上忍、笑福亭鶴瓶、石田純一、SHELLY、大竹しのぶといった俳優やタレント、長渕剛、岸田繁(くるり)、大友良英、横山健(Hi-STANDARD)といったミュージシャン……。

 人気バンド、ASIAN KUNG-FU GENERATION(以下、アジカン)の後藤正文もそのひとりだ。

 後藤は「Rolling Stone日本版」(セブン&アイ出版)2015年7月号にて、人々のなかに現在の政治状況を180度変えてくれるような強いリーダーを求める心理があり、その思いが安倍晋三や橋下徹を生み出したとしたうえで、丁寧な対話や議論が軽んじられる状況が非常に危険であると警鐘を鳴らしていた。

 本質をついた当然の発言だったが、こうした後藤の姿勢を当サイトが取り上げたところ、ネットで炎上し、後藤も激しい批判にさらされた。

 しかし、後藤はその後もそうした空気にひるまず、一貫して政治や社会にコミットし続けてきた。

 そして、最近「ぴあMUSIC COMPLEX Vol.4」(ぴあ)のインタビューで、自身の表現と「政治・社会的なメッセージ」の関係についてかなり踏み込んだ分析をしたうえ、新たな闘争宣言とも思えるようなメッセージを発している。

 まず彼は、日本において音楽家や俳優など、表現活動に携わっている人たちが政治について語ることが特別視されていることに疑問を投げかける。確かに前述の通り、昨年の安保法制に関してはたくさんの芸能人が声をあげたわけだが、それがことさらに取り上げられたということは、それだけ異例の事態であったということの裏返しでもある。

「比較対象が欧米中心にはなってしまいますけど、ロックにしろヒップホップにしろ、俳優にしろ芸術家にしろ、自分の好きなアーティストは、みんな普通に社会とか政治について話すわけです。何のためらいもなくというか、ためらいがないように見えるというか」
「日本って、芸術や芸能と政治、そして普段の生活がセパレートされすぎている気がして。本来、そこには境界線がないはずなので、もうちょっとグラデーションになったほうがいいかなと思って」

 そういった思いもあり、彼は作詞にあたり、意識的に社会的・政治的なトピックを落とし込むようにしていると語る。確かに、アジカンの楽曲のなかには、自分自身がロスジェネ世代であることから、社会に飛び出すタイミングで他の世代以上に厳しい荒波に耐えなくてはならなかった苦しみを歌う「さよならロストジェネレイション」という曲もある。

 また、2014年に発表された「スタンダード」は、物語形式を用いながら市井の人々による市民運動が社会を変えていく様子を描き、それは後に登場するSEALDsを想起させるような歌詞であった。

「ある程度、いつも念頭においているのは、社会性みたいなものを歌詞に落とし込んでいこうということです。特にバンドでは。それは何故かと言うと、アジカンのような日本のロックバンドが、そういうことを少しでも歌詞に織り交ぜていくことに意味があるような気がしていて」

 このように、ミュージシャンとしてのキャリアを通じて、社会的なテーマをいかに表現のなかに取り入れていくかを考え続けてきた後藤だが、そのようなトピックと向き合い続けてきた彼だからこそ、最近感じていることがあるという。

 彼は29万人近くフォロワーのいるツイッターアカウントをもっており、そこではミュージシャンとしての活動報告のみならず、しばしば政治や社会についての意見を書き込んでいるのだが、以前であればそのようなメッセージを投稿するたび炎上していたのに、ここのところそのような傾向が見られなくなっていると言う。

「以前のほうがよかったのかなって気がします。いちいち食ってかかる子がいるほうが。今って、僕のそういう書き込みが嫌な人は、すっとリムーブしていなくなるだけ」
「反論することさえ、彼らにとってはイレギュラーな行為だから、「うざいな」と思ってもスッと流す。あるいは去っていく。でも、そうやっていろんなことをスルーし続けてきて、問題が折り重なったことが露呈したのが3.11なわけだから。スルーしないのって大事なことなんじゃないかな。それが最近はまた元に戻っちゃった感じがする」

 異なる意見をもつ者同士が議論を戦わせるのではなく、だんだんと違う考えを「スルー」するような社会になってきているのではないかと言うのだ。

 昨年の安保法制では、SEALDsをはじめとした若者たちによるデモも盛り上がりを見せ、メディアでも盛んに取り上げられたが、後藤自身、そんな彼らの活動に対し、「SEALDsとか見ていると、「おじさんたちが黙っててどうするんだ」って、ちょっと恥ずかしくなりますし」と大きな共感を寄せながらも、デモでメッセージを発信する彼らを見る通行人の目線に関して感じるところがあったと語る。

 若者たちのデモ活動は、確かに市民運動として近年稀に見る注目を浴びた。しかし、一方で、政治に無関心な人々からはどこか冷めた目で見られていたという面も否定できない。

「だから、最近の空気は怖いですよ。街中で「問題があるんだ!」って訴えている人がいるのに、誰も足を止めないみたいな」
「それどころか、逆に「浮いている奴を叩こう」みたいな風潮もありますよね。ニュースとか観ていてもしんどいですもん。溜め息しか出ない」

 しかし、そんな状況でも、後藤は政治的なメッセージを歌詞のなかに織り交ぜたり、社会的なトピックに関する発言をし続けていくつもりだと語る。それは、後続の若いミュージシャンのためでもある。

「ただ、それでも自分が出来ることをやるしかないので。むしろ、アジカンがどメジャーのJ-ROCKバンドだからこそ、積極的に政治的な発言をするべきなのかなって。(中略)役割としては、面倒くさいことを言う人(笑)。でも、それによって「あれくらい言ってもいいんだ?」と思ってくれる人がいたら」

 日本においても、かつては政治的な歌がポップミュージックとして受け入れられていた時期はあった。1960年代から70年代始めにかけて、岡林信康「がいこつの唄」、高田渡「自衛隊に入ろう」、加川良「教訓Ⅰ」など、多くのフォークシンガーたちが反戦を歌い、それらの歌はユースカルチャーとして受容された。

 後藤の活動が、今の閉鎖的な音楽界の状況に風穴を開けることを願ってやまない。
(井川健二)

最終更新:2017.11.24 09:47

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